シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

デンジャラスマインド~卒業の日まで

2006-10-24 | シネマ た行

何度かここに書いているように、ワタクシは教師と生徒ものが好きだ。ワタクシは世の中をシニカルに見ているところもあるわりに、教師と生徒ものにはたいがいやられてしまう。これもそんな作品のひとつ。

これは1995年の作品で、今見ると、教師のルアンジョンソンを演じるミシェルファイファーも、生徒たちも微妙にダサい。なので、これから見る人はその辺はちょっとガマンして見て欲しい。

この物語、教師ルアンジョンソンの自伝を元に作られている。元海兵隊のルアンが友達の紹介で教師になったが、彼女が受け持ったのは、とんでもない不良クラス。勉強する気どころか、人の話を聞く気さえまるでない、教師が教壇に立っても屁とも思わない子たちばかりが集められたクラスだった。

そんな彼らの注目を引くためにルアンが最初に考えたのは空手。元海兵隊でならした彼女の見事な指導に生徒たちも少し話を聞くようになる。そこからが本番。彼らに文法を教えるときも「I want to die.」のようなショッキングな文章を例に出して教え始める。そしてステップアップ。彼女は彼らが興味を引くような詩を持ってきた。それはボブディランがドラックディーラーや死について歌う詩。生徒たちも徐々に彼女に敬意を持って接し始める。

このクラスの生徒たちはみなスラム街出身の子たちで、自分たちの人生になど初めから何の期待もしていない。何かを望んだところで手に入るワケなどない。それなら、初めから期待するのはやめよう。そんな生き方をしてきた子たちだ。そんな子たちにルアンは「選択する」ということの大切さを教える。“たとえ死ぬとしても、尊厳を持って死のう”そんなことを高校生に説くと教育委員会から大目玉をくらいそうだけど、この子たちに本当に必要な言葉はそういう言葉だったのだ。どんな状況下にいても自分の心の中だけは誰にも何物にも侵されないということをルアンは生徒たちに教えたのだと思う。

彼女が生徒たちの家を訪問するシーンでは、スラムの家庭のさまざまな事情が浮き彫りになり、その状況で望みを持って生きることは確かに強靭な精神力が必要だと知らされる。これは観客の気付きであると同時にルアンの気付きでもあった。

とまぁ、お固く書いてきたけど、お話はユーモラスに描かれているところと緊張感をもって描かれているシーンのバランスがとてもよく、適度に笑い適度に考えさせられるといった感じ。高校生たちもなんやかんや言いながら実は素直な子たちばかりでほっとさせられるしね。中では悲劇も起こり、理不尽な世の中であることを思い知らされもするし、そのこともあり、教師の仕事を辞めようとするルアンには「教えてたこととちゃうやんけーっ」という気もしたけど、最後の生徒たちの言動には感動した。

ワタクシはラップやヒップホップは苦手なほうなんだけど、この映画に出てくるヒップホップ系の曲に関してはメロディアスなものが多くて聞きやすくてGOODです特にCoolioの「Gangsta's Paradise」は最高にクールです。



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