シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

イノセントガーデン

2013-06-19 | シネマ あ行

「オールドボーイ」のパクチャヌュクが監督ということでどうなんだろう?と思いつつ、ミアワシコウスカニコールキッドマン共演ということで見に行くことにしまいした。「オールドボーイ」あんまり好きじゃないんです。巷では評価が高いけど、残虐さとかは全然平気なんですが、単にそんなに魅力を感じなかった作品だったので。

18歳の誕生日に父親リチャードダーモットマロニーが亡くなり、父親っ子だったインディア(ミア)は母親イブリン(ニコール)との距離を測りかねていた。父親の葬式を遠くから見つめていたのは父親の弟チャーリーマシューグード。インディアは遠くの物音が聞こえたり遠くの物が見えたりする特殊な能力を持っておりチャーリーのことも葬式のときから見えていた。

世界中を旅していたというチャーリーのことはイヴリンもあまりリチャードから話を聞いていなかったと言う。しばらく滞在するというチャーリーを挟んでぎこちない母と娘の生活が始まる。

ミステリアスな魅力を持つチャーリーに母は素直に惹かれ、娘は反抗心をもちながらも惹かれている様子。チャーリーが来て以来長年家政婦をしていたマクガーリック夫人フィリスサマーヴィルは失踪し、遠くからやってきたジンおばさんジャッキーウィーバーも「何かあったら連絡して」とインディアに意味深な言葉を残したまま姿を消してしまう。

学校でのいじめをかばってくれた男子ホイップオールデンエアエンライクをインディアは誘惑するが最後まで行けず、それに怒ったホイップが暴力的になったとき、チャーリーが現れ彼の本性を見せる。

マクガーリック夫人とジンおばさんのことでチャーリーを疑っていたインディアはホイップとの出来事で答えが明確に分かるのだけど、インディアはチャーリーの本性を知ると同時に自分自身の本性も知ってしまう。目の前でホイップをチャーリーに殺されたインディアだったが、それに脅えることはなくそれを思い出してシャワーの中で自慰行為までしてしまう。男性の殺人者が殺人に性的快感を重ねるというのは猟奇殺人の場合よくあることだが、女性でそれを表現したのは非常に珍しいと思う。

チャーリーは結局世界など旅していたのではなく、幼いときに弟を殺して精神病院にずっといたところ退院してきてインディアを後継者として迎えにきたというのが秘密ってやつだったんだけど、実は精神病院に入ってたなんてぶっちゃけ大した秘密でもなんでもなかったのが残念だった。インディアの父親が不審死だったってのも伏線なんて可愛いもんじゃないしね。

ただチャーリーがインディアを後継者として見ており、インディアにもその素質があるという部分は興味深かった。お父さんもインディアのそういう面を見抜いていて、動物を狩ることを教えていた。いわく「小さい悪を重ねておくと最悪のことにならずに済む」ということだったそうだ。狩りという“スポーツ”をさせることによってインディアの殺しの本能を抑えようと思っていたのだろう。

物語は色々ミステリアスな雰囲気で引っ張ってはいるものの内容は言うほど大したことはない。ただ、それを飽きずに見られるのは映像の美しさとミアワシコウスカの演技のうまさにあると思う。ニコールキッドマンとか完全に食っちゃってるよねー。末恐ろしい子だ。マシューグードはちょっとワタクシはヴィジュアル的にダメだった。ごめんなさい。なんか鳥っぽい。ニコールはボトックスのやり過ぎで頬が動かなくて唇がめくれあがって変。あの歳でシワが一本もないなんて却って気持ち悪いよ。それで本人もボトックスはもうしないって言ってるらしいけど。懲りて良かった。

ひとつ気になったのが、インディアのおうちは妙に古風な資産家風なのに、高校が普通の地元の学校だったのがなんだか違和感だった。ええとこの子が良く私立のハイソな学校だったほうがまた妙に不気味で良かった気がするのだけど。

結局お母さんイヴリンを殺そうとしていたチャーリーをインディアは殺すのだけど、やはり後継者としての道を歩んでしまうという皮肉っぽいラストはなかなかに好きでした。インディアの側から見ると切なくてはかなくてある意味では美しい物語ではあるのだけど、何の関係もないのに殺された人たちにはたまったもんじゃないわな。

オマケこれはちょっと自分用の忘備録的に記しておきますが、この作品の脚本はウェントワースミラーなんですね。カッコいい役者さんだと思っていたらプリンストン大出身で脚本も書いちゃう秀才だそうで。ビックリです。



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