フランス人ごっこ

最近「フランス人は１０着しか服を持たない」という本を読んだ。
本によると、フランス人は毎日を特別な日のように生き
暮らしの中の小さな楽しみに大きな喜びを見出す「暮らしの芸術の達人」だそうだ。

例えば・・・
間食はせず、食事を存分に楽しむだとか・・・
（間食、「～ながら食べ」はシックじゃない！）
お気に入りの物を少しだけ持ち、大切に使うだとか・・・
（物質主義に踊らされるのはシックじゃない！）
家族の食事にも、来客用の食器を使うとか・・・
（もったいないから使わないはシックじゃない！）

「これだわ！！」と影響を受けたミーハーな私は、
その日以来「フランス人ごっこ」をしている。
以下、「プロフェッショナル仕事の流儀」のナレーター
橋本さとしさんの声で再生してください。

八平の朝は、１杯の紅茶から始まる。
来客用のティーカップに熱い紅茶をいれ
オレンジジンジャーの香りを胸いっぱい吸い込む。
ヨーグルトに手作りの苺ジャムとフレグラをのせ
じっくり味わう。
冷たいヨーグルトが自分の喉、食道を通っていくのを感じる。
そうすると、今朝も生きていたこと、
食事をとれることに感謝の気持ちが自然に沸き上がり
涙があふれてくるのだ。
ヨーグルトを食べ終わった後
ちょうどいい温度になった紅茶を楽しむ。
八平は猫舌なのだ。
「シルブプレ（訳：お願いします）オー、シモブクレ（訳：私の顔、下膨れ）」
とびきりのジョークに身を包み
静まりかえった家の中、１人クスクス笑う。

八平に聞いてみた。
プロフェッショナルとは・・・？
「クスリと笑えることを探し続けること
　少しばかりの勇気を出して、人に伝えること
　ウケてもＯＫ、ウケなくてもＯＫの気持ちを持つこと
それがプロフェッショナルだと思います。（キリッ）」
～世界中にあふれているため息と
　君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ
あと一歩だけ前に進もう～ジャッジャーン
（スガシカオさんの歌う名曲「Ｐｒｏｇｒｅｓｓ」をバックに流すと、
どんな迷言も名言に聞こえるという法則があるのだ。お試しあれ。）

友人に伝えると
「１人で泣いたり笑ったり気持ち悪っ。情緒不安定？」
と言われた。
「ノンノン、マドモアゼル。
この磨き上げられた感性のすばらしさが分からないなんてシックじゃないわ。
　どうやら私は友達の選択を間違えたらしい。ボンジュール（訳：こんにちは）。」
と言うと
「私も同感。アミーゴ（訳：友達）の選択を間違えちゃったみ・た・い。」
と言われた。
やだ、私たちってば両思い。

馬鹿馬鹿しい、気持ち悪いと思われるかもしれない。
しかし、フランス人ごっこを始めてからというもの
朝、とても穏やかで楽しい気持ちで
家族を迎えられるようになった。
以前より、子供の不機嫌に巻き込まれないようになった。
自分を大切にするということは
人を大切にするということにつながっていくように思う。

確かに「フランス人ごっこ」をしている私は、気持ち悪いかもしれない。
でも、とっても楽しい。

気持ち悪いけど、楽しい
気持ち悪くないけど、楽しくない。
Wｈａｔ　ｄｏ　ｙｏｕ　ｄｏ？（訳：さあ、あなたはどうする？）


うっかり八平