阿部ブログ

日々思うこと

北朝鮮の核実験場閉鎖と原爆アセットの海外移送

2018年04月30日 | 雑感
北朝鮮の金正恩さんは、核実験や長距離弾頭ミサイル実験を中止し、マンタップ山のプンゲリ核実験場を閉鎖すると報道されている。
プンゲリの核実験場は、既に、核爆発の影響で大規模に崩落し、地下構造物も破壊され、使用不能に陥っている。閉鎖するとは言っても、使おうにも使えないのだから閉鎖云々には意味がない。
2017年9月3日の核実験は、朝鮮半島では珍しいM6.3の地震を引き起こしている。

それと既に北朝鮮国境に人民解放軍の装甲部部隊が展開しており、今後は、生物兵器&化学兵器部隊の追加展開が進む。
これはロシア軍も一緒で、自動化狙撃師団+増強部隊が露朝国境に展開完了しているが、追加部隊で化学&生物兵器部隊が増強されている。
北朝鮮も陸上部隊を中朝国境に展開しており、スカッド部隊を国境近傍に展開。
友好ムードが軍事的な緊張を解くには至っていない。

問題なのは、原爆アセットを海外に移送していることだ。中朝国境を超えての陸送は監視が厳しく難しい為、朝露国境を経る陸送と海中移送となっている。
北朝鮮の原爆アセットには技術者と核データなども含まれる。
受入国は、イラン、パキスタン、それとシリアと云いたいところだが、意外だが中東の某国である。
北朝鮮は、非核化するかもしれないが、核が拡散するのだな。
核兵器は、使える&使えている兵器であり、第三の起爆方法による小型化が進んでいる。これは爆発の動画などを観ると一目瞭然。

シリア第四師団長にマーヘル陸軍少将を任命

2018年04月26日 | 雑感
バッシャール・アサド大統領が、末っ子の弟Maher(マーヘル)陸軍少将を、シリア陸軍・第4師団長に任命した。
第4師団は、長らく叔父のRifaat Asad が師団長を努めていたエリート部隊で、ダマスカスなど首都の防衛を任務としており、民衆弾圧や、師団隷下155旅団による毒ガス攻撃などナチスの特別行動部隊に似た活動を行っている部隊である。
米英仏によるシリア攻撃が行われたが、同師団も標的とされ攻撃された。また今年2月には、第4師団の化学部隊指揮官アフマド・ムハンマド・フサイヌー少将が死亡している。

台湾の国立忠山科学技術研究院がジャイロ取得に動く

2018年04月18日 | 雑感
台湾は、中国からの強襲侵攻を想定した実射を伴う演習を実施する。この演習は定例だが、中国の演習は不定期で台湾へ圧力を加え緊張をもたらすのが目的だ。中国人民解放軍空軍は4月にH-6K、Su-30、J-11などが宮古海峡から太平洋に出て、台湾周辺を一周した。またバシー海峡で空母・遼寧が戦闘演習を行っている。
台湾周辺での中国の軍事演習は珍しくなく、定常的に台湾一周する偵察行為は日常茶飯事である。

そんな中、国立忠山科学技術研究院(NCSIST:National Chung-Shan Institute of Science and Technology)が、レーザー式ジャイロの取得を目指している。雄風 IIE (HF-2E) ミサイルに実装するのだろうが、台湾が調達希望は600基で更に増える可能性がある。台湾はF-35の取得を目指すなど対中脅威に対処する為、自主防衛能力を高める努力を行っている。高く評価したい。
対米依存100%の日本も見習うべき。安易な路線を踏襲してきた防衛省・自衛隊の人心を含め一新が必要。

中国政府が原子力政策を抜本的に変更! ~個体核燃料から液体核燃料を用いた溶融塩炉にシフト~

2018年04月17日 | 雑感

先週、第四世代原子炉(Generation IV)の会議が開催された。その会議の席上、中国で液体核燃料を用いた溶融塩炉の開発を進める上海応用物理研究所のTMSR研究センター(Thorium Molten Salt Reactor)の研究者が、2020年までに本物の液体核燃料による溶融塩炉での臨界を目指すと発言し出席者に衝撃を与えた。これは中国共産党と政府の至上命令であり、日本留学組を含めた彼らにとっては、研究者人生を掛けての取組みとなる。中国は、現在、2MWthの溶融塩試験炉を今年6月中に稼働させ、10MWthの実証炉を経て、1Gweの商業炉を開発する計画であるが、今後開発スピードを速めることとなる。この動きは、中国の原子力政策が大きく変更されたことを意味しており、ロシアや米国から導入した個体核燃料による原子炉から、溶融塩炉や高温ガス炉など固有安全性を有する第四世代炉に大きくシフトすることとなる。特に、中国国内では水問題が深刻で、福島原発事故後は、沿海部での原子炉建設しか認めてこなかった経緯がある。溶融塩炉は臨界に水は必要とせず、発電の為の水以外は、基本必要がない。重要なのは今後の経済発展は内陸部であり、やはり安定した電力が発展には欠かせない。中国政府の電気自動車への取組みの背景には、溶融塩炉など小型原子炉を内陸部に分散配置し、送電網を最小限投資で、配電網を中心とした分散型電力システムを指向すると考える向きもある。モビリティの電動化の最大の課題は、その電力をどうするかであり、中国は原子力に解を見つけたと言うことが言えるかもしれない。今後、溶融塩炉は、ウィグル自治区で開発が進められる。

中国が溶融塩炉に注目するのは、大規模な原発事故に対応できなかった日本の状況を研究し、中国自身も日本同様に原子炉事故には、到底対処できないだろうとの冷徹な判断がある。従来の軽水炉は、一次系が高圧で電源喪失し除熱が出来なくなると、たちどころに炉心が溶融し、また水素ガスを発生させ爆発するリスクを回避するのは困難だ。この認識を基に、中国は、1気圧、即ち常圧で動く溶融塩炉に注目し、燃料は最初から溶融状態にあり、水が無いので水素ガス発生無い。しかも事故時には炉底部のドレインタンクに燃料塩を落下させ、自然にガラス化し、再臨界もないと言う特性を評価。

日本国内では、激しい原発アレルギーがあるが、世界は状況が異なる。即ちエネルギーセキュリティと地球環境の両方を担保する小型原子炉の開発が進められており、原子力のポテンシャルが再認識されている。原子力のRebrandである。特に溶融塩炉は、中国を始め欧米各国のベンチャーでも開発が行なわれており、米Flibe Energy、Transatomic Power、ThorCon、カナダTerrestrial Energy、英Moltex Energy、デンマークSeaborg Technologies, Copenhagen Atomicsなどがある。Terrestrial Energy社の創業者は、日本人の森さんで、彼女は現在、神戸在住である。

日本でも溶融塩炉に着目するようになっており、自由民主党の資源・エネルギー戦略調査会(会長:山本拓議員)の新型エネルギー検討委員会(委員長:原田義昭議員)において溶融塩炉の勉強会が開催され、元東京大学総長、元文部科学大臣の有馬先生などが熱弁を奮っている。また、Terrestrial Energy社のCTOが来日し、使用済み核燃料処理にも資する統合型溶融塩炉IMSR(Integral Molten Salt Reactor)に就いて説明を行った。減速材には黒鉛を使用し、最初のフェーズでは、燃料に低濃縮ウランを含有したフッ化物塩を入れ、熱交換器は炉容器内あると言う溶融塩熱中性子炉で、来年2019年後半には設計認証の審査申請を行う計画と言う。
自民党の調査会に於いては、使用済み核燃料の問題を解決しうる技術として溶融塩炉に注目しており、産業利用としては、水素製造などを行い水素社会に向けた今後20兆円規模の水素エネルギー投資にも関係する動きである。
現在、第五次エネルギー基本計画策定中であるが、2020年以降に策定される第六次エネルギー基本計画が、その後30年の日本のエネルギー政策を決める重要なもので、国内勢は、一斉に溶融塩炉や分散電力技術(デジタルグリッド)、Peer to Peerによる電力取引、ブロックチェーンなど分散台帳システム、それと水素社会に向けた大規模投資などの案件化に走り始めている。