がんの情報Tips

海外のがん情報を紹介。『海外癌医療情報リファレンス』https://www.cancerit.jp/関連ブログ。

ブラックウェンズデー・・免疫癌治療の新時代FDA却下

2007-06-18 | 癌全般
居た堪れないニュースです。

    

FDAのブラックウェンズデー
2007年5月9日は癌の免疫療法のブラックウェンズデーとして歴史に残るだろう。たった8時間のうちにFDAは1つならず2つの安全で有望な治療を闇にほうむることに成功した。
患者の免疫を活性させて癌と戦うという100年の夢は化学療法より古く、この25年で大きな前進を見てきた。しかしながら、治療後の腫瘍縮小は、患者の延命などの臨床結果との『強い』関連性として完璧な変換ができない。
このような状況下、この数ヶ月間に2つの全く異なるワクチンがFDA諮問委員会にもたらされた。前立腺癌のProvengeと小児骨肉腫のJunovanである。Provengeはすべての治療に奏効しなくなった前立腺癌患者における結果(*Tips過去記事)を持ってFDAセンター・フォー・バイオロジクスに対してcell-based癌治療薬についてアドバイスする委員会の審議にのぼった。この委員会は、免疫学と腫瘍学の両専門家たちで構成されていた。Junovanは、異なった委員会で審議にかけられた。こちらのメンバーは腫瘍医らのみで、免疫の専門家はいなかった。

ProvengeもJunovanもどちらも患者の生存延長が認められている。しかし、FDAによると、統計学者が言う、これらの'生存における有効性'には'問題’があるという。この問題がProvengeの公聴会で議論されたとき、委員会の多数派(13対4)は、この問題を関連性ある重要なものとしながらも、この製品のしっかりした免疫科学の裏づけによって取って代わられると考えた。
しかしながら、少数派であった腫瘍医界の大物メンバーたちが、多数派に対して癌治療薬に関する無知と無能さを非難した前代未聞のPRキャンペーンを行ったのだ。横暴なこのキャンペーンでは、免疫ベースの製品の生存率データが質的に化学療法とは異なるかもしれない、異なった判定基準によって判断されなければならないかもしれないという概念も無視した。Provengeの肯定的な投票結果の2、3週後、JunovanがFDA承認の諮問委員会にかけられた。信じがたいことに、Junovan治療を受けた子供たちの生存率の改善は、委員会によって即座に無関係として無視された。統計データによると、有効性のオッズは94%、通常のゴールは95%この1%の違いを補正せよとして委員会のメンバーは12対2の反対票を投じたのだろうか。
このJunovanの委員会で議長を務めていたのはProvengeに対してPRキャンペーンを行った医師だった。Junovanの審議はProvengeとは違い、有効性を支持する免疫科学については一言も語られないまま、一瞬のうちに終わった。Junovanの投票が行われているあいだに、FDAはついに屈服し、Provengeの肯定的な投票結果を反映しないことを発表、Dendron社がこの製品から完全撤退しないとすれば、さらなる3年間を要する試験を要求するとした。

癌の免疫治療の新しい時代の夜明けは、この8時間のあいだに、真夜中に引き戻された。この衝撃の決定が、老若男女問わず、どれほどの癌患者の生命を縮めるのかという結果をわれわれが知るのには数年かかるだろう。
ウォール・ストリートジャーナルより抜粋
~~~~
参考:ProvengeNCI癌ワクチン


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
何か悲しいですね (Setochan)
2007-06-19 00:40:25
かつて日本でも同じことがありました。
がん治療で一番客観的な効果指標は生存期間であるはずで,承認された他の薬剤とは遜色がないまたはそれ以上と思っていたのですが。
いいものはいいはずなのに,本当に残念です。
でも,FDAでもこういうバイアスがあることを理解しなければならないということでしょうね。
訳しているうちに ()
2007-06-19 10:47:15
すごく口惜しくなりました。
言葉を添えていただいてありがとうございます。
FDAでも内部でこんなことが起っているんですね。それをすっぱ抜いて堂々と記事にするメディアはやっぱりすごいです。

ワクチンは、かなり有効になってきていて、いよいよの承認だと期待していましたので、本当に残念です

コメントを投稿