3次元紀行

手ぶらで地球にやって来ました。生きていくのはたいへん。そんな日々を標本にしてみました。

呑スケ

2008-03-22 11:13:34 | ほら、ホラーだよ
ごっつい笹塚のトレードマーク。ポストと電信柱・・・あ、電柱が見えない・・・

ほら、ホラーだよPart.8 

「そうだな、まず、名前からだ。あんたの名前はなんていうんだ?」
座敷オヤジがたずねた。
「え?あっしの名前ですか?・・・なんだっけ・・・」
そいつはぼさぼさ頭をしていて、よれよれのレインコートを羽織り、首にはねじれたようなネクタイを締めていた。そして、名前をきかれただけなのに、まるで算数の問題をあてられた時みたいに回答に苦しみ、ブツブツと口の中でなにやらつぶやいた。
「あいつ、呑スケ(どんすけ)じゃねえ?」
「え?酔いどれ妖怪の?それなら呑べえ(どんべえ)ていわねえ?」
「それ、おれっちの方でははのん兵衛っていうよ」
「うちらはのみすけって言ってる」
周辺からざわめきが聞こえた。
目をこらしてみると、ぼくの布団を中心にして、まず座敷オヤジ、アマノジャク、オキビキ、それに今日のお客さんの4人というかなんというか・・・が座り、その外がわの周辺をいろいろな妖怪たちがぐるりと取り囲んでいた。そしてそいつらはてんでんばらばら、勝手なことをくっちゃべっていた。
「そうか、ネクタイなんかしめてたからわかんなかったんだ。たしかあいつら半纏着てなかったかい?」
「いや、いろいろいるよ。又ひき腹掛けもいるし、粋な島田もいるし、二本差しだっているよ」
ぼくにとっては暗号のような会話だった。
「え?なに?みんななに言っててるの?」
ぼくは小声で身近にいたオキビキに尋ねた。
「腹掛けは職人さん、粋な島田とは芸者のお姐さん、二本差しとはお侍さんのことですよ。あいつらは決まったスタイルがなくていろんな格好をしてるんです」
とオキビキも小声でささやきかえした。
「バカ言っちゃいかんよ。おめえら認識が古いんだよ」
外野席ではコウモリのような格好をしたヤツがヌラヌラッとした口調で声高にしゃべっていた。
「もうそんな格好をしたのは今どきいないよ。今はほとんどサラリーマン風のこのタイプか、Tシャツにチノパン、またはOL風ってスタイルさ。こいつらはそこらへんの妖怪みたいにいつまでも時代遅れなボロギレをまとってなんかいないよ」
「なんだと!時代遅れなボロギレまとってるとは、おれのことを言っておるのか?場合によっちゃ、ただではおかんぞ!」
野太い声がした。発言者は三つ目入道だった。三つ目入道は相変わらず定番の修行僧スタイルをしていて、その衣はところどころやぶれているんだ。
「そうよそうよ。なめた口きくんじゃないわよ!自分はこうもり傘お化けとかいって、しかもジャンプ傘だとかいって、あたしらカラカサお化けを馬鹿にしてさ。そうボロボロにならないうちから捨てられたり置忘れられたりして嘆いてるくせしてさ、ドラキュラのできそこないみたいな格好してさ!」
「なんだと!ボロボロカラカサ!」
「まあ、まあ、まあ、まあ」
仲裁にはいったのは座敷オヤジだった。
「なに、時代遅れのボロギレといったら、わしの右に出るもはおらんじゃろう。わしのこの衣はな、糞掃衣(ふんぞうえ)といってな、仏教では徳の高い坊さんが着るのよ。位ではなくてな、徳をあらわしてるのよ。わかる?えっへん、これがわしの真の姿じゃ。
それはともかくとして、他の妖怪たちもな、それぞれ自分がこうであると思う姿をしておるだけじゃ。さしずめ、このものは酒でうさをはらすサラリーマンをおのれの姿と思うているのじゃろう」
すると、そいつは驚いたことにさめざめと泣き出した。
「そうなんでやすよ。あっしはしがないサラリーマンでやす。それもなんだか仕事に生きがいが見出せない、家に帰っても居場所がない、そんなサラリーマンのような気がするんでやすよ」
そいつはやせた肩をがっくり落としてうなだれた。
「で、こいつのことなんて呼びますかね」
オキビキが言った。
「そうさな」
ここは識者の座敷オヤジが判断することなのだろう。座敷オヤジは腕組みしながら言った。
「のみスケ、とか、のん兵衛という名前はもう人間にとられているしなあ、どんべえじゃキツネうどんみたいだし、呑スケ、これかな。呑スケでいくか、なあ、呑スケ」
「へえ、へえ、なんでもようがす。なまえなんてどうでもいいんでやすよ。あっしはただ、ただ・・・」
「ただ、なんだっていうんだ、もうじれったいな、めそめそしてないでなんとか言えや」
また外野席のほうからこうもり傘お化けがぬらぬらした声をとばした。
「へえ、へえ・・・」
呑スケはポケットから皺くちゃになったハンカチをとりだして、涙をぬぐうと語り始めた。

「あっしはね、いつごろからこんな姿をしていたのか、もうはっきりしないんでやすがね、いつもたそがれ時になると、路地裏の、あの商店街のはずれにあるお稲荷さんの裏手のどぶ板につっぷしているところで気がつくんでやんす。
あれ、ここはどこ?あたしはだれ?ってね思うんでやんすよ。でも、あまり深く考えないんでやんす。なぜなら夜の巷に赤ちょうちんの灯りがにじんでいるのが目に入ると、そちらのほうにふらふらとすいよせられていくんでやす。
店の中にはいっていくと、仲間たち、つまり、勤め帰りのサラリーマンたちが一杯やっている。
あー、酒のにおいだ。いい匂いだなあ、あっしも飲みてえな、と思って飲んでいるやつの脇から手を出して酒を飲もうとするんでやすが、思ったように飲めません。あっしはあせって、あっちこっちを飛び回って飲もうとするんですが飲めない。
でもそうこうするうち、気が合うというか波長が合うというかそんなやつに出くわすことがあるんでやす。そして、そいつとシンクロすると、あっしは飲めたような気分になる。そん時ゃそいつはもうベロンベロンでやすよ。それなのにただひたすら飲みたいと思うあっしにあやつられて、次から次へ呑むんでやす。
こうして呑んだ場合、たいていそやつは呑んでいたときのことを憶えてやしません。逆に言うと酒を呑みすぎて何も憶えていないというときは、たいていあっしが憑いているんでやんすよ。
そうして宿主が正体なく路地裏にへたり込む。あっしもへたり込む。そして気がつくと、次の日の夜になっているのか、またあっしはお稲荷さんの裏のどぶ板に突っ伏していて、夜の巷ににじんだ赤ちょうちんが目に入る、とこういうわけなんでやんす」

呑スケは一気にそこまでしゃべって再びうなだれた。
「さて、そこでだ」
一呼吸おいて、座敷オヤジが言った。
「本来なら、正体をなくした宿主とともに路地裏にへたり込んで自分も正体をなくする。宿主は誰かに家に送ってもらうか、意識のないまま自分で自分のうちにたどり着くかしてその場から立ち去るが、おまえはいつのまにか塒(ねぐら)ともいうべきお稲荷さんの裏のどぶ板に戻っていて、夜になるとまたぞろ赤ちょうちんをめざす。そうしてエンドレスにただひたすら呑むことだけに夜をすごすおまえが、なんで宿主とともにここまでやってきて、こうして酒ッ気のないところで呑む以外の行為をすることになったのか、じゃ」
ふむふむ、そこだよな、などと外野席がまたざわめいた。
呑スケは丸めていた背を伸ばし、まわりをぐるりと見渡した。膝を浮かせていたから、本当は逃げ出したかったのかもしれないが、これだけ取り囲まれていたら逃げ出すのはとうてい無理と悟ったのか、座りなおした。
「あっしにもよくわからないんでやす。ひょっとしたら時間が早かったのか、もっと呑めるかもしれないと思ったからなのか、うかうかとここまでついてきやしたら、なんと、そちらのぼっちゃんと目があったんでやす」
え?ぼく?
ぼくはおもわず自分の鼻を指差した。


四者怪談

2008-03-15 11:00:29 | ほら、ホラーだよ
笹塚のごっつい。チェーン店が下高井戸にあります。他でも見かけたけどどこだったかな・・・

ほら、ホラーだよPart.7 

ぼく達はその夜、金曜洋画劇場を見ていた。ぼく達というのはママとおばさんとぼくだ。このおばさんというのは今だ独身。OL生活ののち妖怪作家に転身、ずっと生まれた家に住み続けて今や自身がこの古屋の座敷わらし化しているというけったいな人物だ。
居間のテーブルの上にはせんべいだのポテトチップスだのピーナツなどの袋が散乱していて、ママはビール、おばさんはもっぱらコーヒーで、“大型大衆娯楽活劇ラブロマンス添え”というのを鑑賞していた。
ぼくは映画にそれほどの興味はなかったけれど、ポテチやセンベイをお相伴しながら、なんとなくそこにいた。だっていやじゃないか? 夜、一人っきりでお化けの出る二階にいるなんていうの。
洋画劇場は夜中の12時近く、ヒーローの胸のすくようなアクションの後、お決まりのラブシーンで終了した。
さて、二階に引き上げるかとおばさんが立ち上がり、ぼくも立ち上がったとき、玄関のチャイムがなった。
パパのご帰還だ。ぼくたちはその足でぞろぞろと玄関に出た。
出てみると今日はパパだけではなく、会社の人らしい人たちが3人パパの後ろにいて、そのうちの一人はすっかり酔いつぶれているらしく、他の二人に肩をささえてもらっていた。
パパはぼくの姿を見ると「やあ、ぼうず、まだ起きておったか?早くお休み」とまずぼくに声をかけ、次にママに向かって
「ママすまん。部長がちょっと飲みすぎてしまったんだ。すまないけど寝る所用意してくれないかな」とたのんだ。
酔いつぶれていたのは部長さんらしい。課長のパパとしては面倒を見ざるをえなかったというところか。
パパはさらに
「大場くん、君も泊まっていけば?独身なんだから、どうせ家に帰ってもただ寝るだけなんだろう?今夜はうちに泊まって、あした朝飯でも食っていってくれよ」
と言った後、「里子!里子!」とおばさんの名前を連呼した。
おばさんのペンネームは神無月ひかるだけど、本名は里子だ。しかし最近はめったにこの本名を使用していない。郵便物も銀行や役所からくるものを除けばほとんどが神無月ひかる様だし、時折訪れる出版社の担当さんも神無月先生と呼ぶ。ママも「里子さんだと、里子さん、って言っちゃって、何だか嫁と小姑の関係って感じがつきまとっちゃうのよね。その点、ひかるちゃん、って言うと本当の妹のような感じがするから」ってひかるちゃん、と呼んでいる。
そんななかでパパだけが里子と呼ぶ。
「ひかるだって?」とパパはせせら笑って言うんだ。
「ひかるってどこが光るんだ。ほたるじゃあるまいし鼻の頭でも光るのか?」とか言って今だに里子、あるいは小さいときからの愛称だった里イモとかで呼んでいる。おばさんのほうはサトイモって呼ばれるとブスッとふくれるんだけどね。
今もパパが呼ぶ「里イモ、里イモ」
でもおばさんは今回はふくれなかった。お客さんの手前だからか、先ほど大場クンが独身とパパが言ったことに反応したのか、さほどブスッともせず、「ハイハイハイ」とママとぼくを掻き分けて前に出てきた。
「ちょっと里子、部長の靴を脱がせてくれ」
「ハイハイハイ」
「コートと上着も」
「ハイハイハイ」
その間、ママはリビング続きの和室に寝床を敷きにいった。ママは寝床を二つ敷いた。あれ?二つ?三っつじゃないのかな。だってお客さんは三人だよ。そうか、パパは大場くんにしか泊まってけって言わなかったもんな。だからなのかな?
部長を担いだおみこし集団がリビング経由で和室に到着した。大場くんが酔っ払いの頭のほうを抱え、パパが足のほうを持ってやってきて寝床に寝かせた。里子おばさんが一人で荷物を山のようにかかえている。もう一人の客はなにもしていなかった。あの人は会社でどういう立場の人なんだろうとぼくは子供なりに不思議に思った。
部長を寝かし終わった一同はほっとしたようにリビングのソファに座り込んだ。
「部長の家がトケなんだそうだ」
お茶を用意するママにパパが気をつかって話しかけた。
「トケってどこですか?」
「なんでも千葉県の外房線で行くところらしい。それで、遠いからさぞかしタクシーの運ちゃんも喜んでつれてってくれると思ったんだけどさ、これほど酔いつぶれていると道案内も出来ないから困るというんだ。だれか一緒に乗ってくれればいいって言うんだけど。そういうわけにもいかないしさ、ほっトケないから家にお連れしたんだ。な、大場くん」
パパがさりげなくオヤジギャクを飛ばしたけれど、誰も笑わなかった。
そんなことよりぼくはオキビキが出てきたので目がはなせなくなった。里子おばさんが両手一杯に受け取ったお客さんの荷物を、床にならべたり、ハンガーに吊るしたりしている横で、オキビキがうれしそうに手袋だのマフラーだのを物色している。
「おい、オキビキ、オキビキ」
ぼくはオキビキに呼びかけた。
「ほーい、なんですかあ?」
「なんですかじゃないよ。お客さんのもの、あんまりいじくらないでくれよ。それに持ってっちゃったりしないでよね。なんかなくなって疑われるのはぼくなんだからね」
「だいじょうぶっすよ。心配しなくても。あんだけ酔っ払っていたらどこでなくしたかなんて覚えちゃいませんから」
おい、大丈夫ってのはそっちかよ!と、もうひとことつっこもうかとオキビキの方を見ると、そのオキビキはあらぬ方をながめていた。そのあらぬ方の目線をたどると、その先にあの何にもしないお客さんがいた。なぜか、お客さんのほうもオキビキを見ている。あれ?あの人にもオキビキが見えるのだろうか?
しかし深く考えるまもなくぼくは大人たちからいっせいに追い立てをっくらった。
「ヨシヒコ、子供はもう寝なさい!」
ぼくは大人たちから仲間はずれにされた腹いせをオキビキにぶつけた。
「ほら、おまえも一緒にこい!オキビキ」
「わかってますよ」
夜の夜中、妖怪を引き連れて誰もいない暗い2階の部屋へたった一人で行く小学生が他にいるだろうかと思いながらぼくは怪談…じゃなかった階段を昇った。
「ほら、部屋へ入れ」
「いいんですかい?入っても」
いつも入るなと言っているぼくへのあてつけだ。
「今更何を言うんだ。いつも勝手に入ってるくせに。いいか、入ってもなにも持ち出すなよな」
「わかってますよ」
明かりをつけて部屋に入ると待っていたのか出現したのか、座敷オヤジとアマノジャクがいた。半ば予想していたことなので、ぼくはかまわず寝床を敷いて明かりを消し、布団にもぐりこんだ。
それでも妖怪どもはたじろがなかった。ぼくの布団を取り囲むようにして車座になった。明かりをけしていても妖怪たちが見えるから始末がわるい。
「おい、ぼくはもう寝るんだよ」
「わかってますよ。どうぞお休みください」
「どうぞっていったって、おまえたちがここにいちゃ眠れないじゃないか。三者会談やりたかったらおばさんの部屋でやってよ。今あいてるだろう」
「いいえ、四者怪談です」
こいつらまったくずれてるんだ。ぼくが言いたいのは他でやってくれ、ということで、三者が四者になろうが五者になろうが一向にかまうこっちゃない・・・え、ええ?四者?
ぼくは目をこらして先ほど声のしたあたりを見た。
そしたら、いたんだ。あのお客さんが。あの、何もしなかった、会社ではどういう立場のひとなんだろうと思っていた、オキビキと目を合わせていたあのお客さんが、二階までついてきていたんだ。
ぼくは思わず上半身を起して叫んでしまった。
「おじさんはいったい誰?パパの会社の人じゃないの?」
するとそいつは言った。
「へえ、会社の人はあの二人だけでやす」
「じゃあ、ママが寝床を二つ敷いていたのは・・・」
「へえ、ママには二人しかみえていなかったんでやす。あっしはママにもパパにも見えてやせん」
「でもおじさんはあの、酔っ払った部長とかいう人の肩を支えていたでしょう?」
「あれは支えていたんじゃなくて、取り憑いていたんでやす。酔っ払いを支えていたのは、あの大場くんだけでやす」
「いまは・・・いまは部長に取り憑いていなくていいの?」
「へえ、あっしはただ酒が飲みたくて部長に取り憑いていたんでやす。今は部長にくっついていても酒が飲めやせんから」
 それで離れたというわけか。それにしても離れたんなら離れたで、さっさとねぐらにでも帰ればいいものを、なんで小学生のぼくの部屋に来なくちゃならないんだ。ぼくは酒は飲まない。それに法律でも飲んではいけないことになっている。うちで酒が飲める人物といったらパパかママだ。しかしパパやママに取り憑かれても困るし、酒を飲むやつは他にいくらでもいるだろう。
「だから、そこんとこを聞こうと思って、こうして二階に連れてきたわけでやす」
とオキビキは言った。
「だからあ、それを隣の部屋でやったら?!」
ぼくは先ほどから言いたかったことをここぞとばかり強調した。
「まあ、まあ、まあ、まあ」
座敷オヤジがわって入った。
「とりあえず、なんで家までついてきたのか訳を聞こうじゃないか」
こうして“会談を隣の部屋でやる”という提案は再びさりげなく無視され、四者怪談が草木も眠る丑三つ時、ぼくの部屋で始まった。




今日は誕生日

2008-03-11 23:59:37 | 3次元紀行論
あ、あと8分で明日になっちゃう!一年に一度の日なのに・・・

つまり、今日、3月11日はcatmouseの誕生日なんです。
あ、あ、あ、あと6分・・・
動物村の皆様から祝福を受けていたもので、記念にブログアップする時間がわずかになってしまいました。
えーと、えーと、
catmouseは髪に赤い薔薇の花をさしました。
そして赤い薔薇の花束の贈呈があって、列席の皆様から祝辞を頂きました。

今日はいなかったけど、一閑人から『字統』という辞書を頂きました。モチゴメちゃんからは「小説を書いたらここに保存して」って4ギガのメモリーディバイスとcatmouseの美貌にさらなる磨きをかけるべく入浴剤を。あらり嬢からはコンサートのチケットを、ラクダちゃんからは図書券を頂きました。
今後のcatmouseの自由でアートな生活を彩るアイテムのかずかずです。
きゃー、あと一分。とりあえず、catmouse誕生日、おめでとう、ありがとう。

第14回児童文学ファンタジー大賞

2008-03-06 09:09:36 | 3次元紀行論
えー、catmouseはこのたび、第14回児童文学ファンタジー大賞に作品を応募しました。
そしたら、主催もとの絵本・児童文学研究センターなるところから「募集要項規定に合致していましたことをご通知いたします」という受理のお知らせが届きました。そして、
第一次選考……4月末日
第二次選考……5月末日
第三次選考……7月中旬
最終選考会……9月中旬
というスケジュールも頂戴いたしました。
なんでまだ選考もはじまってないのにアップする気になったかと申しますと、オニギリ氏のひたむきな音楽修行に啓発されたため、また、昨日あらり嬢のコンサートであらりちゃんの歌声にどぎもをぬかれたためであります。
catmouseもチャレンジするんだ!
でも4月時点でズブリコズブリコのゲームセットになる可能性もあるんだし、そしたらみっとも恥ずかしいにゃあ、なんて気もしないでもないんですが、うーん、でもちょっと自信あるんだ。第一次くらいは通過するんじゃないかにゃあ、って気もしないでもない。
だって、4回も審査があるんだよ。一回くらいにひっかからないと、どうしようもないって気もするもんね。…とかいって、一回目でおっこちたらどうするんだよ。
って、オニギリさんのところに出てきたようなデビルちゃんの声も聞こえるんだけど…。
ままよ。送信!押せ!送信!

座敷オヤジ

2008-03-04 09:36:18 | ほら、ホラーだよ
街角でみつけた21世紀の壁画Part.2…笹塚にて…作者は?

ほら、ホラーだよ Part.6

ぼくがぐったりして部屋に戻ると「でも、結果よかったからいいじゃないすか」などと言いながらまたぞろ妖怪・オキビキがぼくの部屋に出現した。
あれほどぼくの部屋へ入らないでくれと言っているのに、おかまいなしだ。
ぼくは何かなくなったものはないか、辺りをさぐったり、引き出しを開けてみたりした。
「やだなあ、仲間うちのものは盗りませんって」オキビキは顔の前で手をひらひらさせた。
「だれがお前の仲間なんだよ!それに、結果よかったって、いったいどこらへんががよかったて言うんだ!」
「どこがって、八木沢とかいう子にちゃんとブスって、言ってやったんでしょ?だったら、ぼっちゃんがその子のことを好きじゃないということがはっきりその子に伝わったんだからいいじゃないっすか。でしょ?」
今日、学校に妖怪・アマノジャクがついてきた。しかもぼくにのりうつっていたんだ。そのせいでぼくは普段から思っていて口にできなかったこと、“八木沢由美子はブスだ”ということを、何度も何度も声高に叫んでしまったんだ。ぼくが心のなかで密かに望んでいたことは、ぼくの横にアマノジャクが立って、その口から言ってもらうということであって、ぼく自身が言わなければならないならやらないほうがましだったんだ。
「でもぼっちゃんが言わなくちゃ、ぼっちゃんが八木沢由美子をブスだと思ってることが伝わらないでしょ。で、結果よかったんですよ」
「よくなんかない!帰りのガッカツでつるし上げられた。いじめだ、差別だって、女の子たちから非難ゴウゴウだったんだ。その時、アマノジャクのやつ、ぼくから離れちゃったんで、ぼくは言いたいこと何にも言えなかったんだ!」
「あれ、あっし相手だったら、けっこう言いたいこと言ってるじゃないっすか」
その時、廊下を隔てた向かいの部屋から、聞き覚えのある笑い声の二重唱が聞こえた。
「どなたか若い女性のお客さんが来てますね」
オキビキはうれしそうに言っておばさんの部屋にいってしまった。ぼくはそれどころじゃなかった。あの声を聞いて凍りついた。
なんでいるんだ?追い払ったはずなのに。結果としてよかったと、さっきオキビキも言ったじゃないか。ガッカツでのつるし上げと引き換えに手に入れたブスからの開放、偏見と差別のかたまりだと、憧れの白鳥明日香ちゃんからまで白い目でみられたという手痛い犠牲を払ったにもかかわらず、その代償である結果とやらはどこにいったというのだ。
笑い声はやんで声の主達がこちらに来る気配がした。このときほど古い日本家屋をのろったことはなかった。鍵がかけられない。逃げ場がない。いや、逃げ場はあった。オーソドックスな隠れ場所、押入れにぼくはもぐりこんだ。
ぼくが押入れのふすまを閉めたのと、部屋の入り口のふすまが開いたのとほとんど同時だった。
「あれえ、へんねえ。さっき部屋に帰ったと思ったのに」
おばさんだ。
「へんですねえ、でもいいんです。わたし、先生にお会いしたかっただけですから。先生にお話聞いていただいてすっきりしました」
八木沢由美子だ。
「だからね、男なんてあんまり“好きだ”なんてことをストレートに言っちゃうと図に乗って、“この女はどこまでわがままをゆるしてくれるのかな”と態度が大きくなっちゃうものなのよ」
八木沢由美子が今日のことをおばさんに言いつけに来たんだ。おばさんはそれにすっかり気をよくして、先輩面で講釈をたれている。自分は男と付き合ったこともないくせに。
「だから、今後はあまりヨシヒコひとすじなんて様子は見せず、他の男子とも笑いながら話したり、ヨシヒコには時々冷たいそぶりなんか見せるのよ。すると、“おや、心変わりかな?”なんて気になって、向こうから何のかんのと言ってくるってもんなのよ」
ずっと冷たいそぶりでいてくれ。
「でも、アマノジャクのせいだったなんて」
「そう、アマノジャクが取り付いていたの」
「アマノジャクって、なんでも反対のことを言うのよね」
「アマノジャクだからね」
「ヨシヒコくん、わたしに反対のことを言ったんだわ」
おい、ちょっと待て!おい、オキビキ!オキビキ!話が違うぞ!
ぼくは心の中でオキビキを呼んだ。
「へーい、なに用で?」
オキビキがいきなり狭い押入れの中にわいて出た。
うわっ。オキビキのでかい顔がぼくの鼻先につかんばかりだ。
「おい、オキビキ、アマノジャクはぼくの本心を語ったんじゃないのか?」
「そのはずっすよ。あいつは鳥取県出身っすから」
「鳥取県出身のアマノジャクだとどういうことになるんだ?」
「人の考えていることを口に出しておもしろがるんでさあ」
「で、鳥取県以外のアマノジャクは?」
「全国区ですとまあ、人が言ったのと反対のことをしておもしろがるんっす」
「人の考えていることと反対のことを言うんじゃないよな?」
「ええ、まあ、そうっすね」
「たのむから、おばさんにそう言ってくれ、そう言って八木沢由美子の誤解を解いてくれ。」
「自分で言ってくださいよ」
「ばか、今出て行けるか」
「あっしだって、他人がいる時出ていけませんや。いや、出てってもいいんすけどね、今のおばさんにあっしの声は届きません」
押し問答をしていたら、さすがごそごそしたらしい。
「あら、押入れで何か音がしますね」と八木沢由美子。みつかるのか?思わず身体が硬直した。
「ネズミじゃない。このうち古いから、ネズミがわんさといるし、ついでにネズミ男もいるかも。ケケケケ」
「まあ、おもしろそう」
何がおもしろそう、だ。でも、それを最後におばさんと八木沢由美子は階段を降りていった。ひとまず危機は脱したものの、これからも八木沢由美子がこの2階に出没する可能性が生じたことを思うと、ぼくの憂鬱は度を通り越し、ほとんどうつ病になりそうだった。もはやぼくには、自宅にも安住の地はないのか。
ぼくは、押入れのふすまを開け、ごそごそと這い出した。が、這い出てすぐ何者かにぶつかった。汚らしい衣をまとったネズミそっくりの坊主がながながと寝そべっていた。
「やあ、ぼうず」
と、そいつは言った。
「うわっ!今度は何なんだ?!」
「わしか?わしゃな、この家の座敷わらしじゃ」
「えー? 座敷わらしって子供の妖怪じゃないの?おじさんはどう見ても中年のネズミ男みたいなんだけど」
「ふふふふ」とそいつは不敵に笑って偉そうに言った。
「まあ、そう見えるのも無理はない。座敷わらしの正体はだいたいネズミじゃからな。ネズミのいる家には福がある。福があるからネズミがいる。没落する家からはネズミがいなくなる。ネズミがいなくなるとその家は没落する。わしがこうしている間はこの家は安泰じゃ」
どうでもいいけど、もうかんべんしてくれという気分だった。ところがそんなぼくの気持ちにはおかまいもなく、その座敷オヤジはしゃべりまくった。
「わしもなあ、こうみえても、この家ができたばかりの時は、紅顔の美少年じゃった。いや、いたいけな童子だったかな?
しかし少年老いやすく学なりがたし。わかるか?書斎の本をかじっているうち、大人になってきてしもた。とくにお経がきくな。あれをかじるといっぺんに歳をとる。うん」
「わかったから出て行ってよ」
「およっ?いっぱしの口をきくじゃあないか」
「おばさんに用があるんだろう?出てくるのはあっちの部屋どまりにしてくれないか。ぼくの部屋にはこないでよ」
「ふふふふ」ネズミ男の座敷オヤジはまたも不適にわらった。
「じゃがのう。呼び込むのはおぬしじゃ。いつも、誰か、なんとかしてくれと思っとるじゃろう」
確かに。ふりかえってみるとそんな気もする。しかし、妖怪がかかわると、解決するどころか、ひどい目に会うのはいつも自分ばかりだということがだんだんわかってきている。かかわらないほうが身のためだ。
「ふふふふ、そうかの?八木沢由美子を消したいんじゃろう?たのまんか?」
「え、そんなことができるのか?」
妖怪にかかわらないほうが身のためだとつい先程みずからを戒めていたにもかかわらず、ついふらふらと気を引かれてしまった。
 「できるともさ。ほれ、あの、あまのじゃく。仕事がしたくてうずうずしとったろう?たのまれて、誰かを食いたいって」
 ぼくはかろうじて、ここで目がさめた。
「へー、ぼくがあまのじゃくに八木沢由美子を食べてくれとたのむのか?」
「そうよ。そうすればあまのじゃくがちゃあんと八木沢由美子を食ってくれる」
「そしてその後、あまのじゃくが八木沢由美子に化けて、ぼくの前に出現する。そして、尖った歯がずらりと並んだ口をあけて『おれだよ、おれ、アマノジャクだよ』とか言うんだろう?」
「へっ!」
心なしか座敷オヤジが首をすくめたような気がした。
「さすがだの、ぼうず。感づいたか。じゃあ、わしはこのへんで、ドロン」
そう言って座敷オヤジは消えた。
座敷オヤジが消えても、何かが解決したわけではなかった。ぼくは憂鬱を抱えたまま、とりあえず誰もいなくなった部屋で手足をのばした。


復旧しました

2008-03-03 18:27:33 | 3次元紀行論
Security Toolber7.1 というツールバーに取り付かれていたcatmouseのパソコンは無事復旧しました。
まず、契約しているシマンテックテクニカルサポートセンターに電話をかけて、ウィルスのスキャンをかけました。
結果、なんのウィルスにも汚染されていないことがわかりました。

多分、それは何かのプログラムを知らない間にインストールしたのだろうということでした。そのプログラムが分かれば削除すればよいだろうとのことでしたが、そのプログラムを見つけることができませんでした。となると、必要なデータのバックアップをとって、初期化するしかないというところまできましたが…

あきらめてはいけません。こんな手があったのです。
それは、「システムの復元」
スタートボタンから(総てのプログラム)→(アクセサリー)→(システムツール)→(システムの復元)
そして、そこで、そのプログラムがインストールされた日より前の日付に設定しました。
そしたら、そのプログラムがインストールされていないことになり、あのしつこい、ツールバーと、なんぞというと出てくる「このウイルスバスターを買え、買え」というメッセージがでなくなりました。

多分、この「ウィルスバスターを買え」というのをくりっくするとウィルスがとびまくってゲームセットとなったと思います。ですから、例のツールバーを見つけたら、ともかく契約会社のセキュリティでスキャン。そしてシステムの復元をすればいいと思います。

皆様、ご心配をおかけしました。

お詫びとお知らせ

2008-03-03 07:34:35 | 3次元紀行論
昨日、拙宅に男の子が来まして、パソコンでなんか危ないものをふんだらしいのです。
Security Toolbar7.1というツールバーがパソコン上に出て、取れなくなりました。それにあわせ、初期画面がいつも使っているyahooではなく、英字によるウィルスバスターを売り込む画面に変わりました。これはどうにか撃退しましたが、例のツールバーはどきません。
そして、定期的に、「このウィルスバスターを買うように」というボックスがしゅつげんします。ネットで検索したところによると、それをクリックするとウィルスに感染するとのことでした。
どうしてもとれないSecurity Toolbar7.1の取り除き方を、今契約しているシマンティク社に問い合わせております。
どうしても取れなければ初期化するしかないかもしれません。
こちらからメールしたばあい、そのメールにウィルスのようなものがつくかどうかも問い合わせていますが、いまのところ不明のため、当分こちらからの書き込みは控えようとおもっております。
また、男の子がなにを踏んだのかあまり憶えておらず、外国のサイトだということだけわかっております。
そんなわけなので、たいへんもうしわけありませんが、以上をお知らせさせていただきます。