山猫のブログ

人間に必要なものは嗅覚である。毛穴で感じる危機感である。何かがおかしいと思ったら、それはおかしいのである。

APEC と ABAC

2011年11月11日 | 日記


今や世界の覇権はG7ではなく、G20であることは周知です。
そして今後の流れは一極覇権ではなく、多極化する ということも。
そのためにも わざわざ米国内の産業を空洞化させ、欧州経済危機を作りだしたのですから
もっといえば、その先には“国”の権限よりも都市、国際企業、協定、財団などに主導権を持たせようとすることも。
あれらの戦略は実に、実に長期的です。


それはさておき、G20国とは、日本、中国、韓国、インドネシア、インド、サウジアラビア、欧州連合(27ヶ国)ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、トルコ、アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ共和国、オーストラリア です。


そして、APECに参加しているのは(太字はG20)

オーストラリア 、 ブルネイ 、 カナダ 、 チリ 、 中国 、 香港 、 インドネシア日本韓国 、 マレーシア 、 メキシコ 、 ニュージーランド 、 パプアニューギニア 、 ペルー 、 フィリピン 、 ロシア 、 シンガポール 、 台湾 、 タイ 、 アメリカ合衆国 と ベトナム です。


そして、その中でTPPに参加しているのは

オーストラリア 、 ブルネイ 、 チリ 、 マレーシア 、 ニュージーランド 、 ペルー 、 シンガポール と ベトナム、アメリカです。

これを見ただけでも推進派の言う「アジアにおける経済のリーダーシップ」などということに なんの説得力もないことがわかります。中国、ロシア、インド、インドネシア(G20)などは、日本がTTPに参加しようとしている姿勢を見て「バカじゃないのか」と思っているでしょう。


そして、APECにおいて、政策、提言などに非常に力をもっているのは
ABAC(APEC Business Advisory Council)というAPECビジネス諮問委員会です。
 ↓
議長 デボラ・ヘンレッタ(米国)
共同議長 相原元八郎(日本)
ジャブディン・マゴメドフ(ロシア)

日本委員
•渡辺 喜宏 株式会社三菱東京UFJ銀行 顧問
•相原 元八郎 三井物産株式会社 顧問
•森本 泰生 株式会社東芝 常任顧問

「日本におけるABACの活動は、ABACの設立時から産業界の強固な支援を受けてきました。1999年、ABAC日本の支援基盤を拡充・強化するためにはビジネス界の声を一層反映することが不可欠である等の観点から、経済団体連合会(当時)や日本商工会議所をはじめとした経済団体が中心となって企業の参加を求め、ABAC日本支援協議会が設立されました。ABAC日本支援協議会は、ABAC日本委員と日本産業界との連携を深め、日本産業界の意見をAPECの政策に反映させるための活動を行っています。」
  ↓
(ABACで検索してください)

APECとはアジア太平洋経済協力のためのフォーラム(非公式)なのですから、経済界が意見をいうのはもっともなのですが、今回問題にもなっております「ISD条項」のように、企業優先で国家の主権をおびやかすようなものがあっていいものでしょうか?


さらに、このABACは最近のレポートでオバマに対し、さらなる高品質、広範囲の自由貿易を要請し、災害時におけるサプライチェーン、サービス、投資の統合を勧めています。そして、今の状況は「保護貿易主義」が妨げになっていると苦言しているのです。
 ↓
http://www.bworldonline.com/content.php?section=TopStory&id=41317&title=Businessmen-call-for-APEC-action

ただただ、経済の自由化を目的とし、「国」をまったく考慮しないのが「自由貿易」なのです。

私たちはある程度“国”の保証、保護のもとに安全、安心な生活を送ることができます。
これらがすべて「自由」の旗のもと 民営化され、投資対象になどなれば そこにはもう弱肉強食の世界しか生まれません。


以前にも記しましたが、自由貿易協定とは1944年にIMFや世界銀行とともに発足したGATT(General Agreement on Tariffs and Trade)協定であり、国際金融資本家たちの戦略なのである。


そして名だたる大企業は外資によって大きくなった国際企業なのであって、常に利益を出すのが目的であり、国際企業とはどこか一国の国民の生活の安全、安心、保証のために活動しているのではないのです。
たとえ、先人達が戦後の焼け野原の小さな町工場で多くの日本人従業員とともに汗し、成功をつかんだ企業でも です。

国民の安全、安心は「国」が守らなければならないのです。