◇幻想詩人YO=YO◇    □Visionary Poet Yo=Yo□

【死刑囚】エリク君が覚醒するような詩・死刑への依存と甘え なお著作権は放棄しておりません、無断転載はお断りいたします

 ◇ バニラアイス その2◇

2013-08-18 07:00:08 | 小説
裸のサトシ君は、私の太股の上に座っている。

私達は、パンツも穿いていない、真っ裸だ。こんな無邪気な時代があったのかと

少し感傷的になった。

サトシ君は小学校4年生の時に、母親が交通事故でお亡くなりになり、

突如私の世界から消えていってしまった。

ちょうど私も初潮があった時期だった。

自分の周りの世界が、急に大人の色に染まっていくような感覚だった。

父はその後、大学で研究を続けていた。

私が中学に入った時、もう一度アメリカの大学に行く事になった。

家族で移住する話になったが、私は日本に残りたいと父と母に懇願した。

今回も、父が一人でアメリカに出て行く事になった。

私と母は日本に残った。



母は教育熱心なわりに、ずぼらな性格で、私の進路の事など何も考えていない

様子だった。母の関心は、私が女として自立できるかどうかだった。

結婚などせずに、働く女性になりなさいと母はよく私に言い聞かせていた。

その度に、看護師など仕事をしながら子育てした私はどんなに

大変だったか、愚痴紛れに父の悪口を私に言った。父はあの通り、学者一筋で、

その他の事にまったく目が向けられない。

歯磨きと洗顔フォームを間違えて使っていても気づかない男だった。

「今の時代、男なんかと結婚しなくても、シングルマザーだってある。」

それなら、それもいいじゃない。と先進的な女性像を私に押し付けていた。


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