私がまだ、いわゆるピチピチの女子大生だったある夏の夜、
私は、楽しく飲んだ後、自転車で心地よい風を感じながら、家路に向かっていた。
(注 自転車でも飲酒運転になります。)
岡山には「生きててよかったスポット」という私のお気に入りの場所がある。
それは、街から家に帰宅する途中にある橋だ。
調子のいい時に、その橋の上から、ゆったりと流れる川、四季折々うつりゆく木々、
一時ごとに新たに描かれる空を見ると「地球って何て美しいんだ!!
生きててよかった。万歳!!」と感動する。
その日も、絶好調だった私は、橋の上で自転車をとめ、
暗闇の中に浮き上がる白い雲を見て、
「地球大好き!生まれてきてよかったなあ。お父さ~ん、おかあさ~ん、ありがとう~。
みんな~、ありがとう~」
と心の中で叫び、感動の涙を流していた。
すると、突然、後ろから、「大丈夫ですか?」という声が・・・。
振り返ると、見知らぬ男性が立っていた。
どうやら、(橋の上)+(一人涙する女性)=(身投げ)という方程式が
男性の中で生じたらしい。
私は生の喜びに浸っていたというのに。
「まぎらわしくてすみません。生きてることに感動してたんです。ありがとうございます。」
と男性に事情を説明すると、男性は笑って去っていった。
見知らぬ身投げをするかもしれない女性に声をかけるのは、勇気がいったことだろう。
私がもし本当に自殺を考えてたとしたら、もしかすると、
あの名も知らない男性の一言で、救われてたかもしれない。
物騒な事件が多い現代、つい他人に警戒心を抱いてしまいがちな私だけど、
人と関わること、つながること、恐れずにしていきたいもんだなと思った。
そして、以前小トラッチさんが7月の雑感で書いてたように、
私も誰かの輝きを照らす照明でありたいと思った。
うっかり八平