2年前、Wiiのリモコンを見た時に真っ先に思い浮かんだのが、スクウェア・エニックスの出した体感ゲーム機「剣神ドラゴンクエスト」。買ってきたセットをテレビにつなぐ。そして、実際に剣を振っていけば、テレビ画面上のモンスターを倒す冒険が楽しめるという逸品だ。
実はこの商品、当時見た瞬間に感激して購入したのだが、今のWiiリモコンに比べるといくつかの点で問題があった。
1.剣が全長40cmと結構大きい。
狭い部屋なので座ってプレイしても、剣を振り上げると蛍光灯にぶつかってしまう。冷や冷やしてなかなか熱中できない。
2.購入後、最初に剣の位置などを読み取らせるためのキャリブレーションが必要である。
実はプレイして、上記のような課題があったために、任天堂が「Wii」でどのようにこの課題をクリアしてくるのか非常に興味があった。結論から言うと、「剣神ドラゴンクエスト」とは仕組みが違うのだった。
「剣神ドラゴンクエスト」は、テレビの上に置く箱(紋章ボックス)に電池を入れ、そこから赤外線と思われる信号が出て、それを「ロトの剣」を動かすことで反射させ、それを読み取るという風な動きに見えた。剣の傾きや角度によって、いくつかの赤外線の反射波の変化を読み取っているような印象で、実際には「Wii」に比べると、かなり粗い動きしか感知することができなかった。
「Wii」はこれに比べるとさすがに贅沢な作りになっている。
まず、「Wii」リモコン自体はウィキペディアの記述によればBluetoothデバイスだ。中には加速度センサーと電池を持ち、単体でリモコンの傾き情報を本体に送ることができる。さらに、リモコンとテレビの相対位置関係を調べるために使われるのが「センサーバー」というアクセサリである。「センサーバー」には LEDが5つ埋め込まれていて、常時発行している。それをWiiリモコン先頭で読み取ることで、Wiiリモコンのテレビに対する相対的な角度が分かるようになっている。あくまでも操作情報としてはリモコン自身の絶対的な方向・傾きであるが、発見したセンサーバーの位置関係と差分をとることで、リモコンがテレビに対してどのような角度になっているのかを、かなり高い精度で認識できているようだ。
ちなみに、Wiiリモコンの受光部は、赤外線受光部ではなく、もう少し高級なCMOSイメージセンサだという。かなりシンプル化はされているだろうが、距離制限を緩くするために、センサーバーには5つものLEDが並べられているようだ。そのうち2つ程度が見えれば十分利用できる。
ものの分解記事などでは、本体コストばかりが注目されるが、Wiiリモコンが1個3,000円くらいの価格で提供されているのは、Bluetoothや、イメージセンサ、スピーカー、内蔵、、などの結構高いコストのコントローラーなのではないかと思ってしまう。
結果として、リモコンの自由自在な操作と、その絶妙な操作体系の両方を両立できていると思うのだ。
【続報:Wii分解】「センサーバー」にはセンサがなかった
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061127/124506/
Wii(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wii#Wii.E3.83.AA.E3.83.A2.E3.82.B3.E3.83.B3 |