シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ブレイブワン

2011-11-15 | シネマ は行

結婚式を間近に控えたラジオのパーソナリティエリカベインジョディフォスターは婚約者ナヴィーンアンドリュースとセントラルパークを散歩中暴漢に襲われ、意識不明の重体に陥る。彼女が目を覚ましたころには婚約者は死亡しすでに葬式も終わっていた。

愛する人を失い失意のどん底にあったエリカは、町で違法に拳銃を手に入れた。ここで、エリカは自殺のために拳銃を買ったのかと感じたんだけど、立ち寄ったコンビニで店員である女性が夫に撃ち殺されるのを目撃してしまい、自分も殺されそうになり拳銃を発砲し男を殺して逃げてしまう。数日後、地下鉄でチンピラに乗客がからまれ、みんなが次の駅で降りてしまってもエリカだけは降りずわざとチンピラにからまれたようになり、今度は二人のチンピラを銃殺する。エリカは変わってしまった自分に戸惑いながらもいわれなき暴力の被害者である自分を守ることのできない法律に愛想を尽かしたかのように私刑を始めた。

エリカの事件を担当する刑事ショーンマーサーテレンスハワードにラジオの取材という形で近づくエリカ。同じような事件が何度か起き、マーサー刑事はエリカに疑いを持ち始める。マーサー刑事に近づいたエリカはまるで彼に自分を止めてほしいと願っているかのようだった。自分のしていることへの葛藤があるのは当然だが、エリカ自身ではもうやめることはできないようだ。

エリカは自分で「復讐してやる」と強く決意して一連の行動を始めたわけではなく、自分が被害者になったときに自分の中の何かが自分でも知らないうちに変わってしまい、それが暴走した結果こうなったという感じで、暴力が人間に与える影響というものがエリカを通して語られる。ただやられたからやり返すといった単純なことではなく、もっと複雑な影響がエリカから感じられ、そのあたりはやはりジョディフォスターだけに説得力がある。

エリカの行動とラストのマーサー刑事の選択を「許せない」と考える人にとっては、ありえない展開の物語だと思う。ワタクシはエリカという女性の行動を非難することはしない。マーサー刑事のやったこともしかりだ。復讐が正しいとは思ってはいないけど、この世には法律でさばけないことも、さばいても納得できないこともたくさんある。そして、それ相応の罰を受けるべき悪人がいるものだとも思っている。だから、映画の中だけでもこんなことがあってもワタクシは良いと思うタイプの人間なのだ。

監督がニールジョーダンなので、絶対にエリカにとって悲しすぎる結末にはならないと思っていた。マーサー刑事の選択もニールジョーダン監督ならそうしてくれるに決まっていると。だから、ワタクシは彼の作品が好きなのだ。

ニューヨークの街独特の雰囲気を背景にエリカが語るラジオの番組も非常にこの物語にフィットしている。全体的に流れる切ない雰囲気がいかにもジョーダン監督という感じで、ジョディフォスターもこの物語にとても合っていると思う。

少し暗い作品だし、復讐劇と聞いて派手なドンパチを期待して見た人はがっかりするかもしれませんが、ワタクシは結構好きな作品でした。

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