カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

南仏の夏休み(20)~旅の終わり

2013-07-31 20:58:22 | ★旅日記

静かで美しい朝。
長い旅も今日で終わり、
そして今日で私は40歳。
あるものは終わり、あるものは始まる。

楽しい旅をともにした友人とも今日でお別れ。
私はフィレンツェへもどり、
彼女は南仏、そしてスペインへと旅を続ける。

宿をとったイタリア国境の町ベンティミリアを
別れを惜しむように二人でしばし散策。

恒例の市場チェック。
お野菜豊富!
写真にはないけど、お菓子もちょっと南仏より。

とても夏の繁盛期とは思えないこの落ち着き。
派手さはないけど、なんだか好きだなー、この町。

美しい青が包み込む平穏。
こんな穏やかな人でいたい。
この景色を心に刻んでおこう。

私たちはお別れとなるボルディゲーラの駅に降り立った。
私はここから急行電車に乗り家に帰り、
彼女は次の旅に出る。

今日も美しい一日になる予感。
青い海を前に、楽しかった旅を振り返り名残惜しむ。

楽しかったな、南仏の夏休み。。

不惑をまえにして惑いまくっていた自分を引きずり回した旅。
そうすれば何かに出会えると思っていた。
旅に出たならばいつも、何かしら自分の中で何かが切り替わるのに、
たくさんみた美しい景色も、
私を惑いの中から救い出してくれることはなかった。
ただ、友達と過ごした楽しい時間だけが、心の小さな救い。

青い、青い海岸線を左に見ながら家路へと付く。
また元の場所へ戻る事の不安をぼんやりと感じている。
私はまたあの惑いの中に戻るのだろうか、、
このまま、夢をもちながらもそれを叶える力もなく、
誰かと静かで幸せな生活を思い描きながらも恋もせず、
ただぼんやりと年をとるのだろうか。。
窓ガラスに体をあずけて、ただただ流れる海の青を見ていた。
電車は否応なく私を運んでいく。
どこへ?
私の帰る場所はまだない。
私は旅をつづけている。

南仏の夏休み(19)~誕生日前夜祭

2013-07-30 23:23:23 | ★イタリア留学日記
途中下車したカンヌからまた電車に乗って、
コートダジュールをイタリア国境にむけて東へ。

宿代がフランスよりも安かったので、
国境のイタリア側の町ベンティミリアに宿をとった。

同じコートダジュールの青い海なのに、
フランスでみたあのおしゃれ感が全くない雰囲気が、
むしろ落ち着いていい感じ。
うん、私、ここ好きだわ。

さて、この旅の冒頭のブログでもちょっと書いたが、
私はこの旅の終わり、明日40歳の誕生日を迎える。
不惑である!
不惑の割には惑いっぱなしで、
不惑とは、40になったら惑わないのではなく、
惑ってしまうから惑うなという孔子の教えだったんだと、
身をもって実感しているところである。

誕生日だからといって、旅の友には特になにも言ってなかったのだけど、
それに気づいた友が、もーなんで言ってくれへんかったん、
お祝いしょ、ケーキ買ったる。と申し出てくれた。
とってもとっても嬉しかった。

そして、なぜかケーキでなく大きなスイカを買ってくれた!
そのスイカを持って海へ。
よーし、スイカ割りだ!
5キロを超える特大のスイカをキャーキャーいいながら割る。

そしてそのままかぶりついた。
ガブガブガブガブ
まさか、40の良い大人になって
スイカ割りしてはしゃいで、
子供みたいになりふり構わずスイカにかぶりつこうとは。
甘い果汁に手も顔もべたべたになりながら、
もうなんだかおかしくって二人で笑い転げながら食べた。

ね、80歳の誕生日に
またここでスイカ割りしようや。
楽しい思い出を未来の約束に変えた。

もう腹筋が痛くなるほど笑いながら、
これからの人生がいままで以上に楽しい物になるような気がしていた。

部屋に戻って、スーパーで買い出した食材で誕生日前夜祭。

旅をともにした友人とはイタリア留学中に出会った。
通っていた学校が同じで顔見知りで、会えば話はするけど、
実際に一緒にでかけたのは彼女が帰国する前の夕飯一度と
日本にもどってから、彼女の住む町に行った時に一度ランチをしただけ。
それでも、同じように何か自分の目標を持って海外に勉強に渡ったという共通点は
私たちを、過ごした時間よりももっと強く引きつけているような気がする。

40歳を迎えるにあたって、
いつになく真剣に自分のことを考えた。
本当にこれでいいんだろうか、
これまでの人生はなんだったんだろうか、
私は何がしたいんだろうか、
このままで、これからどうなるんだろうか。。
いや、やりたい事は明確だ。
でもやっていける自信がない。
しかも事情の分からない海外で、
どれだけ私はやっていけるのだろうか。。
とりとめもない不安は大きな渦となって私を飲み込んだ。
その思いを、ぶちまけまくる誕生会。

彼女は40にはまだ遠いけど、
自分の目標を持つ事、それを進めるにあたっての不安、
それまでに乗り越えてきたもの、自分の事をたくさん話してくれた。
着実に自分の夢を叶えている彼女の話は、私を励ましてくれた。
私も、がんばんなくっちゃ。
何をどうしていいか分からないけど、がんばろう。

夜遅くまで語りあって、0時。
カウントダウンで誕生日を迎えた。
こんなに、こんなに自分の誕生日を大切に、
楽しく迎えたことはなかったかも。

大して自慢できる人生でなくて、
同級生と比べるとそれはとても顕著で、自分が情けなくなるけど、
私が胸をはって自慢できる事、
それはステキな友達がいること。
それが私の人生で今持っている唯一の財産。

ああ、神様ありがとう、
こんなにもステキな友達に出会わせてくれて、
今日という日をこんな風に迎える事ができて、
私はなんて、なんて幸せもの。

本当にありがとう、一緒に誕生日を祝ってくれて。
約束した還暦の誕生日まで、
お互い元気に、そして自分の道を信じてまっすぐ生きていこうね。
それぞれの未来にたくさんの幸せがありますように。

南仏の夏休み(18)~カンヌ

2013-07-30 22:34:35 |  └・フランス
最近のSNSは便利な物で、
旅の経過をちょくちょくアップしていたら、
今カンヌにいるんだけど来ない?と別の友達から書き込みが。
ちょうどマルセイユから東に向かって移動中の私たち。
え!途中下車していけるじゃん!行くっ!
とまあ、とにかくフットワークの軽い私。
旅の友に話したら”ええでー”と。
んんー、さすが、旅の道連れになる友である、イケてるっ。

というわけで、カンヌ途中下車。


ああ、なんでしょ、この一点のかげりもない明るい雰囲気は。
特になにがあるってわけでもない海のリゾート地
ゆとりある人たちのゆとりある夏休みが広がっている。
ああ、こんなところで、何にもせずにのんびり、
お金と時間をおしげもなく浪費するって、
なんかすっごく贅沢な気がする。
一度、一週間でいいからやってみたいなぁ~。
あ、いやすぐ退屈しちゃうかな、しちゃうかも笑

カンヌといえば映画祭!
うん、この世界は見てみたい。
きらびやかな世界への好奇心と、映画で知的欲求も満たされて、
きっと退屈することなんてないと思う。

カンヌに滞在中の友達と合流してランチ。
ここまで来たら、どっぷり夏リゾートなお店でと、
海に向いた外席のあるお店へ。
観光客向けのパサッとしたお店かと思いきや、
お店の人の対応も気さくで親切でとっても居心地よかった。

ロゼワインもあけちゃって、
ほろ酔い楽しい昼下がりなのでした。

南仏の夏休み(17)~ふたりマルセイユ

2013-07-30 22:08:03 |  └・フランス

昨晩、旅の目的「マルセイユでブイヤベース」をおいしく果たした私たち。
今日は移動日だけど、ちょっと早起きして、
マルセイユのシンボル、ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド寺院へ。

マルセイユの町を見下ろす丘の上に立っていて、
町のどこからもこの寺院が見え、まさに町のシンボル。


教会の先端にはイエスを抱くマリアの像が天に向かって立つ。
教会もそれなりに大きいのだが、
バランスに的にその大きな教会にも大きすぎるのではと思う立派な像だ。
それは、どうしても願いを天に届けたいと願った人々の
思いの分だけ大きいような気がする。


内部もとても素敵。
美しい装飾もそうなのだが、
ここへ願をかけて叶った人々が
感謝のしるしに、マリア様に寄贈した品々がたくさんに飾られている。
港を見下ろす丘に立つここは海、航海を見守る寺院として有名で、
航海の安全を願い、また不運にも事故に見舞われた船の安全を祈ったそう。
その願いがかなったお礼の品々で教会内は埋め尽くされている。
その品々は、海に出た人の無事を祈る家族の切なる願い、
幸運にも助かった人の感謝の気持ちをいまでも留めているようで、
見ているとこちらも胸が熱くなる。
人を思う気持ち、感謝の気持ちこそが
この世を救うのではと思う。

観光として色々な教会を見てきたが、
生きている教会をはじめて見た気がする。
人々の願い、それを天に届ける仲介所としての教会。

大抵の教会は人の迷いを諭し、良い方向へ導くために
心を落ち着かせる静寂な空気をたもっているのだが、
ここはまるでちがう。
愛する人を思う人々の無垢なる願いに満たされて
淡い光を帯びているようだ。
その思いはここで強く凝縮され、
光のようにまっすぐに天に向けられる。

心をぴちょんと聖なる泉にひたしたように、濯がれ、
そして強くあたたかい光に満たされた気がする。
全身が感動でいっぱいになった。
ああ、とてもいい場所だ。

教会の丘から見た海。
なんて美しい青なんだろう。。

あ、監獄島イフが見える。
物語にも描かれた島。
そこだけ、そこはかとなく異様な雰囲気もあり、
うん、物語がうかぶのも分かる気がする。

旧港へおりてきた。
ちょうど魚市場が立っていた。

おお、何の魚か分からないけど、いっぱい捕れたね。

今しがた漁を終えて帰ってきた船、
そこからすぐに荷揚げして、その場で売られる。
そりゃあ、最高に新鮮でしょ!おいしいでしょ。

町中の他の市場にも寄ってみた。

おお、立派なカルチョーフィー。
やっぱりプロバンスの野菜は活きがいい!

さすが、漁港。
店先に並ぶお魚も豊富。

人々の思いと、日々の生活に触れ、
観光物件を見るよりもはるかにマルセイユを見た気がする。

1泊したけど、正味1日もなかったマルセイユ滞在。
でも、楽しかったな。
そして、この町がなんだかとても好きになった。
誰かに「マルセイユはフランス一治安が悪いんでしょ」と聞かれたら、
それはわからないけど、でもとても素敵な町だよと答えたいと思う。

楽しい思い出を胸に、私たちは次なる目的地へ向かったのでした。

南仏の夏休み(16)~マルセイユでブイヤベースを!

2013-07-29 23:30:36 |  └・フランス

エクス・アン・プロバンスから電車に乗ってマルセイユに戻って来た。

今日はここに泊まるので早速ホテルにチェックイン。
フランス一治安が悪いときいたし、
建物も昔はきれいだったんだろうけどなんとなくくすんでるし、
ちょっとここの町に泊まるのは緊張してたけど、
狭い安宿の割には、なんかちゃんとしてそうな感じに一安心。

荷物を下ろして、エクスで買ったお菓子で一休み。
どちらもしっかりとした風味と素朴な甘さで疲れた体を癒してくれる。

ほんの少しの休憩後、私たちはまたソワソワと町に出かけた。
じっとしていられない性分の私たち。

まずは港へと向かう。

なんだか好きだなぁ、この港。
観光地ときれいに整備されているせいか、
港特有の、どこかしら隅のほうに巣食う仄暗い雰囲気がここには感じられない。
ただ青く、その先に道を開く、希望とまではいわないけど、そんな感じを受ける。
きっと何かを求めたくさんの人がその道をゆき、
またきっとたくさんの物がここへ届いたんだろう。
その軌跡が青い道のように見える。


さてさて、今夜はこの旅のメインイベント!
”マルセイユでブイヤベース!”

ブイヤベースはマルセイユの名物。
私は、ある小説を読んで以来、ずっとずっと憧れていたのだ。
ブイヤベースをウエイターに注文し、食べる、というだけの短編小説。
小説の内容ももちろん印象深く良いのだが、
なにぶんそこで描写されているブイヤベースのおいしそうなこと。。
いつか本場で食べたいと思っていた。

しかし、元は漁師が食べる郷土料理だったブイヤベースは、
そのおいしさから、今や高級料理に。
そしてなぜか2人前からしかオーダーできないお店が多く、
一人旅でそれを食べるのはなかなか難しい。

なんとなく南仏に旅行に行こうかなと思っていたところ、
たまたま友達が南仏を経由してスペインに旅行する計画だと知って、
じゃあ、予定をあわせて、二人でアレを食べにいこう!となったのだ。

期待に胸を躍らせてお店に向かった。
お店は港から小さな丘をひとつこえた小さな入り江にあった。
海に向いた広い窓ガラスがいい雰囲気のお店。

いちごのスパークリングワインの食前酒と突き出し。
ただのスパークリングワインでなくていちごってところがおしゃれ!
突き出しもおいしくって、気分も盛り上がる。

ブイヤベースに合うと言われているカシの白ワインも頼んで
よしこい、こちとら準備万端!

さて、とうとうやってきました”スープドポアソン”
ああ、どんな味がするんだろう。。

それは濃い深い、海中の魚を凝縮したような味。
おいしいけど、うーん、なんだか私の想像と違う。
小説を読んで、勝手にそれは澄んだ極上の野菜のブイヨンの魚版みたいなイメージでいたのだ。
そういう研ぎすまされた、洗練された一滴ではなく、
なんていうか、、こちらよりというか庶民的というか、
んー、全てを入れて溶かして凝縮しましたっ、的な感じ。
口の中にまったりとざらりと残る魚の旨味、
そしてその向こうに魚が生きてた頃の臭い、
深いというよりは広いものをギュッとしたしたようなスープ。
ふむむ、小説とは違う、というか私の想像が間違ってたけど、
でもこういうものであれば、これはこれで、おいしい。

パンを浸したり、アイオリソースをトッピングしたりしつつ
スープをたのしむ。

そしてひととおりスープを楽しんだ頃に出てくるコレ。
このスープを作るのに使ったお魚さんたち。
出汁は出きっているけど、そこにスープを絡めていただけば
それはまたおいしい。

噂にはきいてたけど、結構ボリューミー。
いつの間にか私たちは黙々と食べ進める事に専念。
それでも完食はむりだった。。

でもでもおいしかった!ごちそうさま。
こんなおいしい夜を共有してくれた友達に感謝。

夢が叶って満足満腹、
小さな入り江の美しい夜景に見送られながら帰路へついたのでした。


<ブイヤベースを食べたお店>
■Chez Fonfon
140 Vallon des Auffes, 13007 Marseille, France
04 91 52 14 38

南仏の夏休み(15)~エクス・アン・プロバンス

2013-07-29 22:30:15 |  └・フランス
さて、南仏の旅は、今日、第二ステージに入る。
今まで「印象派の描いた地をめぐる」一人旅だったのが、
今日から友達と合流して二人旅になるからだ。

友達との合流地点エクス・アン・プロバンスに向かうため、
経由地となるマルセイユにまた戻る。


電車の乗り換え時間を使ってほんの少しだけ散策。
旅行を決めた後に、この町が”フランス一危険な町”だと聞いて戦いていた。
確かにどことなく計り知れなく、荒んだ雰囲気は受けるけど、
危険という感じはまだ受けない。
中心の観光地だけ歩いているせいもあると思うけど、
なんとなく私はこの町を悪く思えない。

マルセイユからエクス・アン・プロバンスへ向かう電車に乗る。

エクス・アン・プロバンスはプロバンス伯爵領の首都として古くから栄えた町、
多くの噴水と緑あふれる町並みが美しい。

私たちも町のシンボル一番大きな噴水で待ち合わせ。
しかし、私がイタリアに発ってからかれこれ3年会ってないけど、
こんなざっくりとした待ち合わせ場所で会えるかな~。
ドキドキそわそわしながら待っていると、
噴水のむこうでそわそわしている人を発見!
お互いを見つけ、交差点を駆け寄る二人。
プロバンスの明るい太陽のもと、
キラキラと水しぶきを上げる美しい噴水の前での再会!
ロマンティック~、これが男女なら。。
いやいや、女友達だって十分感動的、3年ぶりなんだもん。
しかもこんな知らない町、南フランスの美しい町で再会できるなんて!


感動の再会を果たした私たちは早速町歩き。

あ、マルシェ!


マルシェ大好き!
その土地の食べ物を見るのは、
そこの観光スポットを見るのと同じくらい興味深い。

友達は料理関係の仕事をしているから、
さらに目はキラキラ。


ある食材はイタリアの市場とほぼ同じだけど、
例えばハーブの種類だったり、オリーブの大きさだったりが違って、
どことなくプロバンスって感じがする。

南フランスの太陽をたくさん浴びて育った野菜や果物は
みんなパッツンパッツンまん丸に肥えていておいしそう!

ああ、ここに家があったら色々買って帰るのになぁ。

ひととおり散策をしてお昼。
ずっとひとりごはんだったから、
乾杯!ってできるこの喜び!
お酒もぐぐっとおいしく感じる。

写真右はオリーブのペースト。
これが、とーってもおいしかった。

サーモンの3種の前菜の盛り合わせ

こちらはフォアグラのサラダ
どちらもなかなかおいしかった。

緑の葉を揺らす風が心地いい。。


昼食後の腹ごなしにまたお散歩。


あ、これはこの町の名物お菓子カリソン・デクス。
買わなきゃ!


水と緑が本当に美しい町。

サン・ソーヴール大聖堂にやってきた。


絢爛豪華な外観とは一転、
ひんやりとした空気はゆらぎのない暗い水の底のように黙している。

ちょうど回廊のガイドツアーが始まるところだったので参加。

フランス語でのガイド。
ガイドさんが明らかに東洋人の私たちを見つけて、
フランス語わかるかい?と聞いてくれたので、
いいや、イタリア語だったら話せるんだけどね、と答えたら、
おお、そうかい、ぼくイタリア語も話せるから、イタリア語でも説明してあげるよ。
とっても気さくでいいかんじのガイドのおじさん。
わぁ、親切~。ありがとーガイドさん。


ガイドは歴史を語りながらもおもしろ楽しくすすんでいった。
ひとつ説明すると私を振り返って簡単にイタリア語で説明してくれる。
今度は私が友達を振り返って簡単に訳す。

回廊ってシンとしたところが多いのだけど、
なんだかここはやけに明るい。
明るいからか、誰かが騒いでいるわけでもないのに賑やかな感じを受ける。
不思議。
こんな回廊で思考をめぐらしていたら、
なんか雑多で楽しい事しか思いつかなそう。


ガイドのおじさんのおかげで楽しい見学ができた大聖堂をあとにして、
ミラボー通りでカフェでお茶でもしよう、と休憩。

木陰が涼やかなカフェの外席に座りまして、
お茶、といいながら、結局ビールを頼む私たち。
フフフ、最高!
ちょっぴり赤いのはチェリーのビールだから。
甘いのかと思ったらそうではなくスッキリこくのあるビールだった。

そろそろ帰りの電車の時間が近づき、駅へもどる。
よく考えたら色々他の観光スポットのがしてる気もするけど、
でもいい。ああ、楽しかった!
一人旅も気楽でいいけど、やっぱり誰かがいてくれると楽しいね!

そして私たちは次の町へ向けて電車に乗り込んだのでした。

南仏の夏休み(14)~サン・レミ・ド・プロヴァンス(2)

2013-07-28 23:18:16 |  └・フランス

ゴッホの描いた道をたどりながら町に戻った。


町は街路樹の緑が美しく、爽やかな印象。
小さいながらもはなやかさと賑やかさがある。

あ、マルシェだ。
その土地の市場やスーパーを見るの大好き。


プロバンスの太陽をたっぷり浴びたおいしいものたちが並ぶ。
おいしそうなケーキを見つけたので買ってみる。
この地方でよく食べるオレンジとスパイスのケーキらしい。
量り売りでどのくらいか分からないので適当に買ったら、けっこう高かった。。
でもでも、ちょー超おいしかった。
生地はしっとりコクがあって、スパイスの香りが絶妙に良いこと!
一欠で元気になっちゃいそうなおいしいパワーみなぎるケーキ!


町をブラブラ、町並みも落ち着いてていいし、
かわいいお店もたくさん。
いいね~、なんだか好き、この町。


この町はノストラダムスの生地でもあるらしく、
これはノストラダムスの泉。

ゆっくり町を見て回って、帰りのバスまで少し時間がある。

町のはしっこの小さなバールを選んで休憩。
南仏でそのおいしさを知ったロゼワイン。
すっごく喉も乾いてたし、時間的にこのくらいいけるだろうボトルで注文したら、
「え?君ひとりだよね?」と目を丸くされた。
はい、ひとりですが、りょうこひとりです、基本単位が違います。

あきれ顔のお兄さんを尻目に、
乾いた風に吹かれながらグラスを傾ける。
今日見た景色の事、なんだか疲れ果てている私の心情など、
ぼんやりと考えているのでした。

南仏の夏休み(13)~サン・レミ・ド・プロヴァンス(1)

2013-07-28 22:44:39 |  └・フランス
サン・レミ・ド・プロヴァンスはゴッホが療養した修道院があり、
そこでも数々の作品を描いた町。
今回の旅の目的のひとつ「ゴッホの描いた地を訪ねる」にはぜひとも行きたかった町。

しかし、ただでさえ本数の少ないサン・レミ・ド・プロヴァンス行きのバスを逃してしまった。
ネットで調べておいたバス停が違うのかもしれない。
半泣きになりながら、もう一度時刻表を調べ、
バス停を周囲の人に聞いて確認。
でも聞いてもみんなあんまり知らない。。
そりゃそうだ、地元の人はバスではなく車だろうし、
それ以外は観光客。それもそこへ行く人はきっと少ない。
めげずに何度も何度も繰り返し人に聞く、イタリアで学んだ道を探す方法。
ようやく一人のバス運転手さんが、
次に来るバスがそうだからここで待ってなさいと教えてくれた。
不安いっぱいの胸にようやく一筋の光、
ドキドキしながら待っていたら、ほどなくしてそれらしきバスがやってきた。

バスはいくつかの小さな村を経由して遠く私を運んだ。
時間があればぜひとも立ち寄りたい魅力的な風景、
でもただでさえ1本バスを逃しているのにそんな余裕はない。
またね、次の目的にとっておこう。

そんなこんなでようやくたどり着いたサン・レミ・ド・プロヴァンス。
こじんまりしているけど、緑あふれる美しい町。
町も見たいけど、まずは目的地のゴッホが療養したサン=ポール・ド・モゾル修道院へ。
町からちょっと離れているらしいので、観光案内所で確認しようと思ったら、
日曜日で休みだった。そう、、休みよね。知ってる、日曜はみんな休みたいって。
外にあった案内看板のざっくりとした地図をたよりに行くしかない。
ほぼ道なりに進み左折、目測、徒歩20~30分ってところかな。

なんとも殺風景な林道を歩く。
切り立った岩山から乾いた風がぶっきらぼうに吹き下ろす。
ゴツゴツとしたオリーブ林が囲んでいる。
私は少し悲しくなった、
こんな寂しいところで、ゴッホは癒されたんだろうか。
より寂しくなって心は縮んでいったのではないだろうか。。


その奥にある修道院はとても楚々としたものだった。


周囲の無骨な風景の中で
そこだけひんやりと穏やかな空気を保っていた。


裏庭に出てみる。



カラカラになったラベンダーから乾いた風がさらに香りを奪い取る。

静かに音も立てず、まるで氷るように蒸発していく空気

きっとこの景色、この空気感は彼の見たものとそう変わらないのだろうけど、
これを見て、彼は何を感じ、どんな思いでいたんだろう。。

帰り道は、裏道を行く。


この辺りにはゴッホが描いた景色がたくさんあり、
その場所にはゴッホの絵付きの案内板がある。
絵と比べられるからとっても分かりやすい。

ああ、この絵も見た事あるなー、こんな景色だったんだ。

殺風景だけど、美しい光に満ちた場所、
こんな穏やかな場所に居ながら、
私はなぜか寂しさとリンクしてしまった。
それは私が勝手に彼の寂しい心を想像してのことだけど、
この村の美しさがやけに胸にしみるのでした。

南仏の夏休み(12)~アルル再び

2013-07-28 20:01:36 |  └・フランス
早朝、宿泊先のタラスコンの駅を発つ。

なんだか実家の最寄り駅の風景を思い出す。
朝の光、澄んだ空気、それだけの朝。


着いたのはアルル、今日はここから、サン・レミ・ド・プロヴァンスに行く予定。
ゴッホが精神病をわずらったとき療養した地、
その地を訪れるのも今回の旅の目的のうちのひとつ。

と、その前にアルルの町をひとめぐり。
そのために早起きしてきたんだもんね。


さらっと町を一巡りしてバス停へ。
ネットで調べたバス停で待つ。
時刻表も張ってあるのだけど、、
が、しかし、どうも不安。。
なぜなら、そこは大きなロータリーになっていて、
この位置だと外へ行く途中でなく、駅に向かう方になる。
と言っても反対側にバス停はないし。。
時間は経ち、不安はどんどん大きくなる。
ようやくやって来たバスの運転手に聞いたら、
わかんないな~って、え?!!!運転手なのに?
時刻表を指し、このバスなの、と必死に訴えると
運転手さんもお客さんも一緒になって時刻表をみてくれた。
そしてそのバスは今日はないよ、と。
え?!!!!!
途方に暮れる私を残して、
気の毒そうな顔でじゃあね、と二人は行ってしまう。


ん~~~、納得いかない、、
が、バス停でたたずんでいても何の解決にもならないので、
とりあえず、アルル散歩の2週目をスタート。


なんだか途方もなく、泣きたい気分。
ゴッホの過ごした場所を見るのは
今回の旅の目的のひとつだったのに。。
どうして?ゴッホは私にその景色を見せたくないの?
全く関係のないゴッホを逆恨みしてみたりするけど、
悲しい気持ちは変わらないし、事態が好転する訳もない。


遺跡をぼんやりと眺める。
これらがまだピッカピカの建物だった頃を思い浮かべてみた。

人のざわめき、生活のにおい、生きるという事。。
医療もない、情報も知識も少ない、今よりも混沌とした世の中で
きっとみんな必死に生きようとしていたに違いない。

くよくよしてても始まらない。
wi-fiのあるカフェを見つけ出し、ひとり作戦会議。
今後の予定を検討しても、そこに行けるチャンスは今日しかない。
バスの時間をもう一度調べ直す。
あと3時間後に1本バスがある。
あちらでの滞在は短くなるけど、帰りのバスにも間に合いそう。
相変わらずバス停が分からないけど、
本当にこの時刻表があっているか分からないけど、
これに賭けよう。

さてと、ではこの3時間、何しよう。

ようやくお店が開き始めた。


フラフラとお店に入ったりしつつ町を歩く。

とってもかわいいアンティークのカップを見つけてしまい、買うかどうかとっても迷う。
しばし悩んで、もし次のバスに乗れなかったら買おうかなとか思いつつ店をでる。


あ、そうだ、友達がおいしって薦めてくれたパンディバニュ?バニャ?を探そうかな。
私の大好きなニース風サラダのサンドイッチバージョンらしいんだけど、あるかな?

開いてるパン屋をのぞくけど、どうもそれらしきものがない。
町のハシまでたどりついて、そこにあったパン屋さんで聞いてみたら、
あ、今できたわよっておばさんが出して来てくれた。
あった!!
わーい♪

なるほどね、ツナとたまごと野菜とオリーブと、
ニース風サラダの具が中にたっぷり入ってる。
う~ん、おいしい!
バゲットのおいしさも相まってとってもおいしい。
すぐさま教えてくれた友達にSNSで報告。

バスに乗れるかまだまだ不安、
でも美味しいサンドイッチと、
パン屋さんのお母さんの明るい笑顔に
少し癒されている川縁なのでした。

南仏の夏休み(11)~アヴィニュン

2013-07-27 23:46:52 |  └・フランス
さてさて、ラベンダーツアーの車をアヴィニュンで降りた。
実は行きに乗ったアルルでは私の泊まる町までのバスの最終に間に合わないと判明。
ガイドさんと知恵を絞り合って、
アヴィニュンからならまだ電車があるということで、
予定外だけどそちらで降ろしてもらった。

ラッキーな予定外で見る事ができるようになったアヴィニュンを
早速ひとめぐり。


教皇も住んだという町はとても立派。

威風堂々と美しい。

この町を襲った歴史の波にも打ち勝った
誇りを感じる佇まいである。


今まで見て来た実質で楚々とした美しさのある南仏の町とはずいぶん印象は違うけど、
見るに値する美しい町。

ローヌ川のゆったりとした流れが町の美しさを際立たせている。

さてさて、美しい川面の光を眺めながら晩酌としますか。

こうやってみると、架けても架けても橋が落ちるほど
荒れ狂う川には見えないけど、
強きものというものは普段はこんなふうにゆったりと見えるものなのかな。
例えば私もこの流れのようにゆったりと構えていたら、
いつかしっかりと海へとたどり着くということなのか。
異国の地で、ビール片手にしばし物思いにふけるのでした。