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トゥールーズ=ロートレック展(三菱一号館美術館)

2011-10-14 22:58:36 | アート系


三菱一号館美術館始まった「トゥールーズ=ロートレック展」に行ってきました。

実は行ってきたのは初日である昨日10/13のこと。実は有給を取ってたのでこれは行くしかないなあと。

しかもツイッターを見ていたらなんと年間パスポートが発売になるとのこと。

なんと5000円!さらに同伴者1名も入場できるというもの!!

サントリーだって7000円するのにこの価格設定は素晴らしいです。

ということで速攻でGETしてきましたよ。


というわけでこちらがパスポート。クレジットカードサイズです。

受付で写真を撮って、↑の裏面に印刷されるようになってます。

見返りブリュアンのパスっていいなあ~。

さて、パスも無事に手に入れてルンルン気分で会場へ。

リストを見るとなんと番号が180超まで!

どうしてもロートレックの展示というとアレとアレとが出てるよなあとなってしまうんですよね。

でも、今回の展示はそれを越えてました。よくぞここまで集めたなあと。

定番のポスターはもちろんのこと、リトグラフは種類点数ともの潤沢で、娼館での娼婦たちを描いた「彼女たち」、そして油彩もあってなんとも豪華なラインアップ。


第一章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ


☆「アンファン・ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵」

馬に乗り鷹を手に乗せた父親の肖像。

そもそもロートレックの油彩というのはこれまでにあまり点数を見ていない。

雰囲気的によい感じ。実際ではなくその人物の風合いを伝えているような印象を受けました。


☆「ロートレックによるロートレック」

空中を飛ぶマテリアルがなんとも宙ぶらりんな彼の不安を出しています。

中学生くらいの時に相次いで両足を骨折し、その後成長の止まってしまったロートレックの苦悩。


☆「A.ド・トゥールーズ=ロートレック伯爵婦人」

瞑想するかのような目を閉じた表情が安らか。

背後の葉から差し込む光もまたやわらかい。



第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛藝術



☆「ムーラン・ルージュ。ラ、グーリュ」(部分)

手前に画面を遮るかのようなものがくるのは広重の影響だと思われるものの。ロートレックはさらにそれを進化させ自分独自の表現としているように思います。

広重の版画はあくまでフラット。奥行きのないってことではなく画面のトーンが全体でぶれることなく均一であるという意味において。

ところがこのポスターみるとそうなってはいない。

手前の手を上げた紳士は紫で落ち着いたグラデーション。ただし、画面の前面を遮らんかの勢い。(まあ、真ん中ではないけども結構なボリューム)

そしてメインの踊り子はごくノーマルなカラーリング。

ところが背景の人物たちはシルエットでその存在を目立たなくしている。

やはりこの画面におけるパーツ分割が上手いんですよね。


☆「メイ・ミルトン」

これは2パターンあって通常晩と線のみの試し刷りと。

完成晩はもちろんいいのだけどもこの線のみのが金のラインのみで逆に上品かつシンプルでした。



☆「ジャン・アヴリル」

このモノトーンのリトグラフはどれも味があってよかったです。何か気持とか気分を孕んでいるかのようでした。

これはふわりとしたスカートのラインがよいなあと思いました。



☆「コーデュー」

ひととなりが見えてくる感じ。

何気にアウトラインが緑なのがイカしてる!



☆「ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)」

何度見てもいい!

手前を遮るコントラバスのネックから伸びるラインがフレームになってる。

実は億へと伸びる線の歪みがロートレックらしい。

たのタッチだからこそぴtったりと収まってる。もっときちっと描くタイプだと浮いてしまうのだろう。



☆「ロイ・フラー嬢」(部分)

ロイ・フラーは長い袖を振り回して舞う踊り子。

この版画、すりがいくつも種類があって海上には「金色の刷り」とこの「青色の刷り」が並んでました。

このフォルム何か他のものにも見えて面白い。

ちゃんと別バージョンを持ってるあたりさすがですよね。


☆『難しい年頃』のヤーヌとアントワープ

この少女の目がぱっちりでかわいい!

今回いろいろと見た中でこの表現はこれだけでした。(と思う。)


☆『レスタンプ・オリジナル』誌(最終号)、表紙

これは構成が見事。

向かって左が観客の視線から見た劇場の幕が下りるところ。逆に右側は同じシーンを舞台袖から見たところになっている。

相反する景色をジョイントしているのは中央からやや右よりの石造のモニュメント。



第3章 芸術家の人生


☆「ドイツのバビロン」

もともとは小説のポスター。ドイツ大使から差し止めがあったためロートレックが自費で製作したそう。

馬に乗る兵隊さん。

上方に見える馬3頭のお尻のあたりへのカーブがおかしい。やっぱり妙な歪みがある。でも、バランスとしてしっくりくるのが不思議。


☆「象の行列」

最初、画面だけみて「?」

で、タイトルみて「!!!」

なんとシンプル。鉛筆で書いただけなのにこのゆるさとすごさは何だろう。

象の鼻と耳をああいうふうには書けないです、普通。


☆ジュール・ルナール『博物誌』

ネズミやらかたつむりやら。動物シリーズ。

やや写実的でもあるかと思いきや、微妙にキャラが入ってる。

わんこのなんとも寂しそうな表情に惹かれました。


☆「彼女たち」

これはポスターも含めて13点ありました。

娼館の娼婦たちの日常を描いています。

中でも「盆を持つ女-朝食(バロン婦人とポポ嬢)」はとても自然な表情で他のに感じる微妙な重さが上手く殺がれてました。

そしてこの同じ部屋にはロートレックが影響を受けた歌麿の「青桜十二時 続」が展示されていました。こちらも娼婦たちの日常なんですよね。



☆「コンフェッティ」(部分)

紙吹雪の広告なのだそう。なんでもそれまでのは紙ではなく石膏片(!!)だったので危なかったのだそう。

瞳の描かれてない絵は恐くなりがちだけどもこれは一目で笑顔だと分かりますよね。なんとも楽しげでよいです。



☆「モーリス・ジョワイヤン」

ロートレックの友人にして彼の亡き後その作品を管理し、「トゥールーズ=ロートレック美術館」を設立したひと。

ロートレックの数少ない肖像画の油彩。

服の黄色の線の勢いがこの人物のたくましさを物語るかのよう。ロートレックが欲していたものなのだろうか。

点数も多く見ごたえあり。

ロートレックなんてもう見たよって方にもオススメです。

今回はいつも書くようなものではないのをなるべく取り上げてみました。

さーて、パスポートも入手したので再訪したいと思います。

12/25まで。
もっと知りたいロートレック―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
杉山 菜穂子
東京美術
ロートレックの食卓 (講談社ARTピース)
林 綾野,千足 伸行
講談社

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