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骨董がじんせいを楽しくさせる   キセキの和家具と活版印刷用ハンコ

2018-01-02 12:25:22 | 人生
昨年、ある洋館が入札された。

マンション業者より高い値段をつけた県外の人がその洋館を落札し、ほっとした。

大正時代の洋館はドイツ様式でステンドグラスや建具が夢のように美しい…

購入者はその建物を生かすという。

文化が一つ守られた。



昨年、大正時代の洋椅子を手に入れた。

木材は貴重なミズナラ。

古いヨーロッパ調のデザインだが、

彫り込まれたデザインが丸い唐草文様であることから、和家具であることは隠せない。

椅子に貼ってある布はボロボロ。

張り替えるには

いくらかかるのかなあ…

知り合いの家具屋さんに相談したところ、

椅子の張り替え職人のお爺さんがひとりご存命とのこと。

「あの爺さんが死んだら、もうアンティーク家具を再生するのはむづかしいよ」

バネが死んでないので、張替えを依頼した。




深緑のビロードみたいな布をいぶし銀のピンでとめられて椅子は戻ってきた。

2つで3万円だった。


仕入れ+張替え費用は、新品を買うより安い。


大正~昭和初期にかけてのヨーロッパ風和家具は、絶対買いだと思う。

理由はこうだ。


●幕末から明治時代

1材質…ケヤキやヒノキ、クリなど、硬くて重い木材が中心。

2色の仕上げ…暗めの箪笥類が多い。

3デザイン…日本独特のデザインで重厚感や金具が素晴らしい。


●和家具の頂点=大正から昭和初期

1材質…ナラ(オーク)が使われることが多い。

2色…色味が明るい。明るい茶色のオークの家具であれば、
   現代の生活にあいやすく、テーブルや椅子、ソファなどの洋風家具ともマッチする。
   
3デザイン…大正期になると一気に「ヨーロッパテイスト」な家具が増え、装飾性に富んで華やかになります。
      和洋がベストにマッチし、世界で一番お洒落だと思う。唯一無二。

      ○大正昭和初期の和家具のデザインが素敵なのは、なぜだろう?
      きっとそのころは日本の職人さんたちが、明治にヨーロッパの家具のデザインに驚き、大正期にそれを見よう見まねで吸収し、消化し、日本の技術・風土にマッチするにっぽんオリジナルなものを編み出した時期ではないだろうか?ヨーロッパにはないデザインが面白い。一点一点丁寧に作っており、直せば100年以上楽に持つ。代々受け継いで行けるクオリティーだと思う。

      でも昭和に初期を過ぎると一点主義の丁寧なヨーロッパテイストな和家具は消える。きっと作り方のハウツーや工具が入ってきて、職人の工房から工場へ、少量生産から工場大量生産へと移るようになったのだろう。だから急激にデザインの面白さが失われたのだと思う。


●昭和家具

     昭和になるとアメリカの影響も受け始めて、材質はベニアなど様々なものが使われ、全体的にカワイイのが特徴。チープ。




   ○話題は変わるが、年賀状を送られてあわてて買いに行ったら、裏が真っ白なものしか残っていなくって焦った人もいるでしょう。私はそんなとき活版印刷時代のハンコを使って、送ります。日の丸のハンコとかかわいいのがありますよ。活版のハンコも今集めておくとよいと思います。そろそろ田舎の街の印刷屋さんも消えそうですから…

 イオンより強力な、通販のアマゾンが日本の田舎の小店舗を、骨董品に変えてゆくでしょう…僕たちは消えゆく家具やハンコを楽しみながら集められる過渡期に立っている。
 別の角度で見ると、人生を面白くする機会でもあります。2018はあなたの生活を骨董で豊かにしましょう…