セスナから撒かれしビラのごとき秋
囃子笛人形絡繰秋祭
心中に肉食獣あり寒月夜
雷神に裂け雷獣に折れしも欅なり
立冬や角封筒の別離来る
金木犀闇は漆黒の猫となり
柊や傷つき易し鬼の肌
枯園や幻視弦楽四重奏
旧街道韃靼ダンスの枯葉かな
御神渡る男神はヨドバシカメラまで
狐火を吐きて死ぬるや摩天楼
春は桜の秋は紅葉の嘘をつく
飼へぬなら心に飼はむ寒の鵙
水仙は岬に合ふ花風の花
水仙やとどろに渡る雷の神
忍返しせめて落葉は串刺しに
冬薔薇今朝も無人の乳母車
枯蟷螂老いの形の鎌曝す
牡丹雪の思ひ煩らふ重さ軽さ
このゆびとまれ人さし指から末枯れし
冬の泉緋鯉のごとき落葉かな
節分会鬼と成り出でそのままに
ホルマリン槽の死体と笑う寒夜かな
凛凛と弥生の町に入りにけり
石の狐石の眼の恐ろしや
小春日のプラスチックの動物園
犬狼星イエスは腐臭を放ちたるや
冬木立暮るれば影は人めきて
星の死の葉牡丹のごと渦巻けり
神無月アウシユビツツに神ありて
罅割の獣のごとく血を舐むる
冬の星在り在る在らむ宇宙なり
昴あり吾も獣の臭ひなり
冬銀河闇も光れぬ星の群
寒星や吾が来し方は迷路なり
木犀やむづかつてゐる恋心
神おはすと大白鳥の羽搏けり
カテーテルに流るるごとき冬の川
冬の蜂すでに異界を歩みをり
凍蝶や翅ぼろぼろで死にたくなし
花八つ手透明人間とすれ違ふ
花八つ手この世の果も雨滴かな
花八つ手そして誰もいなくなった
花八つ手日陰日陰と咲いてをり
花八つ手ワセリン臭ふモデルガン
花八つ手掌ににんげんの傷深し
花八つ手飛行機雲の細き時間
人参喰ふ兎を喰らふ人参喰ふ
秋の草白紙のままの白地図に
冬銀河何処にありやベツレヘム
海嘯のただただ深し冬鴎
狐火の消えて山山墓地のごと
寒雷や手相にしるき余命なり
時雨来て何を笑ふや道祖神
寒月や人は微かな腐臭あり
胡桃割る胡桃痛いと胡桃泣く
秋深し言ひ募るをんなと嵯峨野ゆく
空も夢も青しベンチを船として
柿落葉音無く滑る車椅子
烏瓜に目鼻を描いてコルト45
二人して裸で寝ねよ春隣
月見草凛と手折りし祝婚歌
黄泉より浮上がりくる鯉生臭し
敗荷や思はず杖で打ちてをり
露天風呂裸身であれば大オリオン
西洋の眼で昏く見てをり蓮の花
冬の蝶離れ離れに弱りをり
靴跡に幾千億の冬銀河
武装せよ蝸牛還暦を過ぎにけり
死んだかと突付かないでくれ穴惑ひ
足裏のアンモナイトの海くすぐつたい
枝枝に鴉の飢あり寒月夜
燕帰る軍務は遠き父の挙手
少年の指細し栗菓子フォーク細し
剛毅な革命何処にありや胡桃割る
手袋の似合ふリユクサンブウルかな
余命あらば五年日記を買ひ給へ
黒揚羽それを記憶と呼ぶべきや
冬の海底知れぬまま夕暮れる
霰打つ打つには値せぬものも
散骨の海の底なる鬼海星
雷神の顎の形の気に食はぬ
天涯の傾きしまま冬薔薇
氷柱酒明日猪撃たむと青年呑む
誘導灯暗き海より寒の闇
賛美歌の絶へて木枯アンダンテ
立冬や思ひあぐねしものを捨つ
蟷螂や死しておどろに枯れてをり
青蜜柑剥けば滴る海の色
鮟鱇の腹から虚無の溢れけり
梟や過去へ連なる夜の木霊
狐目の女のポスター三番館
死に方を決めよと寄する冬の波
冬の星聖母の張りたる乳房かな
煙草捨つくねりくゆりて燻りぬ
水仙花水面のナルシス何を見し
砲弾の錆びし墓碑あり冬の森
みぞるるや空白の肺の手術痕
山茶花のとめどなくちる恋心
虚子の忌や去るものはみな大股開き
囃子笛人形絡繰秋祭
心中に肉食獣あり寒月夜
雷神に裂け雷獣に折れしも欅なり
立冬や角封筒の別離来る
金木犀闇は漆黒の猫となり
柊や傷つき易し鬼の肌
枯園や幻視弦楽四重奏
旧街道韃靼ダンスの枯葉かな
御神渡る男神はヨドバシカメラまで
狐火を吐きて死ぬるや摩天楼
春は桜の秋は紅葉の嘘をつく
飼へぬなら心に飼はむ寒の鵙
水仙は岬に合ふ花風の花
水仙やとどろに渡る雷の神
忍返しせめて落葉は串刺しに
冬薔薇今朝も無人の乳母車
枯蟷螂老いの形の鎌曝す
牡丹雪の思ひ煩らふ重さ軽さ
このゆびとまれ人さし指から末枯れし
冬の泉緋鯉のごとき落葉かな
節分会鬼と成り出でそのままに
ホルマリン槽の死体と笑う寒夜かな
凛凛と弥生の町に入りにけり
石の狐石の眼の恐ろしや
小春日のプラスチックの動物園
犬狼星イエスは腐臭を放ちたるや
冬木立暮るれば影は人めきて
星の死の葉牡丹のごと渦巻けり
神無月アウシユビツツに神ありて
罅割の獣のごとく血を舐むる
冬の星在り在る在らむ宇宙なり
昴あり吾も獣の臭ひなり
冬銀河闇も光れぬ星の群
寒星や吾が来し方は迷路なり
木犀やむづかつてゐる恋心
神おはすと大白鳥の羽搏けり
カテーテルに流るるごとき冬の川
冬の蜂すでに異界を歩みをり
凍蝶や翅ぼろぼろで死にたくなし
花八つ手透明人間とすれ違ふ
花八つ手この世の果も雨滴かな
花八つ手そして誰もいなくなった
花八つ手日陰日陰と咲いてをり
花八つ手ワセリン臭ふモデルガン
花八つ手掌ににんげんの傷深し
花八つ手飛行機雲の細き時間
人参喰ふ兎を喰らふ人参喰ふ
秋の草白紙のままの白地図に
冬銀河何処にありやベツレヘム
海嘯のただただ深し冬鴎
狐火の消えて山山墓地のごと
寒雷や手相にしるき余命なり
時雨来て何を笑ふや道祖神
寒月や人は微かな腐臭あり
胡桃割る胡桃痛いと胡桃泣く
秋深し言ひ募るをんなと嵯峨野ゆく
空も夢も青しベンチを船として
柿落葉音無く滑る車椅子
烏瓜に目鼻を描いてコルト45
二人して裸で寝ねよ春隣
月見草凛と手折りし祝婚歌
黄泉より浮上がりくる鯉生臭し
敗荷や思はず杖で打ちてをり
露天風呂裸身であれば大オリオン
西洋の眼で昏く見てをり蓮の花
冬の蝶離れ離れに弱りをり
靴跡に幾千億の冬銀河
武装せよ蝸牛還暦を過ぎにけり
死んだかと突付かないでくれ穴惑ひ
足裏のアンモナイトの海くすぐつたい
枝枝に鴉の飢あり寒月夜
燕帰る軍務は遠き父の挙手
少年の指細し栗菓子フォーク細し
剛毅な革命何処にありや胡桃割る
手袋の似合ふリユクサンブウルかな
余命あらば五年日記を買ひ給へ
黒揚羽それを記憶と呼ぶべきや
冬の海底知れぬまま夕暮れる
霰打つ打つには値せぬものも
散骨の海の底なる鬼海星
雷神の顎の形の気に食はぬ
天涯の傾きしまま冬薔薇
氷柱酒明日猪撃たむと青年呑む
誘導灯暗き海より寒の闇
賛美歌の絶へて木枯アンダンテ
立冬や思ひあぐねしものを捨つ
蟷螂や死しておどろに枯れてをり
青蜜柑剥けば滴る海の色
鮟鱇の腹から虚無の溢れけり
梟や過去へ連なる夜の木霊
狐目の女のポスター三番館
死に方を決めよと寄する冬の波
冬の星聖母の張りたる乳房かな
煙草捨つくねりくゆりて燻りぬ
水仙花水面のナルシス何を見し
砲弾の錆びし墓碑あり冬の森
みぞるるや空白の肺の手術痕
山茶花のとめどなくちる恋心
虚子の忌や去るものはみな大股開き