オータムリーフの部屋

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WBC不参加の波紋

2012-07-23 | 社会

プロ野球選手会は20日、過去2大会を制しているWBCの不参加を発表した。新井会長は、いろんな論議があったが最後は全員一致で決めたと発表した。
将来の子供たちのためと表現しているその内容は、これまで指摘されてきた、アメリカの一方的な利権によるものである。WBCのスポンサー収入の70%は日本のものである。ところが一旦主催者(WBCI)に納められ、日本には僅か13%還元されるだけである。これまで何度も、改善を申し込んできたが無回答である。すべての試合の審判は、、「国際大会」を謳いながら、アメリカの審判員が行う。ほとんどがマイナーの2流の審判である。彼らは、これまで数々の疑惑の判定を行ってきた。疑惑の判定のすべてが、アメリカが有利になる決定的な場面で行われている。それでも世界最強のアメリカメジャーは、勝てなかった。

「選手会はカネを優先した」という批判もあるが、それは的外れであるように思う。利益の分配についてだけでなく、日程や組み合わせについても不可解な点が多い。
 MLBが“言いだしっぺ”であり、さらには運営母体にもなっているのだから、こうした不公平も当然なのだろう。だが、2011年に国際野球連盟(IBAF)が公認したことにより、WBCはたんなるアメリカの野球大会から、世界一を決める国際大会となった。ならば、これまで課題とされてきた不可解かつ不透明な大会をクリアにしていく必要がある。今回の選手会の主張は、一参加国として当然の主張だろう。ひとつ残念なのは、論点をスポンサー料などの金銭面を前面に出したこと。日程や組み合わせ、審判問題なども盛り込んでいれば、「あいつらはカネのために不参加を決めた」という的外れな批判を浴びずに済んだかもしれない。

 だが、本来、こうしてMLBにモノ申すべき立場は、選手会ではなく、NPBのはずだ。それが、あまりの弱腰外交によってMLBの言いなりになっている状態に業を煮やし、選手会が訴えている。本来、矢面に立つべきNPBが本来の職務を放棄し、さらには選手会の決議に「出場するよう説得する」などとコメントしている。彼らが交渉し、説得すべき相手は、選手会ではなく、MLBのはずだ。この選手会の決議を受けた加藤コミッショナーのコメントは「選手会に伝えたい、考えてもらいたいのは、日本のファンのこと。金目では換算できない。WBCで2回連続でチャンピオンになった意味は大きく、出ないことの影響を真剣に考えないといけない。」

さらにNPBの国際関係委員長を務める日本ハム・島田利正球団代表が22日、選手会を説得する方法があると言う。大会期間中でも、WBCのロゴなどを一切使わずに、「侍ジャパン」応援に限定すれば、スポンサー料がNPBに入るという。「大会のスポンサー権やグッズなどの販売化権が、すべて主催者側に入るといわれているが、WBCのロゴや文字を使わなければいいこと。大会期間中でも『WBC』とうたわずに、『頑張れ、侍ジャパン』『侍ジャパンを応援します』というCMやグッズなら、主催者には関係なく、NPBの収入になる。」
 なるほど、盲点を突いた姑息な手段だ。しかし、出場している大会とスポンサーが無関係だという主張は、無理がある。単なる「侍ジャパン」を応援するスポンサーがもくろみ通り現れるかも不透明。権利をめぐってWBCIともめるのは必至だろう。
 
スポーツ紙は否定的な論調が多いが、東京中日などは選手会に理解示す。「加藤コミッショナーの行動力のなさが今回の事態を招いた」として、「不参加が現実味を帯びてきた元凶はこの問題を前回大会以降、ずっと『放置』してきたことにある」と指摘。デイリースポーツも同様に、権利関係をめぐる問題が放置されたことを批判する。ヤフーアンケートでは3分の2が「決議に納得」 一般の野球ファンは、選手会側を支持している。たとえば、ヤフーが「あなたは選手会の方針についてどう思いますか?」との設問でアンケートを行ったところ、、現時点で投じられた約17万票のうち、約66%が「納得できる」と回答。「納得できない」との声は28%にとどまっている。
考えてもらいたいのは、野球のファンのこと。せめて、スポーツの世界では不正をシャットアウトとしてもらいたい。でたらめやインチキがまかり通るWBCなど見たくもない。
そして、NPBは金の問題に矮小化して選手会を説得すると言う。やはり、ご老体の頭はお金でどうにでもなると思っているようだ。選手会は全員一致の決議を金による懐柔策で台無しにしないよう心してもらいたい。
 
この野球社会の構図は、アメリカと日本の関係を示す典型的なものだ。米軍の日本における地位協定そっくりである。アメリカが、できそこないの輸送機オスプレイを、明後日でも日本に陸揚げする。そして、最も危険とされる普天間基地に配備するのであるが、野田首相も関係閣僚もアメリカの言うとおりにするという。反対しているのは地元だけ・・・・
地位協定とは、アメリカの都合の良いことはやり放題、不都合なことは隠ぺいし、日本の主権者のことなど全く顧慮しないというものである。
新井会長の決断に拍手を送りたい。久しぶりに胸のすくニュースだ。それにつけても、この国の野球は一流だが、政治は三流ですらないと思わずにはいられない。官僚の決めたことに判子を押すだけの政治は単なる時間と金の浪費である。

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