カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

南仏の夏休み(10)~ラベンダーを探して(3)

2013-07-27 23:26:11 |  └・フランス
美しきゴルド村を出発してラベンダー畑を目指す。

脳内で憧れ続けていたラベンダー畑
青空にどこまでも続く花畑とは違ったけど
その美しさは写真や映像で見ていたものとは比べ物にならない。
 
 
乾いた日差しに照らされて立ち上る香りは
風に乗ってサラリと舞い上がり
あっという間にその谷を埋め尽くしてしまう。

空気に解け合ったラベンダーの香りは
あっという間に私の呼吸から体の細胞の隅々まで行き渡り、
私はその爽やかな香りで満たされる。

どろしとした重い心が中和され
濁った感覚が冴え冴えとしてくるのが分かる。
そして濁った感覚が全て流れ出した私はとても細々としていた。

心の重みを失った私は軽々と、
でもどこか重心を失ったように頼りない。
ラベンダーの香りとともに空気に解けそうになりながら、
それでも強烈に思った事がある。

くやしい、この谷に充満するラベンダーの香りを撮れなくて
みなに伝える力がなくってくやしい。。
 
 
ラベンダーを探す旅は、近くの町で給水タイムをとり終わりを告げた。
ラベンダーの香りと鮮烈な色が幻のように脳裏に焼き付いている。
催眠から目覚めたあとのようなけだるい疲労感を感じつつ、
帰りの車に揺られているのでした。


南仏の夏休み(9)~ラベンダーを探して(2)

2013-07-27 23:19:25 |  └・フランス
マルシェを見終わった私たちは
今度はラベンダー博物館に連れてこられた。
ダイレクトにラベンダーだけを見れないのがツアーの辛いところ。
ま、おまけだと思うしかない。

と、いいつつちょっと楽しみなラベンダー博物館。
何を隠そう博物館と名のつくものは
どんなに小さかろうが大好きだ。

これがその昔ラベンダーの抽出液を作っていた機械

ラベンダーには何種もあり、それらは大きく2種類に分けられるらしい。
ラベンダーとラバジン
どっちもラベンダーだと思ってたけど違いがあるらしい。
ラベンダーからとれる抽出液はとても香りがよく、
大量の花から少量しか取れないのでとても高価なのだそう。
ラバジンは育ちも早く、汎用されているのはこちらだそう。
ほほ~、、なるほどねそんな違いが。

関心しきりで博物館を出たら、出口にある売店で
ラベンダーのマッサージクリームをまんまと買ってしまった。
見事に罠にはまった私であるが、
ま、よい、足すごくむくむし、使い心地よさそうだし
と、誰にでもなく心の中で言い訳している私。

さてさて、ツアーはまだラベンダー畑にたどり着かず、ゴルド村へ。
フランスの美しい村にも選ばれたこの村の景色は絶景!
ああ、ここに立っただけで
なんだか自分が美しい物語の中の登場人物になった気分。

澄み渡る青空、明るい太陽、谷から吹き上げる風は心地よく、
日常のしがらみにどろりと囚われていたものがサラサラと風に飛ぶ。
そこに立つのはむき出しの私。

このゴルド村でお昼休憩らしい。



ちょっと町めぐり。
町の中もとってもかわいい。

丘を吹く風が街路樹をゆらす
葉に反射した銀色の太陽の光がきらめく。

お昼は各自とるようにとのことだったので、
パン屋さんでバゲットと
総菜屋さんでキッシュを買って
木陰に座って食べた。

香ばしいバケットのおいしさもさることながら、
濃厚でたっぷりとしたキッシュのおいしいこと!
どうやったらこんなにおいしいキッシュになるんだろう
ぜひ作り方を教えてほしいっ。


食後はさらに町散策
もはや観光地という雰囲気だけど
どのお店も趣味よくまとめられているし、
丘の斜面に作られた町の小道は
それだけで趣深い。


美しい町を夢見心地で歩き抜け、
ぱっと開けた下界は遥か遠く、
目指すラベンダー畑にはまだまだたどり着かないのでした。

南仏の夏休み(8)~ラベンダーを探して(1)

2013-07-27 22:20:04 |  └・フランス
一人旅の南仏の夏休み、
今日はツアーに参加してラベンダー畑を見に。
子供の頃からなぜだかとても強く頭の中にイメージを持っていたラベンダー畑、
一度実際に行ってみたかった、
というより行けるチャンスを虎視眈々と狙っていたと言った方がしっくりくる。
でも調べるにつけ個人では車がない限りとても行きづらいことが分かり、
費用と労力を考えて、今回はツアーに参加することにした。

まずは待ち合わせのアルルへ。

あれ、マルシェが出てる。
朝食にクロワッサンを買っていただく。
さっくりかる、そしてパリで買うものより素朴な味。

しかし待ち合わせ場所に誰も来ない。。
一抹の不安とクロワッサンをかじりながら待つことしばし、
人の良さそうな男性が迎えにきてくれた。
どうやらこの街でのピックアップは私ひとりらしい。
次のピックアップへ向かう道中、おしゃべり。
フランス人の彼は、学生の頃イタリアへ留学してちょっぴりイタリア語が話せるらしい。
コミュニケーションツールが増えて、さらに会話はもりあがり、車は爽快に朝の光の中を走る。

道中見えるひまわり畑に車中からカメラを向けていたら、
少し時間があるからと車を止めてくれた。

きれい。
朝の光をいっぱいに受けて幸せそうなひまわりたち。
トスカーナのひまわりより少しシャイに見えるのは私の気のせいか。


いろんなところでお客さんをピックアップして満員。
そしてツアーはまずプロバンスの朝市へ立ち寄った。

プロバンスではマルシェが各町を決まった曜日に巡回するシステムらしい。


今日小さな町で開かれていたマルシェは
プロバンスの名産品でいっぱい。


朝市、大好き。
見てるだけでもなんだかわくわくしちゃうっ。



その土地で育ったもの、採れたものを見ると、
そのものたちがそこで過ごした時間が想像されて
なんだかたまらなくロマンを感じるのだ。
そのものたちが過ごした晴れの日、雨の日、春夏秋冬
そのものたちを育てた人の手、
その人たちが過ごした日々、たくさんの苦労、それを支える家族、、

ひとりウキウキといろんな景色を想像をしつつ写真を撮っていたら、
おじちゃんが「僕を撮りなよっ」ってポーズ。

明るい南仏の太陽に恵まれた人々は
その太陽みたいに陽気。

その土地で育つ事、育つ環境、
与えるもの、与えられたもの、
その全ての因果と応報を漠然と思うプロバンスの夏なのでした。

南仏の夏休み(7)~アルル

2013-07-26 21:20:58 |  └・フランス
田舎道をまたチャリンコでひたすらに進み
またアルルの町に戻ってきた。

まるで古典小説の舞台になりそうなロマンティックな町並み。

さて、ちょっと早いけど夕飯。
それも、安い宿がアルルになくって隣町のタラスコンに宿をとったから。
隣町ってったってバスで40分はかかり、
そして終バスは7時半、、急がなくっちゃ。

カフェゴッホで夕飯にしようかなと思ったらアジア人観光客ばっかり。。
自分も観光客のくせになぜかまざりたくないはみ出し者の私、
別のお店に入ってしまった。

この地方のものを食べたいんだけどと聞いて
勧めてくれたのがラタトゥイユにヤギのチーズをのせてやいたもの。
あれ、私ヤギのチーズ食べられたっけ、、
確か昔、臭いだけで気分悪くなって寝込んだ事が、、
ま、いいや、チャレンジ、チャレンジ。

ところがどっこい、これがとんでもなく美味しかった。
臭みなんてなくって、どこまでもフレッシュ。
とろーり煮込まれたうまみたっぷりの夏野菜にとってもあう!
いや~ん、超おいしい!!
満面の笑みで、勧めてくれたお姉さんにおいしいとメッセージ
でしょっ、お姉さんもニカッと笑顔で答える。
ヤギチーズ食べられないとか言わなくってよかった。
よく冷えたロゼワインもおいしいっ。
あはは~、しあわせ~~~

幸せにほろ酔いで
憧れの町の夜は更けてゆくのでした。



南仏の夏休み(6)~ゴッホの跳ね橋

2013-07-26 15:40:01 |  └・フランス
マルセイユから電車でアルルへ。

どうしてもこの町に来たかった理由は
ゴッホの絵画「アルルの跳ね橋」が大好きだからだ。
子供の頃、絵はがきを買って机の前に貼って眺めていた。
ずっと憧れてきたその青、
その景色をこの目で見たかった。

その橋までは駅からずいぶんあるらしく、
駅前のレンタル自転車を借りて行ったとの友達から情報を得て
私も自転車を借りた。
この子がしばしの旅の道連れ。

友達情報によると、いやになるほどガタガタ道を行くとあるとのこと

というわけで、私もガタガタと自転車を走らせる。
 
美しい緑、川は静かな時のように音もなく流れる。

しかし誰もいない田舎道

本当にこれであってるんだろうかと不安になったころ

あ!川の向こうに橋がっ!

これがゴッホの跳ね橋
復元されたものだから、どことなく味気なく
私が何度も夢に描いたものではないけど、
でもここにそれがあったと思えば感慨も深い。

地元の若者らしき子たちがスクーターに乗ってやってきた。
キャッキャとはしゃぎながら水着になって川に飛び込む。
大きく跳ね上がる水しぶきに夏の太陽がきらめく。

私が憧れ続けた景色はもうないと思ったけど、
それは間違えだったと
はしゃぐ若者の様子をみながら気づいた。
かわらずそれは今もここにある、
きらめく夏、その深い青。

まるで白昼夢を見ているように
ぼんやりとその夏に溶けているのでした。

南仏の夏休み(5)~マルセイユ

2013-07-26 14:03:17 |  └・フランス

早朝、朝食のパンを持って電車でプロバンスへ移動。

乗り換えのマルセイユでちょっと時間があったので町ぶら。

青い空と海がまぶしい港町。

ああ、なんていい天気。

あ、魚屋さんがでてる。

捕れたての魚をワゴンに並べて

こんな光景がきっとずっと昔からあったんだろうな。

いいな、お魚買って、私もこの光景の一部になりたい。
旅の途中でなかったら買うんだけどな。。

旅の一日は晴天に守られて揚々と
始まったばかりなのでした。


南仏の夏休み(4)~アンティーブ

2013-07-25 23:58:30 |  └・フランス
カーニュ・シュメールから電車にのって
海辺の町アンティーブへ移動。

ピカソもアトリエを持ったこの町は
海辺の伸びやかな空気に満ちている。

プロバンス市場発見。


お野菜、くだもの、ハーブ、チーズ、オリーブ、、
どれも美味しそう~

市場内で行列を発見。
何かを釜で焼いてるみたいだけど、何だろう。
でもいい匂い~
ハーメルンの笛ひきの子供のように、つられて並んでみる。

焼いていたのはひよこ豆のクレープ。
香ばしいいいかおり。
日陰の階段に座ってお昼休憩。
ひよこ豆を使った料理はイタリアでもよくある。
なんとなく素朴なぽってりとした味の想像をしつつ食べたら、
あれ、なんだろう、とってもおいしい!
ひよこ豆だけじゃなく、チキンスープ的な出汁が入ってるのか
とっても味わいが深い。
そして、かけてあるプロバンス名物のハーブ塩がとってもいいかんじ。
へ~、なんだかいいもの見つけちゃった。

建物の間を抜けてくる海風に
心地よく吹かれている昼下がり。

ピカソ美術館へ。

ピカソのアトリエ跡に作られた美術館。
真っ青な海に臨む建物は、
海の輝きをいっぱいに吸い込んで、
ひとつの大きな光のようになって、
柔らかに、影なく照らす。
そこに集められた美術作品もすばらしく、
本当に満たされた時間を過ごした。

すっかりこの町が好きになった。
この町の光が好きだ。
青い海に反射して飽和した明るい光は
影のない不安定な浮いているような空間を作り出す。
不安定な中にいて安心する矛盾は
その不安定さが私の心と同化するからなのか、
それとも人が生まれた闇に似ているからなのか。


たくさんの町を旅してきたけど、
また帰りたい、そう思った町はそんなにない。
ここは、ここにはまた戻りたい。


観光客を除いてしまえば、何もない小さな港町。

それでもやっぱりいつか戻ってきたい。

その満ちあふれた光があるかぎり。

宿をとっているニースに戻って夕飯。
普段なら何か買って宿で食べるのだけど、
食事するスペースもない共同部屋の安宿、
仕方なくその辺のカフェで夕飯。
すっかり気に入ってしまったニース風サラダと
どうやらこの地方はロゼワインが主流だと、
町歩きの末、学習したので、今夜はロゼワイン。
意外にドライできりりと冷えた感じが夏の海辺にぴったりで。

独り酒をようやくできるような大人になった私は
まだ熱を帯びた夕暮れの海風に吹かれながら、
間もなく来る齢四十の誕生日をぼんやり思っているのでした。

南仏の夏休み(3)~カーニュ・シュメール

2013-07-25 22:44:05 |  └・フランス

翌朝、早速迷子になりまして、
彷徨ったあげくにようやく着いたカーニュシュメール

丘の上の町。


たくさんの印象派の画家に愛されたこの町は
その角を曲がる度に美しい景色が現れる。


かつて画家たちが目を輝かせて見つめた光を
ファインダーを通して眺める時
私の胸は大きく高鳴る。

この村の美しさは特別ではない。
それはここで暮らす人の穏やかな幸せが映すもの。


花に毎日水を注ぐように、
そっと注がれる家族への思いやり、
そうやって紡がれる日々の幸せ。


村の一番上の広場についた。

そこから見渡す景色は
どこまでも晴れ渡っているのでした。

南仏の夏休み(2)~コートダジュール

2013-07-24 23:53:49 |  └・フランス

シャガール美術館を出て、ニースの町を散策。


南仏の明るい日差しを楽しむように
カラフルに彩られたこの町の空気は
熱を帯びたように浮き立っている。


海に出た。

コートダジュール、その名の通り青い青いその海岸

展望台に上ってみた。
 
いつか物語でみたような景色。

人々の夏

たくさんの光を浴びて輝く

ああ、青いな、、
空も海も

ぽつりとひとり青の中にいる
ひとりでいる寂しさよりもなぜかほっと安堵している。
私の抱えていた寂しさやむなしさは
きっと人の間にいて認められない寂しさだったんだ。
誰もいなければそれを感じる事はない。

胸を占めていたものがなくなって、
今一度大きく息をする旅の空は
どこまでも青いのでした。

南仏の夏休み(1)~シャガールとニース

2013-07-24 23:22:35 |  └・フランス

マルセイユ空港からニースへ移動。
なんだか聞き知った雰囲気だけで憧れていた南仏の海辺の町。
降り立った駅は意外にも雑踏の中。
ふーん、ま、駅前ってこんな感じだよねどこも。
その駅前の安宿にチェックインして
鞄を置いて早速外出。

やってきたのはシャガール美術館。
こんなすてきな緑の庭がある。

シャガールを日本で見たときの印象は
思ったより暗くて怖いものだった。
たぶん、あの独特の深い青が日本の光では暗く映ってしまうからか。
イタリアでそれを見たときはもっと明るい印象だった。
さて、シャガールが愛したニースの町で
その絵はどんな物語を語ってくれるのか。

それは何かを純粋に求める強烈な意思、
愛を、恋人や家族とすごす平和を。
愛の画家といわれるシャガール、
その呼び名から温かな印象を受けていたけど、
そこに描かれていた愛は、
渇望し、強く求める愛、
その鮮烈さに私は息をのむ。
のほほんと、比較的ラッキーに生きてきた私は、
こんなにも愛を渇望したことがあっただろうか、、
十分に幸せな人生だけど、でも満たされてる訳ではない、
私もこんなに強く愛を求めていいんだろうか。。

心いっぱいに絵を満たしたあとは、
おなかも満たしたいわけで、
美術館の庭にあるカフェでちょっと早めの晩ご飯。

ニースでどうしても食べてみたかった私の大好物”ニース風サラダ”
この旅の目標のひとつである。
よく冷えた白ワインでのどの渇きを潤しつつサラダを待つ。
ああ、この至福の時。
やってきたサラダは具沢山、
ツナ、卵、アンチョビ、オリーブにたっぷり野菜。
なるほど、これでいいんだ。
そして、カフェなので期待してなかったけど、
これがなかなかどうして美味しかった!

お庭の眺めもよいし、
これ最高だね!

おいしいごはんとワインを皮切りに
南仏の旅ははじまっったばかりなのでした。