大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第182回

2015年03月06日 15時03分52秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第180回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第182回




「人間というのは今生この肉体をお借りして そして来世でまた違う肉体をお借りするんです。 ですから一つの肉体が終わればそれで終わりではないんです。 ずっとずっと色んな経験をしたくて生まれ変わってくるのです。 ですがここで肉体を持った人間からするとちょっと腑に落ちないといいますか、どうして? と考えるところがあるんですな」

「それは?」

「肉体を持っている人間は好き好んで苦労しようなどとは思いませんでしょ? ですが魂は結構大きな壁を青写真に入れてくることがあるんですな」

「大きな壁・・・」

「そうです。 ですがそれも乗り越えられるような壁にしてあるんですが、肉体人間からすればとてもじゃない壁です。 途中で投げ出したり、最初から壁に向かわなかったりするんです。 魂にしてみればそれを乗り越えた時の喜びを味わいたくて 青写真に入れてくるんですがな」 そう言って「ははは」 と笑い出した。

「はぁー・・・」 琴音の溜息が漏れた。

「魂というのは素晴らしいですよ。 我が魂を持って究極の愛の表現をされるんです」

「それってどういう事でしょう?」

「そうですなぁ・・・肉体人から考えると生を持つとそのまま幸せに暮らしたいと思うでしょう? 母や父に愛されて」

「はい」

「ですが 生後数日で亡くなる命もあります」

「はい」

「それはその魂の今生の転生にかけて 母や父に生という重きを知らせる為だけの生を選んだ魂というときもあるんです」

「そんなこと・・・あるんですか?」

「まぁ、知らせるため唯一つという事ではありませんがな。 知らせることが出来たことへの喜びをまたその魂が経験している所もあるんですがな」

「人って・・・生まれるって深いんですね」

「そうですよ。 ですから命は大切にしなくてはいけません。 自分の命も、他人の命も。 そして肉体も。 絶対に肉体を粗末にしてはいけません。 肉体は借り物ですからな、大切にしなくてはいけません」

「肉体は誰から借りているんでしょうか?」

「地球です」

「え? 地球ですか?」

「そうですよ。 地球にある水や空気、土の成分、全てこの身体を作って下さっているんですよ。 母のお腹に居る時には母から栄養を貰っていますが、その母はこの地球の水を飲んでいます。 土から栄養を得た野菜を食べています。 酸素を貰っているから息も出来ます。 生まれた後もそうですな。 同じ物を頂いて大きくなっていきます」

「・・・とても納得がいきます。 この身体は私が作った物ではないんですものね」

「地球に感謝こそすれ、汚染するなんてとんでもないことですな」

「はい」

「そうですな・・・身体といいましたら この肉体がありますね?」

「はい」

「この肉体の外側にエーテル体、アストラル体、メンタル体、コーザル体とあります」

「は・・・い」

「あ、これは聞き流す程度でいいですよ。 そのうち一つ一つを詳しく話しますから」

「はい・・・」

「今はコーザル体は置いておきましょう。 まず、エーテル体ですが形成体ともいいます。 このエーテル体が病んでしまうと肉体にも及んできます。 また逆もありますが、逆の場合は肉体を治せばそれですむことですが エーテル体が病んでしまっているといくら影響を受けた肉体を治そうとしても エーテル体が治らない限りは肉体も治りません。 ですから琴音さんには動物達のこのエーテル体を見ることが出来るようになって頂きたいと思っています」

「ええ!? そんなこと・・・出来るんでしょうか?」

「ご自分のオーラも簡単に見たじゃありませんか。 初めてであそこまで見ることが出来たんですよ。 出来ますよ」

「はい・・・」

「そしてアストラル体というのは感情体とも言います。 メンタル体は言葉そのままですな、精神体とも言います。 幽体離脱や体外離脱という事を聞いたことがありますか?」

「あ・・・図書館でそんな本の背表紙を見ましたけど・・・すごく何となくしか分かりません」

「寝ている間に・・・肉体が寝ているときですよ。 その時に今はアストラル体と言われていますが昔はエーテル体と言われておりましたが、それが身体から離れていくことを言うんですが ・・・何となく分かりますか?」

「はい。 とても何となく・・・」

「私はそんな経験はありませんから大きな声じゃ言えないんですがな」 そしてまた「ははは」 と笑った。

「あ・・・!」

「どうしましたか?」

「あの、数日前なんですけど金縛りにあったんです」

「あらま!」

「その時、更紗さんが和尚に聞いてきて下さった言葉を忘れてしまって・・・とにかく毅然としているようにと言われていたことは覚えていたんです」

「それはとても必要なことですな」

「今思えば『来るな、立ち去れ』 と教えて頂いたと思い出せるんですけど、その時はどうしても思い出せなくて。 それで正道さんからお話を聞いていた念で自分の手を作ってみようと思って 最初は動かない自分の手を感じてそして後は念って言うか・・・想像みたいな物ですけど その手に短刀のような木刀を持たせて 迫ってきた気配を押し退けたんですけど・・・」 

ここまで聞いていた正道が突然「わっはははー!」 と大声で笑い出した。

琴音の足元で遊びつかれて寝ていた仔犬が飛び起きた。

「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい・・・こんなに大きな声で笑ったのは何年振りでしょうか・・・いや、最後に笑った記憶も無いほど昔ですよ。 あーっはははー」 まだ腹を抱えている。 

琴音が椅子に座ったまま手を伸ばし仔犬の頭を撫でながらまた寝かしつけた。

「あの・・・私、そんなにおかしなお話をしたんでしょうか?」

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