小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

“保湿剤”を塗り比べてみました。

2015年07月16日 09時42分37秒 | アトピー性皮膚炎
 乾燥肌/アトピー性皮膚炎の治療に使用する保湿剤にはいろいろな種類があります。
 基本的な特徴は、以下の通り;

軟膏タイプ:半固形で伸びが悪くベトつくが持続時間は長い。
クリームタイプ:軟膏とローションの中間。
ローションタイプ:液体なので塗りやすい・広げやすいが、持続時間が短くすぐカサカサになってしまう。

 最近、吸水クリームと親水軟膏に興味がわき、現在採用している保湿剤と共に、院内スタッフで実際に塗り比べてみました。
 
白色ワセリン:軟膏タイプの代表。ステロイド軟膏の気剤として頻用されている。プロペト以前に使用していた。
・ベタついて伸びが悪い。
・しっかり塗るとべとつくので、すぐに服を着る気にならない。
・冬は硬くなりやすい。

プロペト:別名「眼科用ワセリン」。唯一「目に入っても大丈夫」な保湿剤なので顔面はこれが基本。
・白色ワセリンより伸びがよいがギトギトしてしまう。

ヒルドイド・ソフト軟膏:軟膏という名前であるが使用感はクリーム。
・伸びがよく塗りやすい。
・シットリ感が続く。

吸水クリーム:ワセリンが40%入ったクリーム。
・広がらない、塗りにくい。
・白色ワセリン/プロペトやりもテカテカしないのでよい。
・粘土のようなニオイがする。

親水軟膏:ワセリンが25%入った軟膏という名のクリーム。
・軟膏とクリームの中間の固さ。
・伸びやすくギトギト感がない。
・ニオイもよい。

 従来当院ではプロペト、ヒルドイドのジェネリックであるビーソフテン油性クリーム、ビーソフテンローションを使用してきました。プロペトの売りは「安全&効果長持ち」ですが使用感は不良、ビーソフテンクリーム/ローションは使用感良好ではあるものの、効果が長持ちせず、添加物による湿疹悪化の問題が残ります。
 今回の「塗り比べ」で親水軟膏の使用感がよいことがわかり、プロペト/白色ワセリンではベタつきに耐えられない患者さん用にラインナップに入れることにしました。
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