3次元紀行

手ぶらで地球にやって来ました。生きていくのはたいへん。そんな日々を標本にしてみました。

ゆめみる黒ねこ

2009-05-14 13:31:28 | 絵本原稿
りんごを食べた。

あ、タネだ。

土にうめたら芽がでるかな?

芽がでて、葉っぱがでて
ぐんぐん育って
大きな木になるかな?

大きな木になったら、
木の下でお茶が飲のみたいな。
そしたらみいちゃんをよぼう。

みいちゃんはなんていうかな?
「すてきな木ね
風がなんて気持ちがいいんでしょう」とか?

そうだ、
ティーカップをつくろう。
しゃれたティーカップをつくって
それにお茶をいれよう。
そしたらみいちゃんはなんていうかな?
「あらかわいい、このティーカップ」とか?

ぼくは言う
「うん、ぼくがつくったんだ」
そしたらみいちゃんなんて言うかな?
「器用ねえ。絵もきれい」とか?

なんの絵をかこうかな。
魚かな。
いや、やっぱ花かな。

そうだ、
花もうえよう。
花が咲き乱れる庭に、
大きなりんごの木、
手作りのティーカップ
なんてすてきなティーパーティー!

まてよ、
お茶菓子がいるな。
お茶菓子はなににしよう。

そうだ、
りんごの木なんだから
りんごがなるよね。
まっかなりんご
りんごがなったら
アップルパイを作ろう。
ジャムも作ろう。
それをお茶菓子にしよう。

花が咲き乱れる庭に
大きなりんごの木
手作りのティーカップに
手作りのアップルパイ

みいちゃんなんて言うかな?
「とってもおいしいわ、このアップルパイ」とか?
ぼくは言う
「うん、ぼくがつくったんだ」
そしたらみいちゃんなんて言うかな?
「本当?すごいわ、お料理も上手ね」とか?

まてよ、
ここで音楽があるといいな。
うっとりするような音楽が

そうだ、
ハープをつくろう
ハープは木の枠に
弦をはるだけでいいんだよね
ハープは
音色もきれいだし、
テーブルの前で弾けるし
かき鳴らしながら
歌も歌える。

花が咲き乱れる庭に
大きなりんごの木
手作りのティーカップに
手作りのアップルパイ
そしてぼくは
ハープをかき鳴らしながら
自作の歌を歌う。
これは
みいちゃんにあげたい
ばくからの贈りもの
みいちゃん、なんて言うかな?

あ、
みいちゃんだ・・・

「み、みいちゃん」
「こんにちは」
「こんにちは、どこ行くの?」
「パンを買ってきて、帰るところよ」
「そりゃ、ちょうどいい、
 ぼくのこれ、 あ・・・」
「なにそれ?りんごの芯?」

まだなんにもできてない・・・
でも、なにか言わなくちゃ・・・
「タネをね、まくとね、木になるよ」
「なるわね」
「りんごがなる」
「なるわね」
「アップルパイもつくれるし、ジャムもつくれる」
「つくれるわね」
「だから・・・」
「ええ、だから?」
「そのパンととりかえてくれない?」
何を言ってるんだぼくは!

みいちゃん
いっちゃった・・・

どれみふぁ黒ねこ

2009-05-12 09:04:56 | 絵本原稿

ピアノのけんばんに
いっぴきの黒ねこ

ねこふんじゃった
ねこふんじゃった

「だれだ!ピアノをひいてるやつは!」
こわそうなおじさんが入ってきた。
(たぶん、bamaman)

にゃー
黒ねこびっくり窓からにげだした。
でもおじさん、なにか魔法をかけたよ

ぴょーん
ぽろん
あれれれー


あしをふむと音が出る。
ぽろん、ぴん、ぱん
音がとれない!

ヘイに飛び移ろう
ぽん、ぽろ、ぽろ、ぴん
足から音がとれない!

屋根に飛び移ろう
ぱん、ぱら、ぱん、ぴん、ぽん
やっぱり足から音がとれない!

ねこふんじゃった
ねこふんじゃった

これじゃ
ねずみもとれない

ねずみがでてきて
おおわらい
ちゅーい、ふちゅーい
あははははははは

「うるさい、うるさい」
黒ねこねずみにとびかかる
でも足ふむたんびに
ぽんぴり、ぱんぴり、ぽろぱりぴん
屋根のトタンも大合唱

黒ねこ
たまらず逃げ出した
ぽろ、ぽろ、ぽろ、ぽろ、ぽろろろ~ん、
だけど足音ついてくる。
ピアノの音でついてくる
逃げても逃げてもついてくる

道ゆくひとがふりかえる
あれはなに?
黒いピアノ?
小さなピアノ?
ピアノが道を走っていく?
いえ、ピアノじゃなくて
あれは ねこ !


黒ねこ
公園に逃げ込んだ
「ふんすいの水で足を洗おう
足がぬれるのきらいだけれど
音がとれるかもしれない」


ばしゃーん
そしたらたいへん、
公園のふんすい歌いだした

ぱんぱーらぱーん
ぽんぽーろぽーん

すずめがたくさんやってきた
ちゅん、ちゅん、ちゅん、ちゅん、ちゅ、ちゅん、ちゅん

「うるさい、うるさい」
黒ねこすずめにとびかかる
でも足ふむたんびに
ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽぽぽ、ぽん、ぽん

黒ねこのポルカ
黒ねこのタンゴ
黒ねこのサンバ
そしてふんすいのシンフォニー

こどもたちがよってきた
「みてみて、黒ねこが歌っておどってる」
おとなたちもよってきた
「ほんと、すずめのバックコーラスで」

むこうからおじさんがやってきた
タキシードを着てやってきた
ねこをいっぱいひきつれてやってきた

おじさんがごあいさつ
さあさあ、これからねこたちのコンサート
チューニングはもういいかい?
黒ねこくん
バックのオケも用意はいいね?
では
黒ねこくんのピアノリサイタルはじまり、はじまり。

(おじさんは指揮者だったのさ)