放射線療法、化学療法にも抵抗性で、手術後再燃する致死的な癌を引き起こす脳腫瘍幹細胞をテイラードウィルスが破壊することがJournal of National Cancer Institute誌9月18日号にM.D.アンダーソンがんセンターから発表される。
ウィルスは最も悪性度の高い多形性膠芽腫に対してテストされた。
研究者らはDelta-24-RGDを腫瘍の分子的弱点を狙い、正常細胞では複製しないように組み替えた。2003年のJNCI誌で彼らは、脳腫瘍に直接ウィルスを注入したマウスの60%で腫瘍が消滅したことを示している。ウィルスは腫瘍の中で広がり、癌を食べ尽くした後で死滅する。2004年に脳腫瘍の幹細胞が発見されており、研究者らは今回それをターゲットとした。彼らは多形性膠芽腫から4つの脳腫瘍幹細胞株を採取した。Delta-24は研究室でその4つを死滅させた。次にマウスの脳に移植し、そこに繁殖した腫瘍にDelta-24-RGDを注射した。治療したマウスの生存期間中央値は66日、無治療のマウスは38.5日だった。8匹のうち2匹が92日生存し、実験終了まで神経系症状は現れなかった。
「動物モデルで生存の改善を見ることは重要であるが、一部で、神経系症状なしに治癒や長期生存が見られることは非常に稀なことである。もちろん、人における結果でないことは留意すべきであるが、これらの腫瘍は患者たちの腫瘍と酷似したものであったことは有望である。」
Delta-24-RGDは国立癌研究所(NCI)により製造され、すでに毒性評価も終了している。第1相臨床試験に進むべくINDA(新薬申請)がFDA承認により今月(9月)に行われる予定である。試験はこの秋にも開始される。
Delta-24-RGDは、網膜芽細胞(Rb)が脳腫瘍細胞に欠如しているか不完全であることを利用している。Rbは癌細胞の増殖制御とウィルス感染への防御に働くため、ウィルスはその細胞内で活動が容易となる。Delta-24-RGDは腫瘍が絶滅するまで自らを貪食させる。 全文日本語訳
新潟大学も参加
【PubMed:17848677】
~~~~~~~~~~
参考:GBM幹細胞を標的にするシクロパミン/ジョンズホプキンス原文記事
追記:エムズサイエンス、開発品HF10(Msc2)が米国で特許成立
当社は、弱毒化された単純ヘルペスウイルスHF10をがん治療の医薬品として開発し、事業化を進めております。今般、米国特許庁(United Status Patent and TrademarkOffice)より9月4日(現地時間)付で、HF10を含む単純ヘルペスウイルスを用いたがん治療に関する特許権が成立した旨の通知を受けましたので、お知らせいたします。
■特許の内容
名称:Composition and Method for Treating Cancer Using Herpes Virus
特許権者:株式会社エムズサイエンス、西山幸廣(名古屋大学教授)
発明者:西山幸廣(名古屋大学教授) 出願番号:10/477,444 登録番号:7,264,814
ウィルスは最も悪性度の高い多形性膠芽腫に対してテストされた。
研究者らはDelta-24-RGDを腫瘍の分子的弱点を狙い、正常細胞では複製しないように組み替えた。2003年のJNCI誌で彼らは、脳腫瘍に直接ウィルスを注入したマウスの60%で腫瘍が消滅したことを示している。ウィルスは腫瘍の中で広がり、癌を食べ尽くした後で死滅する。2004年に脳腫瘍の幹細胞が発見されており、研究者らは今回それをターゲットとした。彼らは多形性膠芽腫から4つの脳腫瘍幹細胞株を採取した。Delta-24は研究室でその4つを死滅させた。次にマウスの脳に移植し、そこに繁殖した腫瘍にDelta-24-RGDを注射した。治療したマウスの生存期間中央値は66日、無治療のマウスは38.5日だった。8匹のうち2匹が92日生存し、実験終了まで神経系症状は現れなかった。
「動物モデルで生存の改善を見ることは重要であるが、一部で、神経系症状なしに治癒や長期生存が見られることは非常に稀なことである。もちろん、人における結果でないことは留意すべきであるが、これらの腫瘍は患者たちの腫瘍と酷似したものであったことは有望である。」
Delta-24-RGDは国立癌研究所(NCI)により製造され、すでに毒性評価も終了している。第1相臨床試験に進むべくINDA(新薬申請)がFDA承認により今月(9月)に行われる予定である。試験はこの秋にも開始される。
Delta-24-RGDは、網膜芽細胞(Rb)が脳腫瘍細胞に欠如しているか不完全であることを利用している。Rbは癌細胞の増殖制御とウィルス感染への防御に働くため、ウィルスはその細胞内で活動が容易となる。Delta-24-RGDは腫瘍が絶滅するまで自らを貪食させる。 全文日本語訳
新潟大学も参加
【PubMed:17848677】
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参考:GBM幹細胞を標的にするシクロパミン/ジョンズホプキンス原文記事
追記:エムズサイエンス、開発品HF10(Msc2)が米国で特許成立
当社は、弱毒化された単純ヘルペスウイルスHF10をがん治療の医薬品として開発し、事業化を進めております。今般、米国特許庁(United Status Patent and TrademarkOffice)より9月4日(現地時間)付で、HF10を含む単純ヘルペスウイルスを用いたがん治療に関する特許権が成立した旨の通知を受けましたので、お知らせいたします。
■特許の内容
名称:Composition and Method for Treating Cancer Using Herpes Virus
特許権者:株式会社エムズサイエンス、西山幸廣(名古屋大学教授)
発明者:西山幸廣(名古屋大学教授) 出願番号:10/477,444 登録番号:7,264,814
「テロメライシン」「G47Δ」などに注目してきた患者本人ですm(__)m
つい先日、“米国特許庁で「HF10」を含む「単純ヘルペスウィルス」
を用いた癌治療に関する特許権が成立した”というプレスリリースを
読んだところでしたので、このニュースにもビックリしました。
ウイルス療法の何よりのメリットは、副作用の少なさだと思います。
また、腫瘍免疫で抗体が作られることがマウスで示唆されている、
という点にも期待しています。
“近日掲載”の続きをとても楽しみにしております。
HF10米国特許の話、やはり追記で入れておきました。ウィルス療法、日米どちらも潜行してますねーどちらがどうなのでしょうかー
患者に細胞毒性のほとんどない、しかも癌細胞のみがっちり追っかけ死滅させる、そんな治療が早く実現することを祈るのみです。米国、第1相開始ですね。
全文、もう少しお待ちくださいね!