北イタリア、アルト・アディジェの旅、
泊まった宿は本当に素敵な宿でした。
昨日、メラーノで夕飯を食べ終わって、今から行くからと宿に電話した。
泊まる宿はメラーノからバスに乗って随分離れた所、
シーズンオフで安くしてあったのでそこにしたのだけど、
知らない町の夜道は怖いのでバス停まで迎えに来て欲しかったのだ。
これからバスに乗るけどバス停まで迎えに来てくれる?と聞くと
あら、あなたどこにいるの?
今からメラーノまでお母さんを送りにいくから駅まで迎えにいくわ。
と、親切に申し出てくれた。
ありがとう、助かるわ、と迎えに来てもらった。
でも、顔も分からないし、ちょっと不安になりつつ駅で待ってると、
かわいらしい笑顔のお母さんが迎えに来てくれた。
良かったわ、見つけられて。
でもかわいらしいアジア人はあなたしかいないからきっとそうだと思って、とお母さん。
いやいや、お母さん、かわいらしいのはあなたです。
車にはお父さんもいて、豪華に二人でお出迎えいただいた。
車中、明るくてほがらかなお母さんに比べ、お父さんはだんまり。
静かな人なんだろうか、、イタリア人にしてはめずらしいと思っていたら
その理由をお母さんが説明してくれた。
私たちはチロルだからドイツ語なの。
お母さんのイタリア語もすっごくなまってるけど、
お父さんはほとんどイタリア語が話せないらしい。
ここ、イタリアなのに。。
でもなんだかおもしろくなってきた!
この夏、オーストリアに行って覚えたチロル地方の挨拶「ぐりゅすごっと」を披露すると、
お父さんが、おお!と喜んでくれた。
調子に乗って、唯一知っているドイツ語「あいんびーらびって(ビール下さい)」というと、
声を上げて笑ってくれた。
なんかちょっと仲良くなれたかもっ。
お部屋はとってもきれいで、新築なのと聞いたら、
そんなことないわ、もう何年も経ってるのよと。
でもそうとは思えないきれいさ、
たくさんの人が通り過ぎる宿のくすんだ感じはなく、
大人になって都会に出てしまった娘さんの部屋を借りてる感じ。
誰かのお宅におじゃましたみたいなアットホームな雰囲気。
そういえば、
明るくて丸くてちっちゃいお母さんと、
四角くて長くてシャイなお父さん、
なんだかウチの両親みたいだから、よりそう感じるのかな。。
よく眠れた一夜を過ごし、朝食。
カプチーノの甘いパンだけのイタリアの朝食ではなく、
ハムとチーズとライ麦を使ったパン、シリアルやヨーグルトまである
オーストリアの朝食と同じスタイル。
どれもとってもおいしかった。
そして大きな窓の外は晴天!
そして私は、むしゃむしゃとライ麦パンを食べながら考える。
たった1泊の貧乏弾丸旅行、本当は今日でフィレンツェに帰る予定だったけど、、、
こんなにきれいな青空を見せつけられて、
それでも私はお金がないからっておめおめと帰るのか。
否!
いや、撮るでしょう、この抜けるような青空を、
そこに映える山を、森を、湖を!
お母さんに聞いてみる、今日の夜も空いてる?
空いてるけど、今日も泊まりたいの?
とってもいい天気だから、一日延ばしたいの。いくらで泊まれるかな?
いいわ、昨日と同じ値段で。
本当に!ありがとう、じゃあ、今晩も泊まるね。
喜び勇んでカメラを持って外へ出る。
晴れ渡る空、標高が高い場所特有のピンと澄んだ空気
深い森が吐く霧に朝日が乱反射してえも言われぬ美しい世界を映し出す。
そこへ踏み出す喜び、
ああ、天気の神様ありがとう、この青空。
空に続くこの道を進んで、私の旅は続くのでした。