川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

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櫻井義秀『明解 統一教会問題』の粗い論理

2024年03月09日 | 
ブロガーから剽窃してしらばっくれている櫻井義秀という学者が、懲りずに『明解 統一教会問題』って本を出した。

 
この著者のことは私は全く信用していない。インテグリティがないから。トンデモ本を書いているから。


1の嘘をつく人は1000の嘘をつくので、櫻井氏の書くことは何一つ私は信用できない。そのため、私は彼の書くものに一切の資料的価値を認めないのですが、まあ一応読んでおくかと思いまして。

端的には、、、

明解どころか、迷解ないしは冥界って感じ、、 素人さんはこの本に騙されるだろうな、とは思った。

違和感を感じたところを取り急ぎ:

◆ 「青年(安倍元首相暗殺犯)は安倍元首相や自民党の政治家に恨みをいだいたわけではない」

 …1頁の「はじめに」ののっけから、この言い切り…
  え、まだ刑事裁判ほとんど始まってませんけど、、、
  だから動機が明らかになったとはいえませんけど、、、
  むしろ安倍元首相には「恨み」的な感情があったはずですよね、、
 
 …要するに「統一教会は悪い。それ以外は悪くない」って印象付けようとしたいようだ。

◆ 1頁
 「及び腰の政府を突き動かして…」不当勧誘防止法制定云々。

 …この「及び腰」って表現も、「本来動くべきなのに動きが遅い」ってニュアンスが入っている。価値判断が入っている。党派性がある。
 だって、統一教会側からみたら「軽々に霊感弁連の言いなりになっちゃった情けない政府」って映っているんですから、、
 …「はじめに」冒頭の1頁から党派性を隠そうとしない櫻井義秀には感服する。まだ、曲学阿世コンビの片割れ・島薗進氏のほうが、中立性を装うのは長けている。

◆ 37頁
 「(近年では…)訴訟による損害賠償請求を押し止める勢力としての政治的ロビイング活動が顕著

 …何度読み返してもイミフ。
  訴訟と政治は別だし、誰の誰に対する損害賠償なのか書いていないし、「政治的ロビイング」も主語がない。家庭連合/反家庭連合のどっち側のことを書いているのかわからない。
 …私が「一読してわからない文章」というのは、学者が書く文章ではない。

◆ 41頁
 Twitter/Xでも攻撃されていますが、文鮮明を「カルトのリーダー」と表現する「民間人ブログ」(鈴木エイトか?)を引用してしまっては… 

 …学者の矜持がない。

◆ 49頁
 「確実に言えることは、…日本の統一教会組織は…資金提供者としてのみ利用されている」

 …これはとても失礼。
  日本の教会のみなさんは、信仰の自由のために真摯な活動をしていますけど、、

◆ 73頁
 「統一教会にぬかりはありません」「統一教会がただものではない証拠として、<蕩減条件>という恐ろしい神様の原理まで用意しているのです」
 
 …「ぬかりはない」「ただものではない」「恐ろしい神様の原理」など、表現が稚拙…

◆ 98頁
 安倍元首相暗殺犯が暗殺前日に手紙を出した相手の米本和広さんの実名を出さず、「統一教会を批判するブログを実名で運営している男性」と表現。

 …いや、むしろこの米本さんは、紀藤正樹弁護士や鈴木エイトら、拉致監禁を批判するブログを運営している人物として有名。エイト氏と米本さんの「口汚い罵り合い」は、ちょっと調べればすぐ出てくる。

 たとえば、米本さんが、拉致監禁をいざなう手紙をパシリのように届けた鈴木エイトを「監禁派のパシリ」と呼んだ こちら こととか、みんな櫻井義秀氏は知っている。
 それなのに「統一教会を批判するブログを運営」と書いて、あたかも「統一教会は批判されている」と印象付けんとする。
 この櫻井義秀氏の姑息さと卑怯さを私は強く軽蔑する。

◆ 100頁
 (安倍元首相暗殺依頼、統一教会と日本の政治家の癒着が明らかになり)「誰もが唖然、困惑というほかはない」

 …下品な断言。私は別に「唖然」も「困惑」もしませんでした。

◆ 103頁
 UPDFの行う自転車イベント「ピースロード」を取り上げて、「着実に日本人の思想改造が図られようとしていたのです。」だって。

 …あまり有名でない地域の自転車イベントで、なぜ「日本人の思想改造」まで話がすっ飛んでいくのでしょうか、、

◆ 134頁
 カルトの定義で、若松英輔氏が「離脱を認めない」と挙げたのを「拘束すること」と変に一般化し(大前提)、家庭連合で「(教義で)精神的に拘束」しているから(小前提)カルトの定義に当てはまるとしている。

 …三段論法ができていません。法律家はこんな稚拙で姑息なロジックにはだまされない。つまり、櫻井氏は、
  1.  離脱を認めない(若松)    
  2.  拘束する(大前提) 
  3.  精神的に拘束(小前提)
 という「歪んだ三段論法」をしている。1→2の大前提も枉げている。2→3の小前提のあてはめも枉げている。二重に歪めた三段論法、、、

 本来なら、統一教会で離脱を認めていないのか、ということを吟味しなければいけないのに。

 この「カルト性/拘束へのあてはめ」の姑息さこそ、櫻井義秀氏の本質だと思われる。彼の本をみんな読んでいる私からすると「ああ、またやっとんな」って感じです。

 このように、「統一教会の印象批判にせっせと勤しんでいる」のが櫻井義秀さんです。こういう人を曲学阿世といいます。

 なお、「精神的に拘束しない宗教」ってのが果たしてあるんだろうか。宗教の本質は、むしろ「精神的に拘束する」ことにあるはずだ。
 「科学的に説明できないものを信じる」のが宗教なんだから。

◆ 157頁
 養子縁組斡旋の文脈で「代理母的な役割…」「特別養子縁組は、本来、保護者のない子供…に温かい家庭を与える仕組みです」
 だから、「子供の誕生が先なのであって、生まれる前から約束をして、…子どもを、もの扱いすべきではないのです」

 …そうなのかな。
  特別養子縁組って、必ず「まず子どもが生まれることが先」ではないはずだ。そもそも最初から特別養子にしようと思って、代理母を探して、特別養子縁組にするって仕組みも予定されているはず。

 実際、私は、弁護士として、アメリカの女性を代理母とする特別養子縁組の、判決書の送達かなんかのサポートをしたことがあります。
 ググっても、「アメリカの代理母を使った特別養子縁組が合法である」ってことはすぐわかります、、、 こちら
 かように、櫻井義秀さんは、法的なところはかなり脇が甘い。

◆ 166頁
 「(被害者救済)新法は短期のマインド・コントロールを認めているのです。
 
 …そうなのかな。それは言い過ぎ、穿ち過ぎでは。

◆ 172~173頁
 「私はパスカルさんとは20年来の親交を持ち…」「パスカルさんはマインドコントロールを解く脱会カウンセリングの専門家でもある」

 …え、このパスカル・ズィヴィーって、要するに脱会屋ですよね? こちら(米本ブログ)

◆ 204頁
 以下はかなり酷い表現。この本の中で一番インパクトがあったかも。

 「統一教会の信仰の核は、メシアである文鮮明への絶対的忠誠であり、組織の中心者の指示に従うことです。
 したがって、信者個人が勝手に霊感商品を販売したり、末端の信者に献金を要請したりすることはありえません。
 それは、統一教会に対する民事裁判の判決において法人内部に使用者責任が認められていることからも明らかです」

 …この後半のロジックの稚拙さは、法曹や法学部卒ならより強く分かる。
 そもそも「使用者責任」って、「報償責任」と言って、「利益のあるところには損失あり」って感じで、要するに、「社員を使って金儲けしている企業は、損害賠償払ってね」って法理。
 具体的には、社員が「事業の執行につき」事故ったら、会社が賠償するってこと。
 この使用者責任/報償責任と、「信者が勝手に霊感商法しない」「末端の信者に(メシアの意志と反して)献金要請しない」とは全く別…
 
 …こんな答案を書いたら司法試験に絶対受からないし、こんなドラフトをアソシエイト弁護士がしたら、パートナーから「お前アホか」と罵られかねない、、
 要するに、「法学部生でもこんな稚拙な論理展開しない」レベルのおこちゃま議論です。

 …上記の前半のロジックのほうが酷いですよね。再掲すると:

「統一教会の信仰の核は、メシアである文鮮明への絶対的忠誠であり、組織の中心者の指示に従うことです。
 したがって、信者個人が勝手に霊感商品を販売したり、末端の信者に献金を要請したりすることはありえません。」

 ですって。論理粗すぎじゃね?って一般の方でも思いますよね。
 「信仰の核が教祖への忠誠」であることと、「信者個人が勝手に霊感商法しない」「末端信者に(勝手に)献金要請しない」のは、決して、「したがって」ではつながらない。
 
 このように、無理くりにロジックを「したがって」でつなげるのは、「春秋の筆法」と言いまして、中国2000年の歴史で戒められてきました。
 漢籍の『春秋』が、「AだからBである」という、「理由が一つだけ」という強引ロジックを連発することから来た言葉です。
 櫻井義秀さんは、身を張って「やっちゃあいけない春秋の筆法」の見本をご提示されている。

◆ 208頁
 家庭連合が被害者救済のために100億円を拠出しますよ、というくだりについて「統一教会としては…法務局や地方法務局などの供託所に供託金を預けるというのが筋です」ですって。。

 …これも、法律を知らない素人さんの間違い。
  供託の要件 こちら を満たさないから、家庭連合の田中会長が(供託に依らずとも)100億円をデポジットしますって記者会見したのです。

  「弁済供託の3要件」(以下(1)(2)(3))なんか、ぐぐったらすぐ出てくるのに、、、 こちら
 (1) 債権者の受領拒否
 (2) 債権者の受領不能 
  …債権者の不在や行方不明等の理由により,債権者が弁済を受領することができない  
 (3) 債権者不確知
  …債権者が死亡して相続が開始したが,その相続人が誰であるかが不明,又は債権が譲渡されたが,債権の帰属について譲渡人と譲受人との間で争いがある等

 かように、櫻井義秀氏は、「法学部生がググったらすぐ分かるレベルのこと」を間違って表現しているのです。

◆ 249頁、251頁、253頁
 「神仏をちゃかす」「宗教に対する健全な笑い」(櫻井義秀本に対して反論をする家庭連合は)「笑いを恐れているのです」

 …Twitter/Xでも物議を醸していますが、櫻井義秀って人は、「いじりブロガー」の鈴木エイト氏と並んで、「宗教をちゃかす/笑う/嗤う」人なんですかね。「ちゃかし学者」なんですかね。
 …だいぶお下劣、品がないな、と思いました。本性を出しちゃったの?って感じです。
____________

以上、こう書くと、櫻井義秀氏の「論理の粗さ」が際立ちますね。

学者として、教授として、生徒に範たる文章を書かねばならぬお方が、この稚拙さ。

日本の宗教リテラシーを憂う。
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