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サマセットモームの短編「エドワード・バーナードの転落」を読むと、人生に岐路があるって感じるよ

2014-08-15 07:35:48 | 10代20代30代
1 中学校高校が一緒だった同級生と久しぶりに同窓会であった。

明朗快活で、隙だらけの男で、みんなから人気があった。

彼は痩せて、眼光が鋭い男になっていて驚いた。

刑事になっていた。

おれおれ詐欺が多すぎるとぼやいていた。

風の便りに若いころ警察を辞めたいと言っていたって聞いたことがあった。

頑張って出世したのかもしれないなあ

正義感とは程遠かった彼の陽気な性格が大きく

変わったような印象を受けた。

2サマセットモームの短編「エドワード・バーナードの転落」を思い出す。話はこうだ。

アメリカ・シカゴの大富豪御曹司であるエドワードとベイトマンは幼なじみの親友。二人は同時に美しすぎる令嬢イザベルに恋をした。

イザベルはエドワードを選択、婚約した。

ところが、エドワードの実家が破産し父親は拳銃自殺。再起をかけて一旗揚げようとエドワードはタヒチに渡航。

イザベルは健気に、「待つわ」といったのでした。それから二年後──。

 心配したベイトマンが、タヒチに上陸してみると、アルバイトのような簡単な仕事で細々と生計をたてている親友エドワードの姿を発見します。
ギャップのでかさに愕然となります。

さらにイザベルの叔父で、タヒチに追放された詐欺師のアーノルド・ジャクソンが実に生き生きとした魅力ある人物として描かれます。

タヒチの美しい自然とゆっくりとした時の流れと村人の幸せな会話とともに…

会社人間を辞めたエドワードは、タヒチの大自然に身をゆだね、魂を開放し、

人間らしいみのたけにあった人生を選びます。


エドワードはいう。


 「我々は,ある人と別の人の間に差異があると強調しすぎるのではないだろうか。

もしかすると,最善の人間だって罪人であり,最悪の人間だって善人であるかもしれない」

 「ねえ君,満足を味わえたというのは,それほど些細なことかい?

人は,全世界を手に入れても魂を失ったら,何にもならないじゃないか。

僕は自分の魂を手に入れたと思う」

  ハンターの生き方が幸福なのか、

  エドワードの生き方が幸福なのか。
 
(もちろん地上の楽園などどこにもない。ロバートハリスがバリ島で幸せに暮らすにも、ルールがあると書いているように。

余裕のあるお金と、本音で話せる友達と、夢中になれる趣味、この三つがないと旅人はバリで暮らすと精神がやられるとのこと。)


僕はエドワードのように生きれたらいいなあと思う。

でも現代社会は僕も含めハンターのような忙しく働く会社人間になってしまう。

お金・文明社会に生きて組織の中で競争を迫られ、変貌する。友人の刑事のように。


(警察は正義。だが、今も冤罪がちょいちょい生まれる。先進国でありながら、刑事の取調室は可視化もできないのはなぜかな?
 
もしかすると,最善の人間だって罪人であり,最悪の人間だって善人であるかもしれない」というエドワードの言葉が

深い。巨大組織の正義というカードの裏側には、個人の犠牲というカードと背中合わせかもな

★ひとは実は矛盾をはらんでいる…善と悪がひっくり返ることも。サマセットモームはそのことを突き付けてきます


◎ものの見方は幅のある方がいいね

ハンターのように働くけど、エドワードのように真善美を忘れないひとでいたいなあ。

アート体質でいたい。そうすれば人生は楽しいから。

オープンマインドでいたい。そうすれば幅のある人生になるから…






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