備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『8月の家族たち』

2016-05-15 18:22:13 | 国内ストプレ
ネタバレなあらすじ。

ウェストン家の家長であるベバリーが、
新しく雇う家政婦・ジョナの面接をしている。

そこに現れる、ベバリーの妻・バイオレット。
昼間から、酒を呑んでいるのか、
ロレツも回らず、正常な意識でもないが、
ただ、ジョナの事だけは毛嫌いをしている。
それは、ジョナがネイティブ・アメリカンだからで、
家にインディアンが居るという事に嫌悪していた。

数日後、バイオレットの元に、
バイオレットの妹・フェイと、
その夫、チャーリーがやってくる。

その理由はベバリーが失踪したから。
しかし、心配しているのは、チャーリーだけで、
フェイはこの展開を楽しんでいる。

そこにバイオレットの次女・アイビーが登場。
三姉妹のなかで、一番、近くに住んでおり、
母親が心配でやってきたが、その母親は、
長女のバーバラがやってくるのを待っていた。

ここで、バイオレットとアイビーの確執の説明。

バーバラとその夫・ビル、娘・ジーンが、
ベバリーの失踪を聞いて、帰宅する。
バイオレットは大層喜ぶが、
自分への待遇との違いに嫉妬するアイビー。

その夜。
実は、バーバラとビルが、
別居中で離婚間近であることや、
ジーンがマリファナを吸っているが分かる。

そして、ベバリーを心配するビルに
もう、死んでいるに違いないと
ハッキリと死を想定しているバーバラ。

そこにベバリーの死亡連絡が入る。

二幕
葬儀後。

参列者の食事の用意をする、
バーバラと三女・カレン。

しかし、その話題は
カレンの恋人・スティーブの事で、
一方的にカレンが彼の事を話していた。

一方、2階では
居間に飾るベバリーの写真を、
バイオレットとフェイ、アイビーが
探していたが、話題はアイビーの結婚話に。
そこで、アイビーの新しい彼氏の存在が明らかに。

そうこうしているうちに、
人が集まり、会食がスタート。

話の主導権は、バイオレットに握られ、
ベバリーの遺産を娘に分割するつもりは無いこと、
欲しいモノがあれば持っていくように促す。

しかし、段々とハイになり、
薬の大量接種を始めたため、
すべての薬の取り上げ、
この家の主導権を握ると、
バーバラが宣言し、幕。

三幕。
三姉妹の雑談から始まる。
そこで、アイビーのNY行きと、
恋人がチャールズであることが明らかに。

一方、フェイはチャールズをバカにするが、
それを見かねたチャーリーは二度と軽んじるな、
と忠告するが、それでも、何か言いたげなフェイ。

チャールズとチャーリーが去った後、
フェイとバーバラが二人だけになる。
そこで、バーバラから、アイビーがチャールズと
二人NYに行くことを聞かされるフェイ。

それを止めさせようとするフェイは、
チャールズの父親がベバリーであることが明かす。


その夜。
マリファナが切れたジーンはスティーブが
マリファナを持っていることを知り、
近づくが、逆に襲われそうになる。

そこにジョナが現れ、
追い出されるスティーブと、
それを追いかけるカレン。

一方、ジーンは、
ビルによって自宅に。
しかし、バーバラだけは残る。

八ヶ月後。
自宅でバーバラと保安官・ディオンは
世間話をしている。その実、
バーバラに気のあるディオンだが、
バーバラは相手にしない。

そして、元々の用件である、
ベバリーの死ぬ直前に泊まっていたモーテルの
存在とそこに電話があった事実が告げられる。

アイビーのNYに出発する当日。
バイオレットから、
アイビーとチャーリーの父親が
同じであることが告げられる。
しかし、出て行くアイビー。

バーバラはベバリーがその事を知っていたこと、
しかし、真実をバイオレットに告げられなかったのでは?
とバイオレットに話すが、それに対し、
バイオレットがモーテルに電話をしたが、
何も言わなかったと告白する。

もしも、その事実を知っていれば、
父親は自殺しなかったかもしれない、と
母親を責め、バーバラも家を出て行く。

取り残されるバイオレット。
そのまま、嫌悪していたジョナの元に。
そして、ジョナにすがり、暗転。


麻実@バイオレット
ヤク中でアル中な母親。
言動が舌足らずなのは、喉頭ガンの影響?
ともかく、色々な意味で派手な母親だが、
その性格は寂しがり屋というか、孤独を
恐れるあまり、人を傷つけるタイプ。

そんなどうしようもない母親なのに、
そこまで悪女に見えない、麻実さんの演技力。


秋山@バーバラ
三姉妹の長女。
父親同様、大学につとめる。
旦那も大学勤めだが、
教え子に手を出したため、別居中。

母親をアイビーに押しつけ家を出た事を、
後悔をしていたが、ジーンの非行後、
ジーンを旦那に預け、バイオレットと暮らす。

しかし、母親が父親の自殺を
止められなかったこと、
(父親よりもまず、金を選んだこと)
に、怒り、家を出る。

娘としての責任感もあるが、
父親が失踪するまでは、
母として妻として、生きる。

と、なかなかに、めまぐるしい人生だが、
秋山さんが演じると、なんか納得。


常盤@アイビー
三姉妹の次女。
母親を姉と妹から、押しつけられ、
世話をするものの母親からは愛されないことへの不満。

最後は、従兄弟とNYに行くが、
実の姉弟である事を母から教えられる。
ともかくはNYに行くが、その後の消息は不明。

尽くすタイプだけど、
この突然、プッツンして
暴走というキャラが似合いすぎて。


音月@カレン
三姉妹の三女。
母親から愛されなかった過去から幸せを求める。

で、婚約者を連れて帰るが、その婚約者が
これまた、一筋縄で行かないタイプ。

ただ、婚約者の正体を知っても、
その婚約者と結婚しようする、したたかさ。

元男役だけど、その要素はなく、
普通に幸せを求める可愛い三女。


橋本@スティーブ
三女の彼女にして青年実業家。
にしては、胡散臭い。
その安定した胡散臭さで、
ジーンを誘ったり。

なんか、こういう、
嫌な役で固定なんだろうか。


犬山@フェイ
噂好きなオバさん。
もう、こういうオバチャン居るよね、を地で。
それを犬山さんがやるから余計に。

と、楽天的に見えて、息子には辛く当たる。
その理由が、ベバリーの影を見ているから、と。
更に、深い理由が有るという。


羽鳥@ジョナ
ウェストン家の家政婦。
ネイティブインディアン、
という設定なので、ぶっきらぼう。
最後、バイオレットの拠り所になるという展開に。

ま、ぶっきらぼうな役なので、
棒読みというか。それ以上がない。


中村@チャールズ
ベバリーの葬儀に遅刻、
という、なかなか個性的な登場シーン。
そもそも、何の職業についているのか?

映像では観ていたが、舞台で見るのは初。
もっと、飛び道具な役かと思ったら、
意外と好青年な役になったらしい。


藤田@ディオン
街の保安官。
バーバラの学生時代の恋人(もどき)だが、
特にそれ以上はない。ただ、舞台を展開する
色々な情報を告げる、結構、重要な役。

意外と、見た目より歳がいってるのかも。
上から見ると、髪の生え際が…。


小野@ジーン
バーバラの娘。
冒頭からラリっている。
そして、怪奇映画ヲタク。
スティーブと深夜にマリファナを吸っているが、
それが見つかっても、居直る図太さ。

声が高く、映像系の人?
普通にイマドキなのだが、
まず、中学生設定ということに驚き。


村井@ベバリー
まさかの冒頭だけの登場。
二幕は存在だけで、話さないし、
三幕に至っては登場すらしない。

観ていて詩人で、大学勤めというのが分かる聡明さ。
なので、会話にエリオットとか急に出てきたり。

ともかく、勿体ない。
主催キューブだから、と言われたら、それまで。

そして、気になるのが写真たて。
あれ、本人だよな、と思いつつ未確認。


木場@チャーリー
フェイの旦那。
カウボーイスタイルで、
如何にも西部の男。
というよりは、楽天的なオッサン。
そもそも、どういう職業設定なんだろう、コレ。

ともかく、息子を大事にする。
その必要以上に大事する理由が、
実の息子でない、と知った上での、
過保護なのか、それとも、そういう性格か。

安定の滑舌の良さと、
途中、テレビを見続けたり、
食事の祈りで暴走したり、
突然、妻に切れたりと、
意外と美味しい役処。

ただ、何故、配役?
その理由が分からない。

生瀬@ボブ
理屈的思考の持ち主。
そのため、妻とのケンカでも、
つい、職業的表現を使ってしまう。

その一方で、教え子と浮気を。
最終的にバーバラと離婚。

この微妙にズレている感が、
スゴい生瀬氏っぽい。


場面転換の無い、三幕モノだけど、
印象深いのは二幕の食事シーン。

最初は食事の机が中央にスライドしてるな、
と思ったら、座っている位置も移動。
机が盆舞台に載っていて、回転。

そのため、よく映画とかである、
丸テーブルの中央に定点カメラ的視点。

そして、死角が出来ない。
ただ、ストーリー上では、
特に関係ないというオチ付き。


ケラ演出の翻訳モノ。
翻訳モノだけれど、かなりケラ・テイストな
ブラックな笑いが多く、ケラ脚本だっけ?と。

ただ、オリジナル脚本と違い、
視角的な気持ち悪さはなく、
言葉による、想像させる気持ち悪さ。
また、幕によっては、全く登場しない人も。

これは、原作がそういうモノだと
割り切るしかないのだけれど、勿体ない。
ま、木場氏が大体出てるから良いけど。
クレジットで、村井氏→木場氏→生瀬氏
という順番なのは、出演時間数の問題か?
(あと、事務所的事情)


それでも、最後はベバリーは生きてる路線かと
思ったら、本当に死んでいたし、最後、
ジョナと二人になっても、登場しないのは、
やはり、主役はバイオレットで、一人で生きていくからか。
これが、日本人の脚本だと、最後にベバリーが
(亡霊でも)出てきそうなんだけど、
そういう展開しないレッツ脚本。
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6 コメント

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もやもや (花菱)
2016-05-17 09:37:06
脚本上のモヤモヤを打ち消す役者陣が見どころ?
映画は未見ですが、アメリカの観客はこれが面白いのか、という疑問(たくさん賞取ってるし)。
これはこれで面白く観ましたが。

完全に女優さんメインですもの。なぜか両隣が宝塚ファンの方たちで、視点が違うのも一興でした。ご贔屓さん中心で、他はその他大勢で一括り。
返信する
花菱様 (dacho)
2016-05-18 00:03:40
『バイオレットに救いが無い』
というオチに対してモヤモヤが。

自分も映画は未見なので、
そっちを見れば印象が変わるのかも。


ただ、ここまで出演シーンが
偏っている舞台というのは珍しいですね。

自分の隣は三女ファン
だったので、前半は暇そうでした。
こっちは、前半がフル稼働なのに(笑)
返信する
悲劇喜劇5月剛 (花菱)
2016-05-22 23:06:35
ケラさんの上演台本が載ってます。
やっぱりラストにベバリーは登場しませんね。
無言の2幕はちゃんと「いつの間にか登場し、バイオレットを見つめる」というト書きがありました。

台詞を被せて何人かが発言するのは2~3段組みで書いてあって、これもホンの指示なんだと。
返信する
花菱様 (dacho)
2016-05-22 23:24:21
え、2幕冒頭に居るのは戯曲通りなんですか?

BW版が某サイトにあがってますが、
そっちだと居なかった気がしたので。

戯曲を手に入れて、
BW版を見直そうか、思案中(笑)
返信する
剛ではなく号でした (花菱)
2016-05-23 10:15:09
お読みになるなら差し上げますよ。

この掲載は上演台本なので、ケラさんの指示という可能性も。
原文をあたる気はないので真相はわかりませんが。
返信する
花菱様 (dacho)
2016-05-24 00:07:49
確か最寄りの図書館で
定期購読していたような、悲劇喜劇。

なので、次号が出たら、
それを手元におきつつBW版を。

それよりも先に、
映画版を観るかもしれませんが。
返信する

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