大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第147回

2014年11月04日 14時50分20秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第140回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第147回




高速を降り国道を走っていると

「最後に飲んだお茶が効いたのかしら・・・おトイレに行きたい・・・どこかにコンビニが出来てないかしら」 実家に行くには国道から外れなければいけないが国道を外れるとコンビニはない。 

仕方なく国道を外れずそのまま走ってキョロキョロとしていると丁度コンビニがあった。

「あ、あった! あそこで借りよう」 駐車場に車を停めると見覚えのある車が止まっていた。

「あれ? あの車って・・・まさかね」 そう思いながらコンビニに入りトイレを済ませて出てくるとレジに更紗が見えた。

「更紗さん!」 聞き覚えのある声に更紗が振り返るとそこに目を丸くした琴音が居た。

「え! 琴音さん!?」 

「どうして?」 二人が同時に言った。 そして顔を見合わせて笑い、先に更紗が話し出した。

「正道さんも一緒なのよ」

「正道さんとですか?」

「ええ。 琴音さんはどうして此処へ?」 レジでは次々とピッピピッピと音を鳴らしている。

「私の実家、こっちなんです」

「え? そうなの?」

「はい、今から実家に帰るんです」

「わ、信じられないことってやっぱりあるのね。 ね、時間ある? 急いで実家に帰らなくちゃ駄目なの?」 店員が商品を袋に入れだした。

「いえ、ここからだと30分くらいで着きますから時間ならありますけど正道さんもいらっしゃるんですよね」

「だからよ」 ふと店員の視線を感じ

「あ、ゴメンなさい。 おいくらだったかしら? 琴音さんちょっと待ってね」 支払いを済ませ

「お待たせ、琴音さんは何か買うの?」

「おトイレを借りたお礼に何かおやつでも買おうかと思ってるんですけど」

「ふふ、私と同じじゃない。 じゃあ、今私が買ったからそれでいいんじゃないかしら?」 両手に持ったコンビニの袋を軽く持ち上げて琴音に見せた。

「え? おトイレを借りただけでそんなに買ったんですか? 私なんておやつ1つくらいと思ってたのに」 

「それじゃあ、これで充分二人分のお礼が出来てるわね。 行きましょ」 コンビニを出て更紗の車に向かった。 

車の中を見ると正道がいない。

「あら? 正道さんが居ないわ何処へ行かれたのかしら?」 辺りをキョロキョロとしていると道路の方から着物を着た正道が歩いてきた。

「正道さん、何処へ行かれてたんですか?」

「いやぁー 本当に此処はいいなと思ってね。 あれ? 織倉琴音さん?」

「今日はお久しぶりです」

「偶然ここで会ったんです。 実家がこちらだそうですよ」

「そうなんですか? 奇遇ですなぁ」 驚いたような顔をしている。

「でしょ。 私も今聞いてビックリしたんです」

「時間はございませんか? 宜しければちょっとお話がしたいんですが織倉琴音さん駄目ですか?」

「実家はもうすぐそこですから大丈夫ですけど私なんかで何かお話できますでしょうか・・・」

「あ、そういう言い方は宜しくないですよ。 私なんかではありませんよ。 大切な私ですよ」 優しい笑みを浮かべている。 

二人の顔を見た更紗が

「それじゃ決まりね。 どこかこの辺にお店がないかしら?」

「ファミレスでよかったらこの先にありますよ」

「充分よ。 琴音さん先導してくれる?」

「はい」 琴音の後に更紗の運転するフェラーリがついて走った。 バックミラーを見ながら

「やっぱり目立つわよねー」 少し走ってファミレスに到着し、3人で中に入ると中途半端な時間なのか店内は空いていた。 

その様子を確認して

「すみません、ちょっと実家に電話を入れておきます。 先に座っててください」

「あ、そうよね。 心配されるかもしれないものね」 一旦店を出て鞄から携帯を出しすぐ実家に電話を入れた。

「あ、お父さん? 私。 もう近くまで来てるんだけど偶然、知り合いに会ったからちょっとお茶してから帰るわ」

「そうか、近くまで来てるんだったら安心だ。 ゆっくりしておいで」 

「うん。 じゃあね」 携帯を切り更紗と正道の待つ席に向かった。

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