マキシム・プイサン神父「地獄(第二の死と云われる永遠の滅び)」『煉獄と地獄』岸和田天主会教会、1925年
8、地獄は真に存在するか?
十五世紀の中頃イタリアの北部地方をしんかん(震憾)せしめた事がある。ある時十八才になる青年が不幸にして悪魔の誘惑になびいて恐ろしい非におちいり、心は乱れ、胸迫って悩んだが告解する勇気がなく、そのまま悔俊の秘蹟を受け、なお大罪を持って聖体を授った。この恐ろしき涜聖に悔恨と苦悩とは増し、生きながら地獄に在る様に、昼となく夜となく、良心の苛責と来世の罰に対する恐怖とに悩まされた。
苦悩を重ねた青年はついに修道院に入りて、告解をし、一切の罪の赦免を受けようと決心したが修道士になっても勇気がなくなお聖体を受ける事を続けた。青年の苦痛は日増に重くなり、その悩みを和げるために、いよいよ善業を重ねた。
院内の修道士達は青年を聖人と考えて院長逝去の後、とうとう青年を新院長にあげた。院長になっても青年は績罪の生活を続け、外観だけは衆人の典型となるような立派な生活を送った。しかし良心の苛責は束の間も責めたてた。青年は臨終の時必ずこの罪を告白しようと堅い決心を致した。いく程もなく彼は最後の病床に伏したがとうとう終にその罪を告白する事も出来ず、熱に浮かされて人事不省になりそのまま死んでしまった。
数日後修士達が天主に祈りを捧げていたところに彼は現われて
「なつかしき兄弟よ、私のためにお祈り下さるな。それは無駄な事であります。私は地獄へ落ちました。」
と申しますと、一人の修士は
「あなたが地獄に落ちた。あの聖い厳しい生活を送られたあなたが!思いもかけぬことを!」
と叫んだ。青年は
「十八才の時に犯した一つの大罪を一生かくして告解しなかったため永遠の罰を受けています。鳴呼!」
と云う恐ろしい言葉と共に地獄の霊魂のしるしである耐えがたき悪臭を残して消え失せた。
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8、地獄は真に存在するか?
十五世紀の中頃イタリアの北部地方をしんかん(震憾)せしめた事がある。ある時十八才になる青年が不幸にして悪魔の誘惑になびいて恐ろしい非におちいり、心は乱れ、胸迫って悩んだが告解する勇気がなく、そのまま悔俊の秘蹟を受け、なお大罪を持って聖体を授った。この恐ろしき涜聖に悔恨と苦悩とは増し、生きながら地獄に在る様に、昼となく夜となく、良心の苛責と来世の罰に対する恐怖とに悩まされた。
苦悩を重ねた青年はついに修道院に入りて、告解をし、一切の罪の赦免を受けようと決心したが修道士になっても勇気がなくなお聖体を受ける事を続けた。青年の苦痛は日増に重くなり、その悩みを和げるために、いよいよ善業を重ねた。
院内の修道士達は青年を聖人と考えて院長逝去の後、とうとう青年を新院長にあげた。院長になっても青年は績罪の生活を続け、外観だけは衆人の典型となるような立派な生活を送った。しかし良心の苛責は束の間も責めたてた。青年は臨終の時必ずこの罪を告白しようと堅い決心を致した。いく程もなく彼は最後の病床に伏したがとうとう終にその罪を告白する事も出来ず、熱に浮かされて人事不省になりそのまま死んでしまった。
数日後修士達が天主に祈りを捧げていたところに彼は現われて
「なつかしき兄弟よ、私のためにお祈り下さるな。それは無駄な事であります。私は地獄へ落ちました。」
と申しますと、一人の修士は
「あなたが地獄に落ちた。あの聖い厳しい生活を送られたあなたが!思いもかけぬことを!」
と叫んだ。青年は
「十八才の時に犯した一つの大罪を一生かくして告解しなかったため永遠の罰を受けています。鳴呼!」
と云う恐ろしい言葉と共に地獄の霊魂のしるしである耐えがたき悪臭を残して消え失せた。
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