ちょっと、今日は路線を外して、久しぶりにまゆの話をしてみたいと思います。
「親友」と呼べる友達を、自らの未熟さから傷つけ、失ってしまった代償は大きかった。
チエは、自分の結婚式が近づいた時、
「友人のスピーチ」を誰に頼むか・・・という課題が一番困難だった。
学生時代、女友達とつるむ。ということがほとんどなかったチエにとって、
「自分を一番理解して、支えてくれた友達」と言うのは、まゆしか思い当たらなかったのだ。
でも、まゆはもぅチエのそばにいなかった。
それは、チエのせいだった。
そのことを、まゆと離れて9年たった結婚間近になって、もぅいちど
思い知ったのだ。
高校を卒業して、2年ほどたった20歳の夏。
チエは、地元の駅のホームで偶然まゆに会った。
口をきかなくなってから、すでに4年の月日がたっていたが、お互いすぐに気が付いた。
まゆはリクルートスーツに身を包み、就職活動に向かう途中で、
チエは短大に向かう途中だった。
隣りあわせでホームに立ち、無言で電車を待つ事10分。
ゆっくりと電車がホームに入ってくる。
同じ電車に乗り込み、自然と隣の席に座った。
「久しぶり。」
チエから話しかけた。
まゆは
「うん。久しぶり。」
と静かに答えた。
その日は平日のお昼間で、電車にはほとんど人は乗っていなかった。
ゆっくりと動く電車の中に、暖かい陽が差し込み、
時間がゆっくり流れていくように感じられた。
ヒロト先輩との関係が終わり、まゆとも関わりがなくなった後は、
本当にほとんど2人の顔を見ることがなく、
卒業するまでのほとんどを保健室ですごしたチエは、その後のいきさつを何も知らなかった。
結局、まゆとヒロト先輩が付き合ったのかどうかも、
チエの事を、まゆがどう思って過ごしたのかも、何も知らないまま、4年が過ぎていたのだ。
チエは、その話題を切り出そうか迷った。
何せ4年もたっているのだ。
もぅ、過去の思い出になりつつあったし、あのあと、チエは普通に色んな恋愛をした。
まゆもしただろう。
今なら、笑って話せるんではないだろうか・・・。
あの時言えなかった「ごめんね」を、今なら・・・
と思ったが、切り出せなかった。
自分が、裏切って傷つけた側だったから。
安易に口に出してはいけない気がした。
まゆからも、その話題には一切触れなかった。
まゆは、「学校?」と聞いてきた。
「うん、まゆは?」
「まゆは面接。朝からめっちゃ緊張して、もぅ大変」
と笑った。
まゆの笑顔を見て、少しホッとした。
(良かった。笑顔で話せる。)
それからたくさん話をした。
卒業してからの事。
チエの大学の事。
新しい生活の事。
今、仲いい友達の事・・・。
でも、お互い高校時代の話には一切話題を触れなかった。
それが何だか、微妙な緊張感をいつまでも続かせた。
電車が走る事15分。
そろそろまゆが降りる駅が近づき、チエは、少し焦り始めた。
「短すぎる。」
そぅ思ったのだ。
卒業してからも、ちえはずっとまゆに会いたかった。
でも、会う口実が見つからず、会っても何を話せばいいか分からず、
自分から会いに行く事は出来なかった。
だから、この狭い街のどこかで、偶然会えることを、心のどこかでずっと期待していたのだ。
そして偶然にも、もぅ半分忘れかけていた頃に、こぅやって再会し、今やっと普通に話せている。
チエは嬉しかった。
もっともっと話していたかった。
でも無情にも、「次は~○○~。○○~。」とアナウンスが入る。
チエは、ここで終わりたくなかった。
降りる準備をしかけているまゆに、
「まゆ、よかったら携帯教えてくれへん?」と、
出来るだけさりげなく聞いてみた。
まゆは、「あ・・・うん。」と答え、
「いいよ」と笑顔で答えた。
その微妙な間と一瞬こわばった表情を、チエは見逃さなかったけれど、
「いいよ」の言葉に胸をなでおろした。
ガサゴソ・・・
かばんを探るまゆ。
携帯が見つからないらしく、困った顔をしている。
しばらく待ったが、携帯は出てこず、
「ごめん。家に忘れてきたみたい・・・。」と言われ、
もぅ駅のホームに差し掛かり、止まりかけてきた電車に焦っていたチエは、
「じゃあ、今日家に帰ったら電話かメールして!」と、
自分の番号を書いたメモをまゆに渡した。
プシューーとドアが開き、
まゆはチエのメモを握り締め、手を振って電車を降りていった。
チエは、笑顔でまゆを見送った後、
心踊るような気持ちで電車に揺られていた。
まゆと会えたことが嬉しかった。
普通に会話が出来た事が嬉しかった。
そしてこれから、
またまゆとしゃべってり遊んだり出来るようになるかもしれないと思うと、
嬉しくて胸が弾んだ。
・・・でも、2日たっても、1週間たっても、
まゆからの電話も、メールも、来ることはなかった。
「メモをなくしたのかな・・・?」とも思ったが、そうではなかった。
本当はもぅ何となく分かっていた。
まゆは、携帯を忘れてなどいなかったのだ。
大事な就職面接の日に、携帯をうっかり忘れるはずがない。
携帯を探している間、本当は、携帯はかばんの中にあったのだろう・・・。
そして、「どぅやってこの場を切り抜けようか」と、
まゆは必死に考えていたのだろう・・・。
携帯番号は教えてもらえなかった。
チエは、まゆに仲直りを拒否されたのだ。
そぅ思うと悲しかった。
・・・が、それほどまでに、まゆの心の傷は深かったのだろうと思うと、
チエは自己嫌悪でヘコんでしまった。
チエはそれほどまでに、まゆを深く傷つけてしまっていたのだ。
容易に話しかけ、携帯を聞き出そうとした自分が恥ずかしくなった。
そんな簡単なものじゃなかったんだ。
時間が解決してくれてると、心のどこかで甘えていた。
チエは、まゆを失って4年。
自分がしたことに目をつぶり、時間がたつにつれ罪の意識を消していき、
謝る事も出来なかったくせに、「まゆとの復縁」だけを期待していた自分が、どぅしようもなく情けなくなった。
そして、もぅ一度、自分が犯した罪のデカさを、しかと思い知らされた。
そしてチエは、その日を境に、
まゆとの仲良かった頃の思い出は、
永遠に自分の中に封印するを決意した。
チエちゃんの実話エッセイ。
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