オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

日本でいちばん大切にしたい会社

2014-03-10 | 社会
坂本光司氏によるビジネス書「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版)。
「働く理由」「会社のあり方」を教えてくれる本書は、現代社会で働く多くの人の心を動かし、ベストセラーとなった。
「グローバル化」を口実に、経営者は派遣社員の比率を高め、利益を働く者に還元せず、内部留保を高めていく。
他方、中小企業の70%は今も赤字だ。法人税をいくら下げようが、赤字の中小企業には関係ない。国は昔から「中小企業のひとつふたつ潰れてもかまわない」が本音だから、大企業の望むように為替を円安にして輸出で稼げるように仕向ける。
利潤追求のみで人件費をコストとしてしか考えなくなった大企業がブラック企業化していく一方、中小企業の中には社員を大事にし、家族的ぬくもりの経営で利益を挙げているところも多い。

◎日本理化学工業(川崎市)
 化粧品・健康食品を扱うファンケルスマイルという会社の子会社。従業員50名のうち70%が知的障害者。地域の施設から依頼されたとき最重度の障害者を雇った。社員が「あの人はウチが断ったら、一生仕事の経験がないままに終わってしまうかもしれないから、社長雇って下さい」と言ったのだ。生産ラインもそれぞれの障害者に合わせて工程が組まれ、道具まで特注で用意する。
 
◎伊那食品(長野県・伊那市)
 ダイエットが流行して「寒天ブーム」が起きた時、注文が殺到した。全国展開する大スーパーから、年間数億円の取引を持ちかけられたが、断った。その理由は「従業員にムリな残業はさせられないし、このブームは一過性のものだから危ない」。
「我が社が一番大切にしているのは社員です。経営者が最も大事にしなければならないのは、まず従業員とその家族です。顧客はその次です」
三万坪の敷地に塀も門も一切無い。誰でも自由に入れるから、近くの幼稚園児が丘の上でお弁当を食べている。「何かを、誰かを犠牲にしない」がモットーだから樹を切ったりしない。リストラなどもちろんしたことが無い。この会社を見学に来た者はみんな涙ぐむ。そして「買うぞ、この会社のものなら何でも買う!」という気になってしまう。騒がしいTVコマーシャルなど不要だ。
社員が機械操作をミスして足を大怪我してしまった時、塚越社長は倒産覚悟で設備投資して機械を一新した。「会社はそこまで私たちのことを」と、従業員は胸が震えた。そいう社員がどういう仕事ぶりか、商品を開発するか---この伊那食品何と50年以上増収増益なのだ。
 
◎樹研工業(豊橋市)
 02年に世界最小の歯車を開発した。直径0.19ミリ。まさにオンリーワン商品だ。この会社の社員は、元・暴走族や引き籠もりといった問題児が多い。そんな男たちに、大学の先生たちが歯車の説明をききに工場にやってくる。松浦社長は言う。
「今の若者はタイミングよく心に火を点けてやりさえすれば、がむしゃらに勉強して働きますよ。その気にさせる環境を整えてあげるのが、経営者の仕事です」。
この会社のユニークなところは「採用は先着順」「給料は年齢順」学歴・国籍・性別一切関係無し。履歴書不要。
「わが社を選んでくれたのだから有り難いことです。選別するなんて失礼なことできません」だそうだ。
三年間癌で休んだ人にも給料を払った。さらに「死亡保険の保険料は会社が払い、保険金の受取人は家族にしてます。残された家族は大変ですからね」。
辞める人がいない。それどころか社員が自分の子供を入れたがるから、社員世襲制になってしまうほど。
この会社に定年は無い。辞めたくなった時が定年。何故か? 社長いわく「技倆が完成するのは60歳過ぎだから、生産性が高いのは年齢が高い者です。若い人たちの五倍はあるでしょう。つまり一番稼いでくれるのは年寄りなのです」。というわけで60~70歳の年収は1000万円。タイムレコーダーなど無い。優秀な会社ほど社員を縛らない。本社の総務・人事などの部署が大きい会社ほど社員の管理に力を入れるから、社員の創造性と自発性(モチベーション)は失われ生産性は下がる。優れた会社は本社が小さい。

◎協和(東京・神田)
 ランドセルの会社である。少子化にも拘わらず売り上げを伸ばしている。
「どんな要求も決して断るな」が社是。両肩の無い障害がある子供のため、全社一丸となり一点もののランドセルを考案。20万円かかっても通常の3万円で売る。
「赤字だろうが、お金に換えられないやり甲斐を社員に与えてくれるのですから」と社長。
障害のため親子が諦めていたランドセルを社員が届けに行ったら、その子供が嬉しさの余り車椅子から降りて這ってきた。毎年山ほどの「お礼の手紙」が会社に来る。
ニューギニア戦線で、飢えとマラリアで4000人いた部隊が40人しか生き残れなかった、その地獄の戦場を生のネズミを食べて生き残った若松さんが創業者だ。
「戦争は最悪」だから、協力と平和こそ大事という意味で社名が「協和」。
3・11大震災の時は、全国から送られてきた中古のランドセルをわざわざ手間暇かけて修理をし、被災地に贈った。その数なんと一万個。「自分が使ったランドセルを使って欲しい、という日本中の子供たちの優しい心に応えるため」と社長。
 
◎柳月(北海道・十勝)
北海道で生まれ、大きく成長したものの、決して北海道から出ようとしない。十勝の自然を満喫してもらおう、お菓子づくりを体験してもらおうということでつくった3万4000平方メートルの「十勝スイートピア・ガーデン」には、年間60万人ものお客様が訪れる。柳月の願いは、「心と心をつなぐこと」。地域の多くの人々が、お菓子のおいしさや気持ちのこもったサービスから、幸せをもらっている。
 
◎富士メガネ(北海道・札幌)
“困っている人がいたら助けてあげたい”をスローガンに、世界の難民や肉親捜しのため来日する中国残留日本人孤児たちに検眼をし、メガネのプレゼントをし続けているのが富士メガネ。中国残留日本人孤児やインドシナ難民、アゼルバイジャン系難民からのサンキューレターには胸が熱くなる。
 
◎鉄蕉会亀田総合病院(千葉・鴨川)
多くの病院が医師不足、赤字経営で苦しむなか、たくさんの患者さんが“もう一度入院したくなる病院”と感想を抱く総合病院。
患者思い、家族思いの治療やサービスをしてくれている、“絶対にノーと言わない病院”。
 
 従業員を使い捨ての道具としか考えない大企業の経営者はこれらの会社の心意気を少しは見習ったらどうだ。
マルハも「社員の幸せが会社の幸せ」であったなら、従業員から毒を入れられるような犯罪を招くこともなかったろうに・・・・
 
 共産党の小池晃議員に「ワタミのアルバイトは最低賃金と同額」と国会で指摘されたことについて、ワタミグループ創業者の渡辺美樹参議院議員は3月6日、Facebookで「最低賃金ではない職種の募集もしています。そもそも共産国家でない日本は、あの企業で働きたくないと烙印をおされ、経営がなりたたないリスクとも、経営者は常に向き合っています。内部留保に関しても、中長期で企業を維持、発展させる責任が経営者にはあります。経営者視点の発想、事情が理解できない政治家がいるのも仕方ありませんが「レッテル貼り」によって、日々の政治活動や経営がブレたり影響を受けることはありません。」と反論した。
しかし渡辺氏が示した反論で、わざわざ下線が引かれていた高い時給の箇所は、深夜残業の法定割増分を足したものであった。
 
 小池晃議員の参議院予算委員会での質問「十分に体力がある大企業が最低賃金で雇用している状況を放置して良いのか」に対して、安倍首相は
「最低賃金に張り付いている企業は、なかなか人材が集まらない状況をつくっていくなかで、賃金待遇あるいは職場環境の改善に、努力を傾注していかなければならない」
といつものようなはぐらかし、曖昧模糊の答弁だった。渡辺美樹は自民党公認の国会議員ですぞ。
安倍晋三首相とも長いお付き合いのようで・・・・
教育問題で積極的に発言し、第1次安倍内閣時代の06年、安倍晋三首相の肝いりで設置された「教育再生会議」のメンバーに選ばれたとか。
去年4月10日には、首相と都内のホテルで会食。終了後、記者団に、北朝鮮が弾道ミサイル発射に向けた動きを見せていることに関して首相が「きちんと情報が把握できているので日本を守ることができる」と話したことを紹介し、「そういう話を聞くと国民は安心する」などと述べて、首相と懇意なことを吹聴していた。
この会食でじきじきに参院選への出馬要請をしたらしい。
 
 渡辺美樹氏は、雑誌『PRESIDENT』2006年1月30日号掲載の対談の中で次のように発言していた。
 「我々は自由主義を選んだんだから、自由主義社会にすべきで、それはイコール競争社会なんだから下流にいれば飯が食えなくなって野垂れ死にするしかない」
 「ひきこもりに三食届けるからひきこもる。飯を与えなければ這い出してきますよ。」
 
 「もっとおいしい食事をさせてあげたかった」というメモを残し餓死した大阪市の28歳と3歳のDV被害者の母子。
 「おにぎり食べたい」と日記に書き残し餓死した北九州市の52歳の男性。
 「助けて」と声をあげることもできず餓死した北九州市の39歳の男性。
 3度にわたって生活保護の相談に訪れたのに「水際作戦」で追い返され孤独死した札幌市白石区の42歳と40歳の姉妹。
 「下流にいれば飯が食えなくなって野垂れ死にするしかない」日本社会の歩みは着実のようだ・・・・・
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿