3次元紀行

手ぶらで地球にやって来ました。生きていくのはたいへん。そんな日々を標本にしてみました。

ソマリア沖に派遣された自衛艦の無事を祈る

2009-03-18 08:00:39 | 
昨日、古いヴァイオリンの楽譜から、一枚の紙切れが落ちた。
歌が書いてあった。
日付のメモがある。昭和45年6月25日訂正。

隊歌 東北のまもり
作詞:矢口静男、作曲:落合四郎

1.松籟(しょうらい)わたる百千島(ももちしま)
  凄波(せいは)は濁世(じょくせ)を濯(すす)ぐなり
  紫巒(しらん)の王城百歳(おうじょうひゃくさい)の
  過客(かきゃく)の逆旅(げきりょ)にもさも似たり
  ああ幽遠(ゆうえん)の地に映えし
  輝く青史(せいし)我が伝統

2.遙けき果てはみちのくの
  峻たり磐梯岩手富士
  深淵十和田猪苗代
  清冽四川の馳すところ
  ああ精鋭の旌旗(せいき)あり
  帷幄(いあく)の責(せめ)は弥重(いやおも)し

3.我が奥州の精鋭は
  磐城磐代出羽三陸
  金城湯池(きんじょうとうち)の備えして
  鬼神も三舎(さんしゃ)を避くならん
  ああ峻烈(しゅんれつ)の幾星霜(いくせいそう)
  鍛えて堅し国の盾

4.さもあらばあれ日の本の
  理想は高き平和像
  されば我等は一億の
  耕稼(こうか)の陰の盾たらん
  ああ熱血の戦士群
  華洛(からく)の栄耀(えいよう)外に見て

5.嗚呼(ああ)東北の健男児(けんだんじ)
  剛毅朴訥(ごうきぼくとつ)性は仁
  強靭(きょうじん)の体(たい)不撓(ふとう)の神
  かたみに切磋琢磨(せっさたくま)せん
  ああ宏大(こうだい)の乾坤(けんこん)に
  不滅の真理掲げなん

ワープロを打つのが大変だった。
松籟という字が一発検索で出たのには驚いたが、旌旗にはなかされた。
旌という字が原稿では形が判別できずIMFパットでもてこずった。
隊歌 東北のまもり とあるから自衛隊東北方面隊のことだろうか。
楽譜はハ短調。
もう歌われてないだろうな。


  剛毅朴訥性は仁

日本の自衛隊の護衛艦2隻がソマリア沖に派遣された。

  耕稼の陰の盾たらん

海賊退治ではない。
民間の船を海賊から護衛する役割である。

  鬼神も三舎を避くならん

戦闘行為は極力ひかえるようにという、
さまざまな制約のもとでの出動である。
鬼神よ、自衛艦を避けたまえ。


 追記:カテゴリーとジャンルをなににするか迷った。時事でもあり、メモリアルでもあり、詩でもある。落合四郎氏の楽曲がつけられるまで、詩人は出身校の六稜校歌の節で口ずさんでいた(三光寮歌だったかもしれない)。catmouseにとっては本当はメモリアル。
でも、詩とした。

歌は祈りでもある。


コスモス

2007-09-29 21:26:52 | 
風吹けばコスモス
秋空に溶ける
恋やあこがれ
陽のなかでゆれる

風ゆけばコスモス
みちに影おとす
すぎた日のかずかず
胸の葉によぎる

旅ゆけばコスモス
川べりにむせぶ
この秋のいのち
水面にうつす

おい やかん

2007-07-07 21:27:13 | 
おい、やかん
きみもずいぶん 暇になったなあ
なんでも最近は電気ポットとやらに
おかぶをうばわれてるらしいじゃないか
で、仕事といえば、
単なる水差しになってるって?

確かに冬は、出番がなかった
しかし夏はそれほどでもない
麦茶を沸かすのに
毎日、大忙しさ
と言っていたのは去年までのこと
なんか、今年は
暇そうじゃないか

そうなんだ
ペットボトルで麦茶を売っている
ウーロンティも売っている
冷えた緑茶も売っている
買ってきて
冷蔵庫に入れれば
すぐ飲めるんだと

あー 
おれたち
その昔は花型だったよな
台所に、何はなくとも、
まずやかんはあったよな
底が黒くすすけていても
アルミのボディがへこんでいてもさ
まず、やかんはあった
へこんでいるのは歴戦のしるし
すすけているのはつわもののあかしだ

かあさんが
おいらに麦茶をいっぱい入れて
かちわり氷をぶちこんで
グラウンドに運んだ
人々があつまった
手から手へ
おいらひっぱりだこ
たくさんのコップに
麦茶が注がれる
おいらのおなか
あっというまに空っぽになった

ずっと使うものだからって
あっちこっち見て歩いたって
あたしの前には、少なくとも三度
いったりきたり迷ったあげく
これを、って選んでくれた
キッチンに
あたしがいると
ほっとするって
あたしでお湯をわかして
お茶を飲むとき
本当にくつろいでいた

最初の頃は
やかんで湯を沸かして
沸いた湯をポットにつめた
そりゃそうだな
魔法瓶に入れなけりゃ
せっかく沸いた湯がさめるもんな
湯をわかすまでがやかんの仕事
文句はない

だがなあ
電気ポットがやってきた
電気ホットは、水を入れればお湯が沸く
やかんはその電気ポットに水をそそぐ
まるでポットのご機嫌をとるように
まわりを濡らさないように

やかんは水差しになっちまった
これってなんか淋しくないか?

凌霄花 (のうぜんかつら) Campsis grandiflora

2007-06-23 13:02:49 | 

塀をつたい、軒まではいのぼる
軒までとどいて蔓は迷い
折り返し、塀の外に溢れ出す

夏の盛り、まずは下から
蔓の先に向かって火を噴くように
次々に咲くオレンジの花

灼熱の夏
ものみなしおれる午後にも
鮮やかに燃え上がる

咲き終えると
そのままポタリと地上に落ちる
しかし、色は鮮やかなまま
火は路上を這う

そのせいか
陽傾く頃も
いまだ路面は熱く
熱風、脚をはいのぼる

夏の盛り
塀をつたい 燃え上がる
凌霄花

からすうり (烏瓜、玉章 たまずさ) 多年草 Trichosanthes cucumeroides

2007-05-19 09:36:37 | 
 
夏のおわり、
真っ赤な
食べられもしない実をつける

枯れた蔓は
フェンスにまとわりつき
いいようもなくわずらわしい

なんだこいつは
ずっとそこにいるつもりか
茶色に変色した硬くて頑固な蔓

(が)

緑の季節は
葵々としたつややかな葉を繁らせ
涼しげな風をともない
夕暮れともなると
白い花は豪華なレースをまとって現れる
貴婦人のよそおい
なんと貴方は
いずれの窓のご息女なりや

(え?からすうりだって?)

夏のおわり
実は赤く熟す
食べられもしない種ばかりの実
種は蟷螂の頭の形
したたかな
貴婦人の
なれのはて

そのとき こころは

2007-05-04 09:57:33 | 

若さと美しさは
すぐになくなる
とめようもない
としをとること

人々の笑顔と関心が
むけられなくなって
かわってやってくるのは
無関心
または
あなどり

男はいい
つみかさねた仕事がもたらす
自信
尊敬
そして地位

だから女も
仕事をしよう
手に職をつけよう
キャリアを積もう
仕事で身に付けた知識
熟練したテクニック
そして知恵

しかし

やがて
知識も
知恵も
技術も
抜け落ちる日がくる

ノイマンも
3+4すらできなくなった
病気でなくとも
脳細胞は
だんだん死滅し
意識も
夢と現実の間を
いったりきたりするようになる

要するに
どんな美人もやがて色あせ
どんな天才もぼけるんだ

こころはどうだ?
青春の感受性は
みずみずしいという
青春は多感な時代だという

年をとると
こころもおとろえるのか?
ときめく恋心を
感じなくなって久しい
大人のこころは思う
ばかばかしい
すいたのほれたの

感動はあるよ
美しい花を見たら
美しいとおもう
晴れた日に富士山を見たら
うれしい
同じ齢のともだちが
富士山が見えた日は
手を合わせていた

人が死んだら悲しいし
その人のことを
しのばずにはおれない

寝てしまった子を抱えて
乗り込んできた母親を
バスの中でみると
たいへんだな
がんばって
といつのまにか
心の中で声援を送っている

多感さはかわらない
こころに感じることは
ひょっとすると若いとき以上
知ったぶんだけ
味わったぶんだけ
こころは感応する

人生が
真昼をすぎ
充実の午後をすぎ
夕方にさしかかる
過去をふりかえる地点
未来がよめる地点
ふたつとも見える
生きるくるしみ
老いるかなしみ

誰そ彼?

こころは
老いるのだろうか?


2007-04-27 22:30:17 | 

酒は麻薬だ
酒は、
小さな身体に
つなぎとめられていた魂を
解き放とうとする

魂が
少し抜ける
小さな身体からはみ出す
こんなにも自由だったのか
本当の自分はこんなものじゃない
天井に届きそうだ

が、酒の力はそこまで
もっとたくさん飲んだとて
本当に魂が身体から抜け出すわけではない
むしろ
動かなくなった身体とともに
地べたにはいつくばるだけだ

真の魂の開放は何によってもたらされるのか?
一度からだから解き放たれた魂は
そのあまりの自由さに
二度と身体に戻ろうとしないかもしれない
それを、死、というのか?

酒で
垣間見た開放の感覚
その感覚を求めてまた酒を飲む
酒は麻薬だ
得られるはずのない感覚を求めて
また飲もうとするのだから

人と別れたその後は

2007-04-23 20:23:40 | 

今頃、どうしているのかな、と思ってしまう
人と別れたその後は
その後は

雨が降ったら思い出す
お天気の日も思い出す

会いたいというわけじゃない
会っても話すことはない
今日がすぎて
明日が来る
いつもの毎日が始まり
毎日が終わる

今までだって
会わないことはけっこうあった
そこにいない
それだけだ

そして今
どうしている?

そうなんだ
今頃どうしているのかな と思ってしまう
人と別れたその後は
その後は

メルヘン「ぼくの友だち」より *** 春色の詩・タンポポ ***

2007-04-22 09:01:05 | 
catmouseが昔、友人のかのとどりくんに送った年賀状には
へたくそなタンポポの絵と、一ぺんの詩が添えられていました。

ぼくはタンポポのタネ
風吹けば天に舞い上がる
どこに着こうと
その場所に根を張り
芽を伸ばし
花を咲かせよう
その地が心にそまなかったら
また再びタネをとばし
ついには
約束の地で
こころざしの実を
むすぼう

「えー、ぼく、こんな詩を書いていたんだ。あおいなあ」
かのとどりくんは聞きとがめて言いました。
「これがあおいというなら、今のきみは何色なんだ。いまならタンポポをどんな風に書くんだ?」