陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ソマリア沖海上警備行動と武器使用権限

2009-02-16 07:10:16 | 国防関連
 ソマリア沖への海自艦船派遣について、具体案が形を現しつつある。集団的自衛権を否定する政府の立場から、日本単独で護衛艦2隻を運用し、武器使用も限定した上で日本関連の商船を護送するとの計画。だが、各国から海軍艦船が派遣されている海域で、それらが統合的に運用されても参加しないとしたら変な話だ。

 武器使用については、海賊が襲って来るまでは使用しないようで、海賊側がはるかに有利である。海賊が遠距離からのロケット攻撃などしてきたら、どうするのであろう。


護衛艦2隻がセットで護送、4日に1度で護送漏れも ソマリア海賊対策
2009.2.16 01:16

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、防衛省が検討している海上自衛隊の活動概要が15日、明らかになった。商船の護送方法は、日本から派遣する護衛艦2隻が商船を前方と後方から護送し、護衛艦搭載のSH60哨戒ヘリ1機が上空から周辺海域の監視にあたる。防衛省は、全長約900キロのアデン湾の航行に片道2日かかると試算しており、商船の護送は最多でも4日に1回のペースに限定されることになる。

 防衛省は、自衛隊法82条の海上警備行動に基づき、3月上旬に海自第4護衛隊群(呉基地)所属の護衛艦「さざなみ」(4650トン)、「さみだれ」(4550トン)の2隻を派遣する方針だ。2隻は格納庫を使用すれば哨戒ヘリ各2機を搭載可能だが、海自特殊部隊「特別警備隊」が使う特殊ボートの収容で格納庫の活用が不可能なため、各1機の搭載にとどめる。

 海警行動では武器使用が正当防衛、緊急避難に限定される。このため、当面の派遣では海賊船が商船団に近づく前に発見し、進路を変えるなどの回避行動をいかに早く取るかが焦点となる。護衛艦の水上レーダーの監視範囲は十数キロにすぎず、「飛行高度によっては300キロ先まで監視が可能」(海自筋)とされるSH60哨戒ヘリが重要な役割を担うことになる。

 哨戒ヘリには、7・62ミリ機関銃を積み込む。海賊船が停船命令などに応じない場合、船団からできるだけ離れた海域で警告射撃などにより接近をくい止める任務も担う予定だ。

 防衛省幹部は、哨戒ヘリについて「故障した場合や他国艦船への緊急通報に備え、バックアップを含め2機が必要」としており、護衛艦2隻をセットで運用する判断を固めている。

 アデン湾を通航する日本関係船舶は1日6隻程度だが、2隻セットによる護送だと4日に1回程度の護送しかできず、「護送を受けられない商船がかなり出てくる」(自民党議員)との危(き)惧(ぐ)が出ている。また、防衛省は護衛艦の燃料補給のため、2往復ごとにジブチに寄港させる必要があるとみており、給油による任務中断を含めると護送は1週間に1回ほどのペースに落ちる可能性もある。

 ただ、「海賊船の警戒監視をP3C哨戒機に任せれば護衛艦1隻での護送も可能」(海自筋)とされるため、防衛省は護衛艦派遣の数カ月後になるとみられるP3Cの派遣後、護送方法に関する運用の見直しを図る考えだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090216/plc0902160117000-n1.htm


 他国海軍と連携して海自艦隊を運用出来ないのは、日本政府が「集団的自衛権」を否定しているからだ。本来、自衛権に単独的とか集団的とかの区別は無いはずで、平和維持のため状況によって他国と共同で軍隊が動くのは当たり前だと思う。この問題は、海賊と言う限定された相手との戦争なのであるから、他国との連携はもっと自由に考えるべきだろう。

 武器の使用限定に関して、潮匡人氏が朝日新聞に反論した次の意見があるが、中々興味深い内容だ。


【断 潮匡人】越せない一線
2009.2.11 03:15

 2月5日付朝刊1面の「海自の武器使用拡大」と題した朝日記事は「海警行動では外国船を守れないことや、武器使用が正当防衛・緊急避難に限られる」と書いた。この記事に限らずマスコミ報道はすべて不正確である。

 海警行動を定めた自衛隊法82条に「外国船を守れない」とは書いてない。政府が勝手にそう解釈しているだけだ。権限を定めた93条にも「武器使用が正当防衛・緊急避難に限られる」とは書いていない。それは武器使用ではなく危害射撃。新聞もテレビも根拠法令すら読まずに報道している。

 朝日3面に掲載された「海賊船射撃 越す一線」はさらに性質が悪い。「なし崩しの武器使用権限の拡大には批判も根強い」と世論を誘導する。私も「なし崩し」には反対だが、まず事実を正確に報じてほしい。記事は「海上犯罪は海上保安庁で対応するのが筋で、各国横並びで軍艦を出すことはあまりに安易だ」との水島朝穂早大教授のコメントも掲げる。

 海賊抑止は国連海洋法条約上「すべての国」の義務であり、「軍艦、軍用航空機その他政府の(中略)船舶又は航空機」が拿捕(だほ)権限を持つ。昨年10月には「特に海軍艦艇・軍用機の展開によるソマリア沖公海上における海賊行為に対する戦いに積極的に参加することを要請する」安保理決議1838が全会一致で採択された。「安易」もクソもない。

 今後「海賊船射撃で越すべき一線」とは、集団的自衛権行使の壁である。良くも悪くも、今の政府に一線を越す勇気などない。(評論家)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090211/plc0902110316006-n1.htm
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