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マンガ・アニメの発信力と日本文化(1):「かわいい」

2010年12月15日 | マンガ・アニメの発信力の理由
これまで、日本のマンガ・アニメの発信力の理由として暫定的に次の4点を挙げてきた。

①生命と無生命、人間と他の生き物を明確に区別しない文化、アニミズム的、多神教的な文化が現代になお息づき、それが作品に反映する
②子ども文化と大人文化の明確な区別がなく、連続的ないし融合している
③宗教やイデオロギーによる制約がない自由な発想と表現
④民族や言語、階級などによって分断されない巨大で知的な庶民を基盤にする

最近「かわいい」文化を論じてきて、やはりこれもマンガ・アニメの発信力の理由として触れておくべきだと思うようになった。上の②と関連が深いが、とりあえず独立した項目②としてつぎのような文章をいれ、上の②以下の番号をひとつずつずらしたい。

②小さくかわいいもの、子どもらしい純粋無垢さに高い価値を置く文化

文章は、あくまでも暫定的なものなので、他の項目も含めて、今後さらに検討し、練っていきたい。

ところで、「かわいい」と日本文化のユニークさの関係を考えているうちに、他のすべての項目が、「日本文化のユニークさ」4項目と多かれ少なかれ関連していることを再認識した。

①については、その関係にある程度触れてきた。以下のエントリーを参照してほしい。

マンガ・アニメの発信力の理由02
マンガ・アニメの発信力の理由03

以下では、「日本文化のユニークさ」四項目すべてとの関連をかんたんに見ておこう。

(1)狩猟・採集を基本とした縄文文化が、抹殺されずに日本人の心の基層として無自覚のうちにも生き続けている。

これと① アニミズム的、多神教的な文化が現代になお息づき、それが作品に反映する、との関係は、一目瞭然なので説明の必要はないだろう。上の二つのエントリーでも詳しく触れている。

(2)ユーラシアの穀物・牧畜文化にたいして、日本は穀物・魚貝型とで言うべき文化を形成し、それが大陸とは違うユニークさを生み出した。

牧畜文化が流入せず、遊牧民族との接触がほとんどなかったことが、森林破壊が少なく、また縄文人の心性が日本文化の深層に流れ続けた、一つの理由になっている。

(3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

異民族に征服され、その価値観を押し付けられる経験がなかったからこそ、縄文的な心性が生き続ける結果となったのである。キリスト教によってほとんど抹殺されていったケルト文化とは好対照をなしている。

(4)西欧の近代文明を大幅に受け入れて、非西欧社会で例外的に早く近代国家として発展しながら、西欧文明の根底にあるキリスト教は、ほとんど流入しなかったこと。

上とも関連するが、縄文的な心性が息づいていたからこそ、キリスト教が浸透しにくかったし、キリスト教が支配的にならなかったからこそ、縄文的な基層文化が、途絶えることなく現代に受け継がれたのである。

こんな感じで、次回以降「発信力の理由」の他の項目についても、日本文化のユニークさとの関係をかんたんに見ていこう。

《関連図書》
★『「萌え」の起源 (PHP新書 628)
★『宮崎アニメの暗号 (新潮新書)
★『日本の曖昧力 (PHP新書)

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