3次元紀行

手ぶらで地球にやって来ました。生きていくのはたいへん。そんな日々を標本にしてみました。

約束の森の植樹祭 33

2009-05-02 15:49:53 | メルヘン
★122
場面がかわり
舞台は地上。
いよいよ悪者登場です。
悪者とはなんと、
いっしょに木を植えたソラなんです!
約束の森の植樹記念祭を訪れたウミは
ソラの植えた木が枯れかかっているので
ソラをたずねていくことにしました。
「約束の森からの使者としていくときは
 これを着てください」
渡されたのはウサギの着ぐるみ。
ウミは着ぐるみのうさぎさんになって、
メッセンジャーのうさぎさんと
出かけます。

★123
ソラのところに訪ねて行くと
ソラはたいへんなお金持ち。
会社をいくつも経営しています。
しかし、ソラの周りには、
敵意をもった人間が
幾重にもとりまいているのです。
ウミがメッセンジャーのうさぎさんとともに
窓からソラのいる部屋をのぞくと
ソラはソラの父親と話しているところでした。
「ソラよ。気にやむことはない。
 この世には本当のところ
 友だちなんて存在しない
 友だちなんていうのは
 力がどんぐりの背比べだから言うのだ。
 力さえあれば、
 つまり、われらにとって
 この世には二種類の人間しかいない。
 競争相手か、さもなくは部下だ。」
「では、父さん。
 父さんにとって、ぼくはなんなのです
 競争相手なのですか?
 部下なのですか?」
「おまえは跡をつぐものだ。
 人は老いて死ぬ。
 こればかりはわしにも
 どうにもならない。
 おまえにはやがて
 わしのすべてを託そう」
「でも父さん、
 ぼくは父さんのようにはなれません。
 人が何を考えているかと思うと
 怖いのです」
「そうだ、
 人がなにを考えているかわかるように
 みんなにICチップを埋め込んだらどうだろう
 とりあえず、
 うちの社員全員に埋め込んでみるか
 やらなければ首といえばいい」

★124
 なんて恐ろしい陰謀なんでしょう。
 もっと恐ろしいことに、
 この時ウミは見つかって
 ソラにつかまってしまいます。
「ちょうどいい、
 おまえは実験台だ
 まずおまえにICチップをうめこもう」
こうしてソラは大勢の人にIC]チップを埋め込み
みんなの考えていることを
読み取れるようになりますが・・・
それによってソラが手に入れたのは
ソラに対する敵意ばかりでした。
一方、ICチップを埋め込まれた人も
大勢の人と意識を共有することになり
とりわけソラの心の中の殺伐とした孤独感を知り
その結果、約束の森にあるみんなの木が
いっせいに枯れ始めます。
約束の森の木がこれ以上枯れると
約束の森は土砂崩れが起こり、
それによって
地上にも大規模な地震が起こるかもしれません。
約束の森では危機感が高まる中
ウミといっしょにいった
メッセンジャーのうさぎから
ウミが死にそうなことを告げられます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿