裸のサトシ君は、私の太股の上に座っている。
私達は、パンツも穿いていない、真っ裸だ。こんな無邪気な時代があったのかと
少し感傷的になった。
サトシ君は小学校4年生の時に、母親が交通事故でお亡くなりになり、
突如私の世界から消えていってしまった。
ちょうど私も初潮があった時期だった。
自分の周りの世界が、急に大人の色に染まっていくような感覚だった。
父はその後、大学で研究を続けていた。
私が中学に入った時、もう一度アメリカの大学に行く事になった。
家族で移住する話になったが、私は日本に残りたいと父と母に懇願した。
今回も、父が一人でアメリカに出て行く事になった。
私と母は日本に残った。
母は教育熱心なわりに、ずぼらな性格で、私の進路の事など何も考えていない
様子だった。母の関心は、私が女として自立できるかどうかだった。
結婚などせずに、働く女性になりなさいと母はよく私に言い聞かせていた。
その度に、看護師など仕事をしながら子育てした私はどんなに
大変だったか、愚痴紛れに父の悪口を私に言った。父はあの通り、学者一筋で、
その他の事にまったく目が向けられない。
歯磨きと洗顔フォームを間違えて使っていても気づかない男だった。
「今の時代、男なんかと結婚しなくても、シングルマザーだってある。」
それなら、それもいいじゃない。と先進的な女性像を私に押し付けていた。
私達は、パンツも穿いていない、真っ裸だ。こんな無邪気な時代があったのかと
少し感傷的になった。
サトシ君は小学校4年生の時に、母親が交通事故でお亡くなりになり、
突如私の世界から消えていってしまった。
ちょうど私も初潮があった時期だった。
自分の周りの世界が、急に大人の色に染まっていくような感覚だった。
父はその後、大学で研究を続けていた。
私が中学に入った時、もう一度アメリカの大学に行く事になった。
家族で移住する話になったが、私は日本に残りたいと父と母に懇願した。
今回も、父が一人でアメリカに出て行く事になった。
私と母は日本に残った。
母は教育熱心なわりに、ずぼらな性格で、私の進路の事など何も考えていない
様子だった。母の関心は、私が女として自立できるかどうかだった。
結婚などせずに、働く女性になりなさいと母はよく私に言い聞かせていた。
その度に、看護師など仕事をしながら子育てした私はどんなに
大変だったか、愚痴紛れに父の悪口を私に言った。父はあの通り、学者一筋で、
その他の事にまったく目が向けられない。
歯磨きと洗顔フォームを間違えて使っていても気づかない男だった。
「今の時代、男なんかと結婚しなくても、シングルマザーだってある。」
それなら、それもいいじゃない。と先進的な女性像を私に押し付けていた。