Garbanzo blog

政治経済と音楽のブログ。
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全然coolじゃないクール・ジャパン室

2010-10-02 17:19:50 | 政治

来年度から日本文化売り込みの為のクール・ジャパン室が経済産業省に新設されるようだ。
共同通信でも海外にアニメや食など売り込め 経産省が新部署開設として取り上げられている。

作る前からくさすのもどうかとは思うのだが、一体どんな事をするのだろうか。
共同通信の記事では「海外で文化産業をビジネス展開できる人材の育成や資金調達、
流通ルートの確保などを支援する」とあるが、具体的な案はまだ不明だ。

いずれにせよ単なる販促の手伝いやターゲッティング&バラマキなら、する必要は無い。
もうゲームやアニメなどのメジャーメディアは既に海外展開しているし、
(そうでないマイナータイトルも沢山あるのは残念だけれども)
情報はwebでいくらでも手に入る。アニメもマンガも勝手に翻訳してアップロードする人が絶えない。
そんなことは頼まれなくても誰かが好きな時にやるだろう。

そもそもアニメもゲームもGDP比で考えるなら(今のところ)完全な泡沫産業だ。
加えてその性質上コンテンツ産業が隆盛を極めたとしても
自動車産業のような国内の雇用には全然繋がらない。
自動車のように売れ行きが良くなったからといって
国内に工場を沢山作って単純労働者を増やすなどという必要性は無いからだ。

スポーツや芸術の世界というのは一万人の凡人よりも一人の天才の方が遥かに重要な特殊な世界だ。
アニメーション製作於いてサラリーマンが何万人集まった所で宮崎駿には及ばない。
こういったものは規模が重要な労働集約的な工業製品ではないからである。

大規模な商業芸術を世界中に商売として売りこみたい気持ちはわからないではないが、
殆どの人々にとって重要なのはマスメディアが全国一律に提供するテレビニュースより、
会社での人間関係や友達とのクローズなコミュニケーションなどの極めてパーソナルなものだ。
もはやマスメディアが発信する宣伝費ばかり巨大なアーティストは、
パーソナルに対応してくれないガラクタとして見捨てられていくだろう。
そういった傾向は、既に若年層に於いて顕著に現れている。
彼らは携帯電話の費用がいくらかかっても気にしないが、
CDや興味のないスポーツなんて見向きもしないのだ。

そもそも芸術なんて人生に於いてはあってもなくてもいい「アソビ」なのだ。
スポーツも芸術も、本来の意味ではマネタイズには向かない暇つぶしに過ぎない。
それでも、「アソビ」が充実している国は、間違いなくクールで楽しい国だと断言できる。

よってクールジャパン室の目指すべき戦略的志向性は、
GDPがどうとかマネタイズがどうとかいう金の話であってはならない。
「日本にはこんなに沢山かっこいいアソビがある超クールな国だ」
という宣伝こそがその本質であるべき
だ。
「アソビ」は「アソビ」である。お金で考えるべきものではない。
経済産業省の人々にその考えが少しでもあれば良いのだが。