世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●いったい目的は何なンだ! 国民をいたぶり続ける安倍自民(5)

2018年01月23日 | 日記
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「働き方改革」の不都合な真実
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●いったい目的は何なンだ! 国民をいたぶり続ける安倍自民(5)

 安倍の昨日の施政方針演説では、≪ 働き方改革関連法案は今国会の最重要法案の一つ。首相は演説で子育てや介護を挙げて「柔軟な労働制度へと抜本的に改革する」と強調。「働き方改革は社会政策にとどまらず、成長戦略そのものだ」とし「ワーク・ライフ・バランスを確保することで、誰もが能力を思う存分発揮すれば、少子高齢化も克服できる」などと主張した。≫(日経新聞)わけだが、この人は、自分が出した法案の趣旨を十分に理解しているのかどうか、極めて疑わしい。でなければ、あれ程までに、国民のためと信じた言いぶりが出来る筈がない。安倍総理自身が、既に“メ●ラ蛇に怖じず”なのだろう。

≪ 働き方改革、法案要綱を諮問=19年4月施行目指す-厚労省
 厚生労働省は8日、残業時間の上限規制や非正規労働者の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」の導入などを柱とする「働き方改革推進法」の法案要綱を、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に諮問した。2019年4月の施行を目指す。今月下旬召集の臨時国会に提出するが、野党や連合が「残業代ゼロ」法案と批判してきた新制度も取り込んでおり、国会審議は難航が必至だ。
 働き方改革推進法案は、労働基準法やパートタイム労働法など計8本の法律を一括改正する内容。働き方改革の理念を掲げるため、雇用対策法を衣替えし基本法として据える。
 労基法改正案には、残業上限規制に加え、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」や裁量労働制の対象拡大なども盛り込んだ。高プロについては、「年間104日以上の休日確保の義務化」など連合から要請された修正内容をすべて反映した。
 高プロを柱とする労基法改正案は15年に国会に提出されたものの、野党から「残業代ゼロ」法案と批判され、審議入りできなかった。このため、法案はいったん取り下げた上で修正し、働き方改革推進法に組み入れることで成立を目指す。
 ≫(時事通信)


 安倍政権というやつは、どうも一括法案方式が好きなようである。一括りで、働き方改革関連法案と言われても、何がどうなる?何をどうしよう?具体的個々の改革の実像が浮かんでこない。リタイアしたが、国の制度変更に関して国民は選択権を持つわけであるし、筆者のようなフリーの人間でも、国民として関心は深い。しかし、このような国会審議運営方法は、民主主義の熟議を根本的に破壊しようと試みているようだ。

 朝日新聞の記事によると……
 ■残業規制見直しや非正社員の待遇(たいぐう)改善の法案が出るよ
 アウルさん 「働き方改革」ってよく聞くね。法律も変わるの?
 A 政府は3月にまとめた「働き方改革実行計画」に基づき、関係する8本の法律の改正案を秋の臨時国会に出す予定だよ。8本をひとまとめにして「働き方改革関連法案」として審議(しんぎ)してもらう考えだ。大きな柱は労働時間規制の見直しと非正社員の待遇(たいぐう)改善だね。
 ア 労働時間の規制をどう見直すの?
 A 労働時間などの基準を定める労働基準法(労基法)を改正し、事実上上限がない残業時間に強制力がある上限規制を設けることを目指している。労基法ができてから70年の歴史で、初めてのことなんだ。
 ア 「残業代ゼロ」というのも聞くね。
 A これも労基法の改正案の一部に含(ふく)まれるよ。専門職で年収が高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を導入するための改正だ。対象の人は、残業や深夜・休日労働をしても割増賃金が払(はら)われなくなる。
 ア 残業の規制を強める改正と緩(ゆる)める改正のどっちもあるね。
 A そうだね。さらに政府は今回、労基法を改正して裁量労働制の対象業務を広げたいとも考えている。これも労働時間の規制を緩める改正といえるね。
 ア 裁量労働制って?
 A 実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定められた労働時間に基づいて残業代込(こ)みの賃金を払う制度だ。その時間以上働いても追加の残業代は出ない。仕事の進め方や時間配分をある程度自分で決められる働き手に適用できるよ。
 ア ほかの改正は?
 A 非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」の実現に向けた改正だね。関係するパートタイム労働法や労働契約(けいやく)法、労働者派遣(はけん)法の改正案も関連法案に含まれるよ。  
≫(朝日新聞:千葉卓朗)

 朝日はこの記事では厚労省のご説明に沿ったかたちでまとめているようだ。しかし、雇う側、雇われる側が平等な力関係の場合は、この一括法案に瑕疵は少ないのだろう。しかし、資本家側が常に有利なポジションで一括法案が運営されていく経過において、法律が労働者の保護という方向とは異なる、強制や支配、搾取の方向に流れていく可能性は非常に高い。このような問題点の多い労働法案を、一括で審議しようとする政府の腹は、痛い腹だらけなのだろう。野党に突ける時間を限りなくゼロにしたい魂胆が見え見えだ。

 働き方と、いかにも労働者側の裁量があるように見せて、実は働かせ改革になっている。多くの成功事例はあるだろうが、派遣労働やパート労働、下請け企業にしわ寄せが行く話になっている。仕事の絶対量を減らすと云う視点なしに、労働環境だけ、ポジション替えしても意味はない。議論の流れは正社員、大手企業を中心としたもので、世間の多くの労働者の視点に立っていない。ワーク・ライフ・バランスなどの美辞麗句を創る電通広告宣伝用語が胡散臭い。

 これら法案の中身を吟味する以前に、良いこと尽くめのような甘いフレーズが並ぶ。「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方」「労働者の自己実現の支援」「自由な働き方」これらの言葉には、正常な大人であれば、マルチ商法に誘い込む甘言、怪しい新興宗教への勧誘などが、さっと頭に浮かぶのではないのか。しかし、20代よりも若い世代は、素朴に受けとめてしまいかねないのだろう。この辺が、安倍悪徳政権が若者世代の支持を集めている謎がありそうだ。

 「柔軟な労働制度へと抜本的に改革する」「働き方改革は社会政策にとどまらず、成長戦略そのものだ」「ワーク・ライフ・バランスを確保することで、誰もが能力を思う存分発揮できる」以上のように安倍は主張するが、下からの要求ではなく、上からのお仕着せが明白な労働法改正である。であるならば、あきらかに経済界にとって「働かせたい法案」という根本的意味合いがあるのはあきらかだ。労働者にとってメリットがある法案を経済界重視の安倍政権が法案化することは、その時点で悪法である。一括などは、野党の視点の分散化を狙ったとしか思えない。

 労働者にとって都合の悪い、反発を招きそうな法案を隠すために一括に拘るわけだが、腐ったリンゴを混ぜ込んだリンゴ箱ということだで、十本もの法案を一括審議で済ませた安保法とやり口は同じだ。性質の異なる法案を一括審議するということは、審議しないのに似ている。結果的に、弱者にしわ寄せがいき、サービス残業がなくなり、自宅残業が増える。大企業の業務が減り、中小零細の業務が倍増し、社会そのものが疲弊してゆくことは、容易に想像できる・なんてこった!安倍晋三!

 最後に日本の賃金の酷さを報じている、なぜか日経の記事を参考掲載しておくが、結局は、働き方改革をすれば給料が上がるよ~~、と言いたげだ(笑)。語るに落ちたとは、このような記事を言うが、日本の賃金が最低という事実は語っている部分だけは事実だ。それ以外は、絵に描いた餅の部分に過ぎない。


≪ 日本の賃金、世界に見劣り 国際競争力を左右(賃金再考)
 世界の賃上げに日本が取り残されている。大企業の賃上げ率は4年連続で2%を超えるが、主要7カ国で日本だけが2000年の賃金水準を下回る。多くの人が賃上げの実感に乏しく、このままではデフレ脱却の足取りも弱くなる。年功序列や終身雇用など「日本株式会社」の慣行にとらわれない賃金のあり方が求められている。
 ロボットが接客し、荷物の搬送や清掃も担う――。エイチ・アイ・エス(HIS)がグループで展開する「変なホテル」は、同規模のホテルの4分の1にあたる7人で運営する。「世界的に低い生産性を高める」(沢田秀雄会長兼社長)ことで、類似施設の2倍以上の利益率が可能となった。
 人手不足が続くなか、省人化投資による生産性向上の取り組みが相次いでいる。経済学のセオリーでは、従業員一人ひとりの生産性が上がれば、企業の収益力が高まり、対価としての賃金も上がる。だが、この生産性と賃上げの関係に異変が生じている。


 


 日銀によると、この5年で日本の労働生産性は9%伸びた一方で、物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率は2%にとどまる。
 世界を見渡すと、日本の賃金が取り残されている。経済協力開発機構(OECD)の調べでは物価の影響を除いた実質賃金(各国通貨ベース)は日、米、独など主要7カ国のうち、日本だけが00年よりも低い水準だ。過去20年、デフレが続くなか、多くの日本企業が「人件費が増えると国際競争力が落ちる」(素材大手首脳)と考え、賃上げを渋ってきた。



 


 しかし、人手不足と経済のデジタル化が構図を変えた。ロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長は「生産性向上の成果を賃金で還元できるかどうかが企業の生き残りを左右する」と言い切る。製造業も高い品質の製品を安価に作るコスト競争力ではなく、新しいビジネスモデルを競う段階にきている。賃金はコストではなく、イノベーション(革新)への投資になりつつある。
 世界では人材獲得競争が広がる。人事コンサルティング大手の米マーサーによると、日本企業の給与・報酬は部長・取締役の幹部クラスでアジア各国に抜かれる傾向にある。アジア企業は若手社員でも、日本よりも高い賃金を払い始めた。
 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は17年、日本国内の新卒採用で初任給40万円を提示した。ソニーなど日本の電機大手の2倍近い水準だが、「世界的には珍しくはない。優秀な人を採るためのグローバルスタンダード」(ファーウェイの日本法人)。
 日本企業は発想の転換がいる。働き方改革に伴って過剰な残業を見直す企業が増えたが、残業時間が減れば残業代も減る。短い時間で効率よく働いても、時間で測る従来型の賃金体系では働く人に成果を還元できない。
 高いスキルを持つ人には、成果に応じて高い賃金を払う仕組みが必要だ。優秀な人材には高い賃金で報いなければ、人材の獲得競争で海外企業に後れをとる。「日本の労使は仕事のスキルではなく、雇用を保証することを重視してきた。これまでの仕組みを変える必要がある」(富士通総研の早川英男エグゼクティブ・フェロー)
 政府は労働規制の緩和などで企業の背中を押さなければならない。時間ではなく仕事の成果で賃金を払う「脱時間給制度」の整備は関連法案の審議が先延ばしにされてきたが、22日召集の通常国会で議論される見通しだ。
 持続的な賃上げにつなげるには、新たなサービスで利益を生み出すことも大切だ。ソフトウエアロボットによる資料作成や人工知能(AI)を使った接客、製造現場の無人化……。仕事の量を減らすだけでは売り上げは伸びず、上がった生産性を従業員に還元する好循環の勢いがつかない。
 ヤマトホールディングスは主婦や高齢者向けの買い物代行サービスの開発に取り組んでいる。値上げや外部への配送委託の削減で収益の改善に取り組んでいるが、それだけでは成長できない。新しいビジネスの種をまき、将来の従業員に報いようとする。
 上場企業は18年3月期に2年連続の過去最高益を見込む。動き始めた賃上げが長続きするかどうか。3%の賃上げがテーマとなる18年の春季労使交渉で、企業と労働組合がどれだけ発想を転換できるかが、日本の国際競争力を左右する。 ≫(日本経済新聞)


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