陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

浅井学園問題

2006-05-29 09:41:57 | 教育と研究

 昨年秋頃から、北海道江別市文京台にある学校法人浅井学園の補助金不正流用が話題になっていた。今年5月になって、それに関連した情報が多く見られる。この事件では、浅井幹夫前理事長(2005年12月4日辞任)の資質に大きな問題があるのは間違い無いし、同時に学園側には組織運営面で致命的欠陥があると感じる。

 浅井氏は、文部科学省の平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」委員であり、第4審査部会主査を務め、短期大学基準協会理事や生涯教育関係の役員も兼任しているから、同省には任命権者として大きな責任がある。

 まずは、読売新聞の記事から

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買い物5000万円、払いは浅井学園…前理事長と家族

 国の補助金の不正受給が発覚した札幌市の学校法人「浅井学園」が文部科学省に報告する内部調査結果の概要が28日、明らかになった。

 業務上横領罪などで起訴された前理事長・浅井幹夫被告(57)が、個人的に利用するために、ハワイや東京に学園施設を取得していたことや、学園名義のクレジットカードを家族に持たせて自由に使わせていたことなど、主に5項目を挙げている。文科省は報告を待って、補助金の追加返還などを命じるとみられる。

 関係者によると、調査結果の内容は、〈1〉大学校舎の外壁補強工事費を巡る国の補助金の不正受給〈2〉架空工事などによる私的流用〈3〉学園関連人材派遣会社を巡る不正支出〈4〉ハワイなどの学園関連施設での私的流用〈5〉学園名義の法人カードの不適切な取り扱い――など。〈1〉~〈3〉は捜査当局が立件している。

 ハワイの「サテライトスタジオ」は、3年前に約250万ドルで学園が取得した。ハワイの大学との提携などで活用したとされていたが、調査の結果、「学園職員などの利用はほとんどなく、必要性も認められなかった」とされ、浅井被告が事実上、個人的なレジャーに使っていたと結論付けた。ハワイでは、高級外車数台のリース代金なども学園経費から流用されていた。

 学園名義のカードは、浅井被告が学園事務局の部長職にある長女と教員をしている長男に、学生時代から持たせ、衣料品などの購入や飲食費などに使わせていた。浅井被告本人分と合わせた私的な使用額は5000万円以上に上るという。

 調査結果ではこのほか、浅井被告と長女が東京で借りていたマンションの家賃などそれぞれ毎月約40万~90万円や、東京出張時に使っていた高級外車「ベントレー」「フェラーリ」「BMW」など数台の経費も私的流用として挙げている。

(2006年5月29日3時4分 読売新聞)
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 いやはや、実に呆れた強欲振りだ。如何に親から受け継いだ財産だからと言って、教育機関を勝手に私物化するのは許されない。大学の責任者としても、恥ずべき振る舞いである。この人物、学生の前で講義をしていたと言うから、笑止千万である。
 メールマガジン「大学情報」No.0097(2005.7.7)によると、

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 浅井学園大学(浅井幹夫学長)は本年度から、ヨサコイ踊りに関する科目を新設した。科目名は「地域文化-YOSAKOIソーラン祭り(踊り)-」で、集中科目として開講。札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」(6月8-12日)に踊り手として出場すれば、2単位を認定する。学生は同祭りまで学内のヨサコイサークルに所属し、踊りを練習。本番後にはリポートも提出する。舞踊文化におけるヨサコイ踊りの位置付けなどの講義も受講するという。
◆関連ホームページ◆
☆ 浅井学園大学 http://www.asaigakuen.ac.jp/
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 実技を伴うと言えば格好良いが、これで2単位も貰えるなら学生も楽だし、教師も手抜きして居られる訳だ。他の教科もこのような調子なのか。それで、浅井前理事長の情報を見ると、

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軋む学園 第3部・堕ちた理事長<4> (2006年3月6日)
2代目資質に疑問符

 「研究所員でなくなるが、それでもいいのか」――。学校法人「浅井学園」の理事長兼学長だった浅井幹夫容疑者(57)が辞任を表明した昨年12月4日午後。浅井容疑者は、生涯学習システム学部内の生涯学習研究所員も辞めるかどうかを、関係者に問われた。

 経営者になって遠ざかってはいたが、学究の道との決別の覚悟を確認する質問だった。1~2分黙りこんだ後、浅井容疑者は、「それも辞める」と言明した。

 創業者の息子とはいえ、浅井容疑者には助手から講師、助教授、教授と段階を踏んだ研究者としての経歴もある。高齢者や障害者の福祉、生涯学習などについて、共同執筆の著書や監修者に名を連ねた本もある。

 「報道があるまで、一連のことはまったく知らなかった。研究者としては対等に激論を交わすこともあったし、非常に残念」と、共著のある関係者は話す。

 しかし、「生涯学習などを語れる知識はほとんどない」「ススキノに頻繁に出かけ、自宅に女性を大勢呼んではパーティーばかり開いていた」との声も多い。

 「他の大学の教授から『理事長の専門は夜の生態学ではないのか』と言われ、恥ずかしい思いをした」と、別の教授は明かす。

◇浅井容疑者は1990年、2代目理事長に就任。初代理事長の父、服飾専門学校創始者の母が築いた学園を名実ともに引き継いだ。

 札幌の市立高校時代は、アイビーファッションとバイク好きだった。同級生たちは、当時の浅井容疑者を、「流行に敏感で、女子生徒からの人気も高かった」と口をそろえる。

 一方で、「両親が教育界の著名人だったので、何かと注目される存在だった」との記憶も共通している。浅井容疑者と仲が良かったという男性は「両親が授業参観などで来校すると校長以下、多くの先生たちが出迎え、丁寧に対応していた」と述懐。「あれでは息子が自分の立場を勘違いしてもやむを得ない」と語る。

 明治学院大を出て、しばらくは貿易会社を経営したが、学園に戻った。

 同級生は「最初は学校経営を敬遠していたようだが、厳しい父親の下で勉強して、学園を継ぐことが決まってからは『大学を大きくしたい』と希望を持っていた」とも話す。「団塊の世代としても頑張っている人間だと思っていた。友人として、今はばか野郎としか言えない」

◇大学教授や学長の資質はどう担保されているのか。

 文部科学省のある幹部は、「かつては、教授には博士号が必要だった時代もあったが、規制緩和の流れで、各大学の判断に委ねられた。今は国が法令で縛る時代ではないが、学生や親に対して教員の質を説明させるような仕組みが必要かもしれない」と話す。

 文科省の大学設置基準には、次の定めがある。

 「学長となることのできる者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学運営に関し、識見を有すると認められる者とする」

 だが、浅井学園大の同窓会のウェブサイトに、こんな声が寄せられている。

 「在学中、浅井幹夫氏の授業を受けていました。いつも下ネタばかりの授業でとても不快でした」

(読売新聞 2006年3月6日)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/067/10.htm

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 やはりこの人、<団塊の世代>であった。要するに、無責任なのだ。規制緩和も良いけれど、大学教育分野では学長、教授資格を厳格にすべきと思う。客観的な学術業績審査や博士号取得は必要だ。浅井学園は、8000万円の補助金返還と共に、理事会メンバーを入れ替え、教師の資格審査をやり直す等の抜本的な組織改革をする必要がある。

 結城文部科学次官は「あってはならない事態で、極めて遺憾。責任の所在を明らかにし、厳正に対処する」と述べたけれども、もう聞き飽きたと言う気持だ。自分達がこうした学校を認めたのであるから、補助金認定も含め教育機関として設立認可した過程を明らかにして貰いたい。

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