VOCA展2010に行ってきました。
毎年、合う合わないがあるのですが、今年はまあ合うほうでしょうか。
合わないなと思ったらそもそもブログには書いてないわけで。
さて、気になった作家さんと作品についてピックアップ。
中谷 ミチコ「そこにあるイメージ I」「そこにあるイメージ II」
絵画だと思って近づいてみると!!!
人物の部分が逆にえぐられていて、そこに彩色されている。
これは彫刻?絵画?不思議なトーンで見た後にきつねにつままれた間が残るのがよいです。
見る位置でなんか見え方が違うなあと思ったら判りました。
このえぐられた部分には何らかの透明な樹脂みたいなのが流し込まれてて、これがレンズみたいになって見え方がゆらぐのです。
二重の仕掛けに脱帽です。
三宅 砂織「内緒話」「ベッド」
印画紙に直接、オブジェの影を焼き付けるフォトグラムを用いて製作された作品。
フォトグラムというとマン・レイを思い浮かべますが、ああいう感じとはまったく異なります。
ぼんやりとしたイメージはモノクロですが、キラキラと輝いてて詩情あふれているのです。
風間 サチコ「大日本防空戦士・2670」
横は3メートルくらいあるでしょうか。
圧巻です。画面構成力があって、版画の線の力強さ+戦争モチーフ。でも登場するのは大魔神のパロディ。
毒っけと茶目っ気と本気が織り成す世界にはひきつけらますね。
気になったのは「TBS」と「八鉱一宇」。具体的に現れるこの荷角ワードが気になりました。
八鉱一宇はWEBで調べて初めて知りました。
清川 あさみ「HAZY DREAM」
写真+刺繍という変り種。
銀の糸にスパンコールを散りばめた夜の都会の景色。
見たことないなって感じです。
渡部 裕二「雪」
白い大きな紙に描かれた雪景色。
一瞬、水墨かと思うもトーンはまったく異なる。
鉛筆で繊細に描かれてて、こういうシンプルなのは好きですね。
多和田 有希「Continental Drift Theory 1、2、3」
インクジェット出力した写真なのですが、都会のビルの夜景を稲光が走るかのよう。
このびかびかした線は消しゴムとサンドペーパーでけずられたよう。
こういう引き算も表現としてアリなんだなあと納得。
ましもゆき「永劫の雨」
細密です。
くじゃくと植物。モノトーンですが妙な色気があります。
特に黒。したのほうに見える黒はインクでぬられただけのはずなのですがベルベットのような質感に見えました。
市川 孝典「untitled(rooty)」
これは手法についてちゃんと書いてあげるべきかと。ただ「和紙」とのみマテリアルのみかかれても面白さは伝わらないと思います。
線香で紙を焼いていくことで浮かび上がるということがわかってはじめて「ああ」となるわけで。
坂本 夏子「BATH,L」「Funicula(仮題)のための習作 b」
ひし形上のタイル的模様がゆがみひしゃげてく絵画。
ありそうでいてあまりないような気がします。
齋藤 芽生「密愛村 ~ Immoralville」
正方形に配された9点のフレーム。うち6点に描かれた絵画。
やばいテイスト満載。デカダンス満載。
惹かれたのが一番したの段の2点。
一点はメリーゴーランド。
馬に乗ってるのは馬?ってよく見てみると乗られてる姿勢があれれ。
下の馬はパンツぬがされて、あれ?後ろの馬と下の馬は股間でつながってる。
しかもメリーゴーランドの淵にはご丁寧にティッシュまで。
もう一点は夜の旅館か何かの玄関。
かまぼこもちーふになってて、ピンク淵で中が白のかまぼこ断面が枝に生える葉になってる。
しかも、地面に散乱するボストンバッグもピンクに白。しかもピンクで寿と書かれてる。
ああ、いい。狂ってて好き!
大庭 大介「SAKURA」
大場さん作品はこれまでのはぐるぐるした模様のしか見たことがありませんでした。
だから今回の具象はすごく新鮮。
いつもの大場さんのキラキラしたので桜です。
思わず、これが屏風だったらと想像しちゃいました。
花鳥にするにはあとは鳥ですね。勝手に期待しちゃいます。
柳澤 顕「untitled(The scenery of the complexity)」
モノトーン。
感じとしてはCGでやりそうなことをアナログで描いてるなあと。
ところが細かい部分を見ていると炸裂したフォルムが物理的になさそうな形になってることが判ります。
絞ろうと思ったのですが、なんやかやでこれくらいは書けてしまいました。
ってことはやはり面白いのだと思います。
3/30まで。
大庭さん、またインスタレーション個展を見たいですね。
あおひーさんのVOCA賞はどなたでしょうか。
毎年何気に追っかけてしまう展覧会です。
風間さんはすごく好きですが、昔のようなもっと要素が少ないシンプルなものが見てみたいと思いました。(文化庁でお買い上げいただいた作品とか)
大庭さんあのキラキラは無条件に好きですね。今後も期待しちゃいます。
>あおひーさんのVOCA賞はどなたでしょうか。
わたし的には齋藤芽生さんです。
でも、VOCAについては正直なところ冷静な分析が出来ません。
というのも、推挙された作家さんすべてに嫉妬があるのです。
というにもあおひーは年齢的に作家としてはもうエントリーされる可能性がなくなってしまうからなのです。
美術ブロガーとしての自分。作家としての自分。よくも悪くもこうなるとかち合うのですよ。
なんて恥ずかしいことですがこれが正直な気持ち。
さあ、いい作品を制作してひとに見てもらえる努力を続けていきたいと思います。