Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

藤田美術館で「追悼」茶会を理解した?

2012年03月30日 00時00分28秒 | 美術館・博物館etc.
春季展『藤田傳三郎の軌跡』 藤田美術館 サイト
 6月17日(日)まで

今年は傳三郎氏の生誕170年であり没後100年ということで、春夏とも回顧する出し物。
ちなみに、氏が亡くなった1912年は明治でいえば45年。明治天皇崩御の年でもある。

今回は没後12年に催された十三回忌追悼茶会を“再現”する内容。
大正13年の4月10日と11日の2日間、約600人を招いて催したのだそうな。
席主(主催者)は氏の3人の息子と友人だった財界人ら(朝日新聞の創業者の村山龍平氏もその一人)。
もっとも、実際に席を担当したのは三千家の各家元や藪内流を含む各流派の宗匠方とのこと。

なんと、第1席から第12席までの豪華版。
一瞬、「わースゴイ」と思ったけれど、リストをよくよく見ると第3席、第4席、第11席は展観席。
第10席は煎茶席で第12席は会場が「食堂」とあるので、点心席だろう。

会場は藤田家の本邸(長男の平太郎邸)、東邸(次男の徳次郎邸)、西邸(三男の彦三郎邸)。
現在はそれぞれ藤田邸跡公園と藤田美術館、太閤園、大阪市公館になっている。

さて、これほど盛大な茶会だったにもかかわらず、会記は残っていないのだそうな。(戦災で焼けた?)
ただ、当時の新聞記事や高橋箒庵の『大正茶道記』などの資料から一部が垣間見ることができるそうで。
それを基に今回の展示も構成されている。

ということで、まず2階の展示室から。
第5席(本邸内の時雨亭)の薄茶席。席主は藤田江雪(平太郎)氏。

本阿弥光甫筆の蓮と藤と楓の絵画が3服ドーンと掛けられている豪華さ。
(追悼なのに華やか?)
青磁を無理矢理(?)、いえ見立てで皆具にしているのも贅沢。
建水は青磁といかなったようで塗曲だけど、でも南宋時代のもので、銘が「釈迦之友」。
長次郎の赤楽茶碗「恩城寺」という取り合わせも、仏教的テイストあり。
(しかし、この赤楽、長次郎にしては華やかすぎないか? ホンモノか???と思ってしまった

奥には国宝の大般若経。第3席(展観席-西邸の大広間)に置かれたそうで。

第10席の煎茶席(東邸 残月、席主は藤田玄路<徳次郎>氏)のお道具も。
祥瑞の大きな鉢、南蛮砂張の建水。

第6席(本邸 廬庵 濃茶席 席主:江雪)と第9席(東邸 大炉席 薄茶席 席主:玄路)が入り交じり
伝・長次郎の焙烙(灰器)とか与次郎の尻張釜、銅製の蟹蓋置といった“お馴染み”さん多し。
唐物肩衝茶入・銘「廬庵」は何度目かの拝見だけど、名前は茶室の名称だったのねぇ。

見た時はあまりピンとこなかったけど、紹鴎作の象牙溜塗茶杓って。
どーやって作ったのかなぁ。
竹のように変色した色合いが時代を感じさせる。
古井戸茶碗「老僧」は秀吉から織部、そして水戸徳川家に伝わったのか斉昭公の箱書きあり。

どうでもいいけど、「4月に大炉って、アリだったのねぇ」と少しホッとする?
(来月に大炉の茶事に参加するので)

後半は仏画を始めとする仏教関係のもの多し。
いずれも展観席に展示されたもの。
ちなみに、昨夏に奈良国立博物館で開催された『天竺へ』に出品されたみたい。
藤田美術館の仏教美術のコレクション、おそるべし

一見、派手な大寄せ茶会に見せて、本邸・東邸・西邸それぞれに展観席を設けて
仏教美術をしっかり見せて、故人追悼の本来の目的をおさえている~。
というところがスゴイなと感心した。

美術館を出ると、周辺の風景が気になった。
もと、藤田本邸の門?

今の美術館の入り口は昔は裏庭だったのだろうか。

東邸宅は現在は太閤園になっている?「淀川邸」は入るのも敷居が高そうだ。

大阪市公館が昔の西邸になるのかなぁ。写真は撮らなかったけど、洋館だった。

「夏草やつわものどもが夢の跡~」と呟いてしまった。

※次回展覧会は「藤田傳三郎の想い」 9月8日(土)~12月9日(日)

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3 コメント

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象牙の茶杓 (ポビーシード)
2012-04-02 00:36:22
解説で聞きましたが、象牙の茶杓は以外と削り易いそうです。
太閤園にある羽衣の間は、能舞台になるそうです。
畳を剥がし下の板も剥がす。音が出るように瓶を埋けてあり、一年に一回は使用されるみたいです。
藤田邸公園の道路添いの桜が咲いていました。
何分先なのかな
思わず写真を撮りました。京都もまだだったのに。
家に帰ってきたら、旅行中に桜が咲いていた。
土曜日は、変な天気でしたが、移動中は傘を広げなくて済みました。
藤田美術館の中では、どしゃ降り、JRの乗り換えの時強風が吹いてバランス崩しそうになるし、電車に乗れば霰が降りました。
四月は、東京方面に行きたい。
返信する
なるほど (Akatsuki)
2012-04-02 13:34:37
ボビーシードさん
コメント読んでいて思い出したのですが、
10年近く前に象牙を板状にしたものを削って、楊枝を作りました。
確かに、竹よりも削りやすかったです。
ヤスリで削ったかなぁ。
20人で一斉に黙々と1~2時間削ってたので、その部屋が動物園のような、野生の臭いが蔓延しました。
4月ですか。
一覧表に紹介してありますが、月後半(4/14以降)にすれば3つ(畠山、泉屋、出光)と3つ行けます。
あと、トーハクはボストン美術館展ですし、本館で魚屋茶碗「さわらび」と志野茶碗「橋姫」が出ています。
返信する
なるほど (ポビーシード)
2012-04-02 22:15:31
象牙の茶杓作られたことがあったのですね。凄い
コメント控えていましたが、いつもブログ拝見させていただいてます。
お返事ありがとうございます。
色々参考にさせて戴いています。
自分が気付かなかった事とかヒントになります。
東京行けたら、また、コメントしますね。
返信する

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