風の族の祝祭

詩歌の森のなかで、風に吹かれて、詩や短歌や俳句の世界に遊んでいたい。
著作権は石原明に所属します。

「日月宙」92号冬号 「飲食譚」20句

2017-03-01 08:30:29 | 俳句
石関芋平さんの「日月宙」に二十句掲載していただきました。

「飲食譚」

浄土にもカレー香るや涅槃西風
ぬる燗のぬるりと馴染む春の月
蕗の薹苦みの滲むまでを噛む
白魚の胃の府のトーテンタンツかな
無残やな絵金の春のどろめ汁
柏餅剥けば赤子の尻となり
暴力のごとくバナナの皮を剥く
汗拭ふまにまに札幌スープカレー
熟柿剥くナイフの指をぬめらせて
天高し地球はアップルパイの午後
マスカット剥けば地球の秋となり
蜜を溜め白き歯を待つ林檎かな
名月や畳鰯の縁焦がす
柚子一片ほどの奢りや澄まし汁
鄙びたる氷柱折り入れロック酒
鰤大根煮汁にアラを解体す
スーパーで購ふ〆の寒仕込み
生き死には生き死にとしておでん酒
一段と啜る音させ晦日蕎麦
去年ふたり今年はひとり晦日蕎麦
コメント
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