
★藤田美術館 サイト
『絵ものがたり』 ※6月12日(日)まで
訪れた時、たまたま国宝『玄奘三蔵絵』ワンポイント解説をやっていた。
孫悟空に出てくる三蔵法師のモデルといわれる玄奘三蔵の生涯を描いた全12巻の絵巻物。
この美術館で何度か拝見したことはあるけれど、いつも一場面だけだから見る物は常に「お初」もの。
今回の場面は第11巻の第6段。
インドより持ち帰った『大般若経』600巻の漢語への翻訳が完成し、その供養をしているところ。
お堂の真ん中に巻物を10巻ずつぐらいにまとめて黒いもので束ねた海苔巻きのようなものが積まれていて、
神々しい光を四方八方に放っている。
控えている僧侶は「ありがたや~」という感じにひれ伏し、
「あの光はなんだ?」とばかりに外部から一般人も駆け寄ってくる。
その一方で法要の後で光られる宴に向けて、スタッフたちは黙々と準備に勤しんでいる~
光の表現がちゃんと遠近法で描かれていて、そこがスゴいなと感心。
鎌倉時代に表現法があったのね。
あと、一代記ということもあり、どの場面でも主役(玄奘三蔵)は同じ衣装を着ているんだと。
とにかく、保存状態がとてもよい。
絵の具も色鮮やかだし。
もともと、興福寺の塔頭・大乗院が所蔵していたものだそうで、
門主が交代する時にのみ、新門主に閲覧が許されたという、スペシャルな絵巻。
都の帝さえ、貸してもらうのは結構大ごとだったそうな。
明治の廃仏毀釈の波も乗り越え、わりと早い時期に藤田家に入ったとのこと。
藤田伝三郎の審美眼に改めて感動した。
隣には奈良時代に写された『般若心経』。これも国宝。
薬師寺に伝わったものの一部。(藤田美術館のほか、奈良博にもある)
玄奘三蔵がインドから持ち帰って漢訳した600巻のお経を
日本からの留学僧が写して遣唐使船で持ち帰り、それをさらに日本人が写経し。
そうやって現代に伝えられたんだなぁ。。。と二つの展示物を見比べながらしみじみした。
そのほかの印象に残ったもの
・鳥獣戯画の一部を表層したもの。
甲巻。 兎と猿と蛙が遊んでいる。
時代の表記がないから、高山寺にあるものの一部だったのか、高山寺のものを写したものなのかはわからない。
ただ、私の記憶にある甲巻の場面にはないので、「もしかして失われた場面だったらいいなぁ」と思った。
・西行物語図
江戸時代に描かれたものだけど、やっぱりむさいけど雅なお坊さん。
・歴史図故事人物図
江戸時代に描かれたもので冊子体。 絵は「伝・渡辺崋山筆」とある。
展示されていた場面が利休さんの亡霊と秀吉公。
隣に書かれている逸話によると、
秀吉公が炉の炭を直していると、利休さんの亡霊が出てきて口から火を吐いた~
(文章は明治時代になってから付け足されたそうで)
利休さん亡霊のおどろおどろした表情がすごい。
茶道具は茶箱一式が2揃え。
いずれも立方体に近くて、布袋が描かれているものと三番叟が描かれているもの。
三番叟の方は仁清の鴨香合に竹網の茶筅筒がステキだった。
次は何がいつからかかるのかなぁ。
★藤田美術館バックナンバーリスト
2015年秋季展 『花 Hana 華』→こちら
2015夏 『藤田美術館コレクション―東洋美術の至宝―』(サントリー美術館) →こちら
2015年春季展『組む楽しみ』→こちら
2014年秋季展『開館60周年特別展』→こちら
2014年春季展『開館60周年 特別展 ~序章~』→こちら
2013年秋季展『美しき日本』→こちら
2013年春季展『茶道具いろは』→こちら
2012年秋季展『藤田傳三郎の想い』→こちら
2012年春季展『藤田傳三郎の軌跡』→こちら
2011年秋季展『コレクター藤田傳三郎の審美眼』→こちら
2011年春季展『季節を愉しむⅡ 春~初秋の美術』→こちら
2010年秋季展『季節を愉しむⅠ 秋~新春の美術』→こちら
2010年春季展『歴史を彩る 教科書に載る名品』→こちら
2009年秋季展『日本のやきもの・アジアのやきもの』→こちら
2009年春季展『日本のやきもの ~桃山・江戸の茶陶~』→こちら
2008年秋季展『渡来した陶磁器~茶人が愛した器たち~』→こちら
2008年春季展『茶 茶人と道具』→こちら
2007年秋季展『東洋の美に出逢う』→こちら
『絵ものがたり』 ※6月12日(日)まで
訪れた時、たまたま国宝『玄奘三蔵絵』ワンポイント解説をやっていた。
孫悟空に出てくる三蔵法師のモデルといわれる玄奘三蔵の生涯を描いた全12巻の絵巻物。
この美術館で何度か拝見したことはあるけれど、いつも一場面だけだから見る物は常に「お初」もの。
今回の場面は第11巻の第6段。
インドより持ち帰った『大般若経』600巻の漢語への翻訳が完成し、その供養をしているところ。
お堂の真ん中に巻物を10巻ずつぐらいにまとめて黒いもので束ねた海苔巻きのようなものが積まれていて、
神々しい光を四方八方に放っている。
控えている僧侶は「ありがたや~」という感じにひれ伏し、
「あの光はなんだ?」とばかりに外部から一般人も駆け寄ってくる。
その一方で法要の後で光られる宴に向けて、スタッフたちは黙々と準備に勤しんでいる~
光の表現がちゃんと遠近法で描かれていて、そこがスゴいなと感心。
鎌倉時代に表現法があったのね。
あと、一代記ということもあり、どの場面でも主役(玄奘三蔵)は同じ衣装を着ているんだと。
とにかく、保存状態がとてもよい。
絵の具も色鮮やかだし。
もともと、興福寺の塔頭・大乗院が所蔵していたものだそうで、
門主が交代する時にのみ、新門主に閲覧が許されたという、スペシャルな絵巻。
都の帝さえ、貸してもらうのは結構大ごとだったそうな。
明治の廃仏毀釈の波も乗り越え、わりと早い時期に藤田家に入ったとのこと。
藤田伝三郎の審美眼に改めて感動した。
隣には奈良時代に写された『般若心経』。これも国宝。
薬師寺に伝わったものの一部。(藤田美術館のほか、奈良博にもある)
玄奘三蔵がインドから持ち帰って漢訳した600巻のお経を
日本からの留学僧が写して遣唐使船で持ち帰り、それをさらに日本人が写経し。
そうやって現代に伝えられたんだなぁ。。。と二つの展示物を見比べながらしみじみした。
そのほかの印象に残ったもの
・鳥獣戯画の一部を表層したもの。
甲巻。 兎と猿と蛙が遊んでいる。
時代の表記がないから、高山寺にあるものの一部だったのか、高山寺のものを写したものなのかはわからない。
ただ、私の記憶にある甲巻の場面にはないので、「もしかして失われた場面だったらいいなぁ」と思った。
・西行物語図
江戸時代に描かれたものだけど、やっぱりむさいけど雅なお坊さん。
・歴史図故事人物図
江戸時代に描かれたもので冊子体。 絵は「伝・渡辺崋山筆」とある。
展示されていた場面が利休さんの亡霊と秀吉公。
隣に書かれている逸話によると、
秀吉公が炉の炭を直していると、利休さんの亡霊が出てきて口から火を吐いた~
(文章は明治時代になってから付け足されたそうで)
利休さん亡霊のおどろおどろした表情がすごい。
茶道具は茶箱一式が2揃え。
いずれも立方体に近くて、布袋が描かれているものと三番叟が描かれているもの。
三番叟の方は仁清の鴨香合に竹網の茶筅筒がステキだった。
次は何がいつからかかるのかなぁ。
★藤田美術館バックナンバーリスト
2015年秋季展 『花 Hana 華』→こちら
2015夏 『藤田美術館コレクション―東洋美術の至宝―』(サントリー美術館) →こちら
2015年春季展『組む楽しみ』→こちら
2014年秋季展『開館60周年特別展』→こちら
2014年春季展『開館60周年 特別展 ~序章~』→こちら
2013年秋季展『美しき日本』→こちら
2013年春季展『茶道具いろは』→こちら
2012年秋季展『藤田傳三郎の想い』→こちら
2012年春季展『藤田傳三郎の軌跡』→こちら
2011年秋季展『コレクター藤田傳三郎の審美眼』→こちら
2011年春季展『季節を愉しむⅡ 春~初秋の美術』→こちら
2010年秋季展『季節を愉しむⅠ 秋~新春の美術』→こちら
2010年春季展『歴史を彩る 教科書に載る名品』→こちら
2009年秋季展『日本のやきもの・アジアのやきもの』→こちら
2009年春季展『日本のやきもの ~桃山・江戸の茶陶~』→こちら
2008年秋季展『渡来した陶磁器~茶人が愛した器たち~』→こちら
2008年春季展『茶 茶人と道具』→こちら
2007年秋季展『東洋の美に出逢う』→こちら