大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第137回

2014年09月30日 15時01分37秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~道~  第137回



夕飯を作ろうと キッチンに立ったとき

「え? 何!」 琴音は目を開けている。 目の前のキッチンも目に入っているがそれと別の物が見えたのだ。 
正確には目で見ているわけではないが琴音は目で見えている感覚だ。

「いったいこれは何なの?」 考え込むが見えているものが次々と変わる。

「あ・・・これって確か お礼状を作ろうと思ったときに見ていたイラストじゃない」 そうなのだ。 あの時に見ていたイラストが1秒に満たない間隔でフラッシュカードのように次々と出てくるのだ。

「不思議だわ。 これだけ早くイラストが出てくるのに何のイラストか全部理解できるわ」 100枚以上のイラストが見えたであろう。 そしてスッと何も見えなくなった。

「これっていったい何なのかしら。 それにあのイラストを見てからはソコソコの日が経っているのにどうして今更なのかしら。 私の頭、またどうにかしちゃったのかしら・・・」 溜息をつきながら米を洗っていると

「あ!」 何かいいことを思いついたようだ。

「もっと早くからこんな事ができていたらテスト勉強なんて必要なかったじゃない」 



仕事をしているとき琴音の知らない人物が慣れた様子で「こんにちは」 と言いながら事務所に入ってきた。

事務所に居た社員が

「おー、久しぶりじゃないか。 どうしてたんだよ」 仕事片手に声をかけた。 琴音もすぐに挨拶をしたがその人物が琴音を見て

「あれ? あなたが新しい人?」

「はい」

「あれ? 武藤、織倉さんと初めて会ったのか?」

「おお、今まで来ても事務所に上がってこなかったからな」 そして琴音のほうに向き直って

「僕、武藤といいます」

「あ、何度かお電話を頂いている・・・」

「そう。 僕ここの元社員だったんですよ」

「え? そうだったんですか」

「お見知りおきを! これからもよろしくお願いしますね」 

「こちらこそよろしくお願いいたします」 

「・・・と、今日社長は居ないの?」 事務所を見渡した。

「2時間ほど前だったかな? 出て行ったきりまだ帰ってきてないよ。 何処に行ってるかは知らないんだけど最近ちょくちょく出て行くんだよ。 織倉さん何か聞いてます?」

「いえ、何も聞いてません」 すると武藤が

「そうなの。 ま、社長が居たら挨拶しようと思ってただけだからいいよ」 と言いながら すぐに他の社員の所に行きその社員と奥の事務所に入っていった。 

その姿を目で追っている琴音を見ていた今話していた社員が

「奴ね、ここを独立して今は自分ひとりでやってるんですよ」

「そうなんですか。 ここの会社と同じことをされてるんですか?」

「そう。 まぁ、まるっきり一緒って訳でもないけどね。 でもかなり奴にお客さんを持っていかれちゃったんですよ。 えっとー、織倉さんの来る2年位前かな?」

「私の来る2年位前っていう事は売上がかなり落ち始めた時ですよね。 じゃあそのこともあってこの厳しさなんですか?」

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