長編アニメ映画史上最高の興行成績を挙げていると話題の本作。公開から数週間が経っているので空いているかなぁと思いきやかなり混雑していてまだまだ人気でした。
いやー感動したー。めっちゃ良かったです。CGアニメの美しさ、キャラクターの可愛さ、声優陣の演技の上手さ、楽曲の素晴らしさ、歌唱力の高さ、どれを取っても正にハイクオリティー。やっぱりさすがはディズニー!と唸らずにはいられない作品でした。
王家の王女姉妹エルサイディナメンゼルとアナクリステンベルはとても仲の良い姉妹だったが、姉のエルサは手に触れた物が氷になるという魔法の能力があり、ある日遊んでいる最中に誤ってその能力によってアナにケガをさせてしまったため国王とお妃は城を閉じエルサを人目に触れないよう育ててきた。アナのケガを治してくれたトロールの長老は、エルサの魔法に関する記憶をアナの頭から消してしまった。それ以来同じ城内にいても会うことを許されず育った姉妹だったが、その間に両親は事故で亡くなりエルサの18歳の誕生日の戴冠式で初めて城の門が開かれるとあってアナは大喜び。出会ったばかりのどこかの国のプリンス・ハンスサンティノフォンタナと婚約すると言いだしてしまい、それを止めようとしたエルサが魔法の力を押さえられなくなってしまう。
何と言ってもアカデミー賞オリジナル主題歌賞を受賞した「Let It Go」の素晴らしさに圧倒されました。ディズニー映画は別に吹き替えでもいいかなと思っているワタクシですが、イディナメンゼルの「Let It Go」を聞きたかったので、この作品は絶対に字幕でと思っていました。この曲がどんなシーンで使われるのか全然知らずに行ったのですが、とても意外でした。後半の盛り上がりのところで歌われるのかと思いきや、これが前半のハイライトと言ったところでしょうか。戴冠式で妹アナや国民の前で幼いころから封印していた氷の魔法を使ってしまったエルサが山奥に逃げ、初めは落ち込んでいる様子なのですが、一人になって十数年ぶりに初めて自由を味わい、これからは好きなようにここで一人で魔法を使ってありのままの自分でいられると気付き、それを謳歌して高らかに歌い上げるのです。これまで抑圧されてきたエルサの気持ちの解放が歌声と映像で力強く表現され、両方の美しさが相まって心を揺さぶられじーんとして涙があふれそうになりました。そして、この一曲の中で初めは下を向いていたエルサが堂々と自信を持って生きて行こうという決意溢れる姿になるまでが描かれているのが圧巻です。
「Let It Go」は想像通り、いや想像以上の素晴らしさでしたが、この作品では、もうひとつ意外や意外な嬉しい驚きがありました。それはアナ役を演じたクリステンベル。アテレコの演技のうまさもさることながら、彼女の歌唱力にはまったく驚かされました。イディナメンゼルもオーディションをした製作者側もビックリだったそうですが、彼女は大学でオペラを学んでいて女優になったのも音楽を学んでいたことがきっかけだったそうです。でも、これまで歌の能力を発揮する機会がなく、ここで一気に披露。ダブルヒロインとは言え、映画を引っ張るのはほぼアナでしたから、クリステンベルの才能がこの作品の成功をかなりの部分で担っていると思います。
エルサが城を去ってしまい、アナは自分のせいで行方知れずになってしまったエルサを必死で追いかけます。途中で出会ったクリストフジョナサングロフという氷商人とその相棒トナカイ・スヴェンと共に。北の山を目指す一行にもう一人ユニークな仲間ができます。エルサが小さい頃アナのために作った雪だるまオラフジョッシュギャッド。オラフは魔法の力でできた生きている雪だるま。雪だるまのくせに夏に憧れているひょうきんな奴。ディズニー映画では必ず登場する道化役。このオラフがねぇ、本当に誰からも愛される道化役で、動きもユーモラスだし、超可愛いし、とってもいい奴で大好き。凍え死にそうなアナのために「アナのためなら溶けてもいいよ」と暖炉の火をつけてあげる優しさとか泣きそうになっちゃいました。そして、キャラクターとしてはオラフに押されがちだけど、クリストフとスヴェンも超可愛いです。
エルサを迎えに行ったとき、エルサの魔法で心臓にケガを負ったアナを助けるのは「真実の愛」ということで、ディズニー映画定番の「王子様からのキス」を求めてハンスに会いに行くアナでしたが、ハンスは実は悪者でこの王国を乗っ取ろうと考えていたのでした。そこで「王子様のキス」ってクリストフのことか!?ってなるんですが、まさか21世紀のここへ来て「王子様のキス」でヒロインが救われるなんてことはないだろうと思って見ていたら、やっぱりそれとは違っていて素敵でしたね。ハンスに殺されそうなエルサを身を挺して守ろうとしたアナ。そして、そんなアナをずっと想ってきたエルサの愛。「真実の愛」とは「自分のことを投げ出してでも相手のことを想うこと」っていうメッセージが子供だけでなく大人にとっても感動できる展開でした。
ハンスという悪者は登場するものの、物語のテーマはいわゆる単純な善vs悪ではなく、見知らぬ世界への恐怖と葛藤、自分らしく生きることの素晴らしさや愛する人を守りたいと思う気持ちの大切さを描いているところがこれほどの興行収入を挙げている理由ではないでしょうか。なぜ避けられているのか分からないままに姉エルサを慕い続けた妹アナと妹を傷つけないために自分から身を引いて生きてきたエルサのかけがえのない姉妹愛はこれから先も普遍的に受け入れられていくと思います。
ただ一つ難点を挙げるとすれば、幼いころトロールの長老にエルサの魔法の記憶を消されたアナがそれを思い出すシーンが欲しかった。オラフと会った瞬間か、クリストフにトロールのところに連れて行かれたときがそのチャンスだったと思うのですが、それがないんですよねー。結局アナは子どものときの事は忘れたまんまなの?それは悲しすぎるよ。幼いころアナがトロールに記憶を消されるところをクリストフは目撃していたのにそれに関する言及がなかったのも残念だったな。
恐れて封印することではなく、受け入れて自分を愛することで魔法をコントロールできるようになったエルサ。そのおかげで王国に夏は戻るけど、えーーー???オラフはどうなっちゃうのーーー???と心配していたら、エルサが「特性マイ雪雲」をオラフの頭の上に作ってくれてめでたしめでたし。あぁ、良かった。
映画を見終わってから何度も何度もYou Tubeで「Let It Go」を見ています。何度見ても素晴らしい。日本語吹替え版の松たか子バージョーンも良いし、25か国語バージョンをつなぎ合わせたものが声の質などが同じでディズニーのこだわりを見ることができます。こだわりと言えば幼いアナが閉ざされたドアの向こうのエルサに向かって歌う「Do You Want To Build a Snowman」と歌う一曲の中で幼児から少女へと段階を経ていく声の成長ぶりまでがリアルですごいです。そして、「Let It Go」のシーンを代表として、雪と氷の世界を表現したCGがものすごく美しいです。ワタクシは2Dで見ましたが、3Dでも迫力があって良いだろうなぁと思います。次は吹替え版でも見てみたいです。
色々と言いたいことが多過ぎて詰め込んで書いてしまいましたが、なんだかまだまだ語れそうな作品でしたー。いやー、良かった。
オマケ1エルサの作った怪物をオラフが「マシュマロウ」って呼ぶけど、あれは「ゴーストバスターズ」へのオマージュでしょうか?
オマケ2エンドロールに流れるバージョンの「Let It Go」を歌っているデミロヴァートも合わせると、イディナメンゼル、ジョナサングロフと「Glee」の出演者が3人も。まぁ歌唱系の映画ですしねぇ。「Glee」恐るべし。「Glee」ファンとしては嬉しいところです。
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