教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

デジタル屋さんの今

2014-04-06 20:50:27 | 科学
知り合いのデジタル屋さん(論理設計と論理検証の専門家)が興味深いことを言っていた。

昨今は
「ASICの設計案件が減っている」
という。

それによって
「デジタル屋さんの必要な人数も減っている」
のだとか。



数年前まではこれと全く逆のことが世間でよく言われていたことを思いだす。

そのときは
「論理設計の規模がすごい勢いでどんどん複雑になっていっており、その速さはEDAツールの進化では追いつかず、設計工数がうなぎのぼりになっている」
と言っていた。
ここでいう”設計工数がうなぎのぼり”というのは”デジタル屋さんがたくさんいる”というニュアンスを多分に含む。

ところがどっこい、今はそうではないというのだ。

なぜか?

うちの会社の個別事情を書いてもしかたがないのでそこは書かないが、一般論としては・・・
「1個の設計案件に必要な人材の物量の増加よりも、設計案件の減少数のほうが多かった」
・・・というものなのかもしれない。

だいたい日本の携帯電話が世界を席巻していたころはプロセッサを各社で設計していたが、今はQualcommかNVIDIAから買ってきて載せるだけだ。
仮に自社設計するにしても、chip全体としては当時より遥かに複雑になるが、プロセッサコアなんてTSMCの特定のプロセス用に物理設計まで済んだARMのコアを買ってきて載せるだけだろうし、そうなると自社設計するところは多くてもシステムレベルとペリフェラルしかなくなる。
しかも、もしそれをやるならQualcommかNVIDIAから買ってきて載せるだけより競争力のあるものを作らなければならないときた。

うぅむ、困ったもんだ・・・。

先のデジタル屋さんはもはや論理設計と論理検証の世界には見切りをつけており、しばらくは仕事のありそうなべつの分野に転業するようだ。
氏が早めに脱走したことにより構造的失業のあおりを受けなくてすむというメリットを享受できると言えるのかどうなのかについての判断にはしばらく時間を要する。



かつて電気機器が高成長業種だったころ、とにかく人が足りなくて、中の上くらいの人材がとにかくたくさん必要で、エンジニアをたくさん囲って人海戦術のごとく新製品を開発していたようなフシもある。
だが、もはやそういう時代は歴史の1ページとなった過去のものだということなのかもしれない。