阿部ブログ

日々思うこと

神田明神での表千家家元による献茶式 と 金剛流による「明神能 幽玄の花」

2013年05月13日 | 日記
明日、5月14日11時から、表千家家元による献茶式が行われる。

神田明神の氏子である三井越後屋は、代々、表千家のパトロンであり、家元にもし何かあった場合、そして後継者がまだ幼い場合には、三井総領家の当主が一時的に表千家の相伝を引き継いで、後生に歴代の茶具や秘伝を確実に伝承する。そう、三井家の当主は表千家の「皆伝」を持つのだ。「皆伝」は相伝の中でも最も位の高いもので、家元以外には三井家の当主だけが持つ。
三井家と深い関係にある表千家の家元自らが、神田明神でお点前を献ずるのは、理解できるだろう。過去ブログ「NHK特集 京都・表千家 ~わび茶の世界~

明日は、例年通り濃茶と薄茶がたてられ、御神前に奉納される。この表千家による「献茶式」は昭和三七年に始まっているが、家元による袱紗さばきを直接感じ観る事が出来る貴重な神前式だし、明日の式に使われる茶器・茶杓にも注目だ。

夜には「明神能 幽玄の花」が、金剛流 遠藤勝實氏により「殺生石」が演じられる。遠藤氏は同じ山形県の出身で、石川島播磨に入社されている。
金剛流は能楽シテ方五流派(観世流、宝生流、金春流、金剛流、喜多流)の一つで、古くは奈良の法隆寺に奉仕した猿楽座の坂戸座を源流とすると言う。と言う事は578年創業の世界一古い会社「金剛組」に匹敵する歴史を有する流派だ。金剛流の芸風は「舞金剛(まいこんごう)」といわれ優美さと豪快さを併せ持つ独特のものだ。金剛流能楽堂は、京都にあり、宗家も京都だ。観世流、宝生流、金春流、喜多流家の宗家は東京だ。

明日の演目は、金剛流家元・金剛永謹による「素謡 神歌」。狂言は、和泉流・野村万作による「蝸牛」。和泉流の狂言は、今年の靖国神社の夜桜能についで2度目だ。過去ブログ→「第21回 靖国神社「奉納夜桜能」を鑑賞

素謡(すうたい)神歌(かみうた)は、古来から天下泰平、国家安穏を祈念する謡であり、神前による芸目としては最良だ。将に神歌。
しかし、明日は、京阪奈(けいはんな)学術都市のNTTとNICT視察で終日出張で、家元の献茶式も能も観れないのが残念だ。来年は是非とも鑑賞したいものだ。

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