◇幻想詩人YO=YO◇    □Visionary Poet Yo=Yo□

【死刑囚】エリク君が覚醒するような詩・死刑への依存と甘え なお著作権は放棄しておりません、無断転載はお断りいたします

 ◇ 子供の頃 その2◇

2015-09-20 02:10:27 | 小説
省エネ冷蔵庫って、ほんとに冷えるんだろうか?

私が一番最初に性欲を覚えたのは、三菱の370リットルの冷蔵庫だった。

どっしりしていて、身長は178センチ、体重は60キロ。

黒い冷蔵庫だった。

電気屋で見かけて、一目惚れした。

型番はMR-C37A(B)。

「この黒い冷蔵庫にして」電気屋で私はそう叫んだ。

冷蔵庫の前に立って、冷蔵庫が恋人だと錯覚した。

自分の両手で抱きかかえるようにして、腕を回しても

冷蔵庫の胴回りは、私の腕の長さよりももっと大きくて、

届かない。

そんなたくましい、漆黒の体躯に私はめろめろになって、

冷蔵庫に向かって、射精した。

それが初めての射精だった。

母親に、カルピスの染みができたと言われた。

よくふき取ったつもりだったが、まだ小学生だった私は、

カルピスをこぼしてしまったと母に言うのが精一杯だった。

その冷蔵庫は良く冷えて、ぶんぶん唸って、私の人生で理想の男だった。

そうだ冷蔵庫は男だ。

物にも性別がある。

フランス語や、ドイツ語や、スペイン語や、ロシア語、

私は冷蔵庫に恋をした同性愛者だった。