NHKで家賃を滞納した店子を追い出そうとする「追い出し屋」が報道されていた。
このニュースでは1ヶ月家賃を滞納した店子の家財道具を
保障会社(追い出し屋)が持ち去ってしまったことで、
店子側が度を越えた追い出しだとしてこの措置に反発、法的規制を求めたという。
このような脅迫的な追い出し行為が近年激増しているらしく、
政府は現在よりもきつい規制を来年春以降の法案で通そうとしているらしい。
・・・このケースは保護的な政策で必然的に出てくる歪みだと言える。
こういった住宅の賃借での問題の場合は既に第二段階にあると言っていい。
現在、住宅賃借の契約に於いては借地借家法で
かなり店子側に有利な条件が判例として認められてしまっている。
もう現時点で既に大家の権限で「追い出す」ことが事実上不可能なのだ。
流れをざっくりとさらうと、
①大家が店子を追い出そうとする
②裁判で「それはかわいそうだ」という判例が出て追い出せないような判例が出る
③大家の権限で問題のある店子が追い出せないので第三者に委託するようになる
④それを規制する法案が・・・ (以下ループ)
これは、店子や大家だけの問題ではない。
このような事後的な規制が強まると何が起きるかというと、
まず大家は店子になりうるかどうかを徹底的に調べるようになり
支払能力に少しでも不安があるような人間には絶対に物件を貸そうとしなくなる。
そのために賃貸物件の値段が不必要に高騰し、
これから新しく入居しようとする人にそのコストが転嫁される。
このような状態がいつまでも続いているので、日本の住宅事情は競争原理も働かず、
品質が悪い物件がいつまでたっても高いままだ。
しかも、NHKで紹介された最後のデータによると、このような問題が起きている件数は
過去に比べ激増しているとはいえ現在でも500件程度だという。
上記で考察した現状を踏まえて考えれば、追い出し屋を撲滅する方法は簡単に考え付く。
それは大家という管理者に本来の権限を戻す事だ。
合法な家賃の催促をした時点で、司法が大家側の督促を認めれば追い出し屋など不要だ。
追い出される店子が可哀想だという目の前だけの正義を押し通すということは、
重ねて述べるが結局今見えていない将来の誰かにコストを転嫁しているだけだ。
このような司法のパターナリズム(家父長的処遇)は
個々人のみならず最終的には社会全体に悪影響を及ぼす。
全体を見ようとしない政治家や法律家は人の上に立つ資格はない。