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野球少年は夢を見る…MLB篇

Major League Series 2022

野茂、ボストンに散る!(15日・ボストン)

2005-04-19 13:36:54 | Tampa-Bay Rays
 古巣ボストン・フェンウェイパークに帰ってきた、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。あのときも、背番号「11」に戻して、赤いユニフォームで、ノーヒッターを達成した思い出のチーム(2001年)。柄の悪い(!?)ボストンのファンも憶えてくれているだろうか? 【1回表】1番・ジョニー・デーモンにファーストピッチ(初球)、アウトサイドにファストボール(速球)が外れる。

 2球目も同じサイドに低く決まって、「1-1」。3球目はフォークがワンバウンド。4球目もアウトサイドに高く外れて、「3-1」。ボストンの観客が騒ぎ出す。5球目も外れて、デーモンが1塁に歩く。それにしても、相手がNOMO、ということもあり、じっくりボールを見てきたデーモン。1球もスイングせず、小憎らしいばかりに出塁。リードオフマンの役割を果す。ノーアウト1塁。ボストンの喧騒は高まる。

 2番トロント・ニクソンへの初球も、アウトサイド低めに外れる。例によって、球速はないが、低めを丹念に突こうとする意思が窺える。2球目もアウトに高く外れるが、3球目は低めに決まって、「2-1」。インサイドを突かないのが気になるが……怖くて突けないか? 相手は「世界一」のボストン打線。勇気と球威が必要、だ。キャッチャー、またしても、アウトサイドに構えて、4球目、今度も低めに決まって、「2-2」。5球目、初めてインサイドを突くが、低過ぎて、「3-2」。打席のニクソンも息を吐く。バッターだって緊張している。6球目もアウトサイド。これを弾き返したニクソン、ピッチャー前にライナー! 野茂が弾き落として、1塁へ送球。1アウト2塁。この辺りはベテラン、落ち着いている。

 3番マニー・ラミレスに初球、アウトサイド低めに絶妙のロケーション。2球目、同じコースにフォークで誘って、反応なし。3球目、アウトサイドに精一杯のファストボール、チェックスウィングで、「1-2」。これも「いい球」だ。4球目は高めで誘ったが、誘いには乗らず、昨年のワールドシリーズ「MVP」男。決めに行った5球目のファストボールは外に外れて、「3-2」。6球目、フォーク狙いの裏を掻いたか、真っ直ぐでファウル。7球目も渾身の真っ直ぐ勝負! バックネットにファウル。気温7.8度のボストンで、半袖の野茂、熱投が続く!!

 8球目も真っ直ぐ。これを打ち上げさせて、ファーストフライ。「フォーク」を予想した解説の与田剛氏が「ひたすら」唸っている。かつてのソウル・オリンピックの戦友は、未だ現役で、メジャーリーグで投げ続け、友に「勇姿」を見せ続けている。「MVP男」ラミレスも頭の半分で、フォークを予測していたのだろう。その分、野茂の140㎞前後の真っ直ぐに差し込まれた。かつてバリー・ボンズ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に対したように、「強打者」には強気に真っ直ぐ勝負を挑む、メジャーリーガー野茂の真骨頂、だ。

 マウンド上で高揚感を覗かせる野茂。しかし、続くは4番デヴィット・オルティーズ、だ。昨年のチャンピオンシップ・シリーズ「MVP」男。このニューヨーク・ヤンキースを倒した男には、初球フォークでストライク。2球目は一転、ファストボールで空振り奪取。3球目、イン・ハイで仰け反らせ、ボストンの観客が鋭く反応! ブーイングが過ぎ去った後、4球目、フォークを振らせ、三振! ボストンの観客を沈黙させる。「エース」のピッチング、だ。口を大きく膨らませ、息を吐いた野茂。緊張感から解放され、マウンドを降りる。素晴らしかった!!

 この野茂が【2回裏】に7失点を喫する。信じられないのだが……先頭の5番ケヴィン・ミラーを歩かせて、ノーアウト1塁。6番エドガー・レンテリアに初球フォークの後の真っ直ぐを狙われて、三遊間を抜かれて、1,2塁。7番「かつてバッテリーを組んだ」ジェイソン・ヴァリテックにも、2球フォークを続けた後の真っ直ぐを狙われたが、打ち上げて、キャッチャー・ファウルフライ。思わずデカい声で<Fワード>を叫び、己を罵るヴァリテック。かつての僚友相手に力んだか、それとも野茂の真っ直ぐが遅すぎて、タイミングが狂ったか? 

 8番「マリアーノ・リヴェラ“キラー”」ビル・ミュラーには、4球フォークを続けて、「2-2」と追い込むが、5球目、6球目の真っ直ぐが高めに浮いて、四球。1アウト満塁になって、9番「曲者」マーク・ベルホーンに「2-2」から高く入った真っ直ぐを叩かれ、左中間を抜かれて、2者生還、「0対2」。1番デーモンは初球のフォークに手を出してくれて、サードゴロに打ち取るが、2番ニクソンを歩かせて、再び満塁。3番ラミレスにも四球で押し出し、「0対3」。そして、4番オルティーズにライトフェンス最前列にライナーで飛び込む、グランドスラムを浴びて、万事休す。「0対7」。

【3回裏】も先頭の6番レンテイリアに“グリーンモンスター”直撃のトリプル(3塁打)を浴び、7番ヴァリテックに投じたフォークがワンバウンドになり、「0対8」。ヴァリテックにもセンター前ヒットを浴び、ここで降板。2回0/3、5安打、4四球、8失点。初回の強気な真っ直ぐ勝負から一転、【2回裏】は何故か、フォークを多投し、これが裏目に出て、四球を出すことになり、ランナーを溜めて、オルティーズには真っ直ぐを狙われた。【3回裏】はファストボール主体に転換したが、これを悉く狙われた。

 キャッチャー、トビー・ホールの苦心のリードは分かるが、少し策に溺れたか? 野茂の球速はこれ以上増さないだけに、キャッチャーのリード次第で、野茂のピッチングはどうにでもなる。野茂は疲れていないから、次「早く投げたい」と言った。まだ自分は「やれる」と信じている。その「強い」気持ちとキャッチャーのリードが巧く噛み合ったとき、野茂のナイスピッチングは生まれる。「次は」19日(日本時間・20日)ヤンキース戦、だ。

対決!野茂「対」藪(9日・フロリダ)【後篇】

2005-04-17 19:34:54 | Tampa-Bay Rays
【5回裏】7番エドワード・ペレス(元阪神タイガース)に初球(91MPH)、2球目(89MPH)ファウル。3球目(83MPH)外で誘って、4球目(92MPH)を打たせて、ファーストゴロ。8番トビー・ホールには、初球(90MPH)ストライク。2球目のスライダー(85MPH)を打たせて、サードゴロ。9番ジョーイ・ガスライトには、初球(92MPH)を叩きつけられ、センター前に転がり、2アウトで出塁を許す。

 1番「快足」カール・クロフォードにも初球(90MPH)を流し打たれ、2アウト、1,2塁。快足ランナー2人を出して嫌な展開だが、2番アレックス・ゴンザレスに初球スライダー(76MPH)で、マズはストライク。2球目のフォーク(89MPH)を振らせ、「0-2」。3球目、4球目フォーク(89MPH)を続けて、「2-2」。5球目のチェンジアップ(75MPH)も外れて、ラストボール。6球目のフォーク(88MPH)を今度こそ振ってくれて、三振!

【6回裏】3番ハフをシュート(91MPH)で打ち取って、ショートゴロ。4番ルーゴにスライダー(85MPH)を打たせて、ファウル。2球目のスライダー(86MPH)は「ボール」。3球目のカットボール(90MPH)も「ボール」。4球目のスライダー(88MPH)を打たせて、ライトフライ。5番カントゥーも初球(89MPH)を打たせて、ライトフライ。総てアウトサイド低めに絶妙なロケーション、だ。このイニングは3分で終了した。

【7回裏】6番フェリップスには、インサイドを突いて、ストライク(90MPH)。2球目のスライダー(86MPH)で誘って、3球目、同じくアウトサイド(90MPH)で空振り。「1-2」追い込んで、4球目、キャッチャーはインサイドに構えるが、逆球になって(91MPH)ファウル。最後はインサイドにツーシーム(84MPH)を落として、空振り三振。

 7番ペレスにも、初球スライダー(88MPH)でストライク。弱点を心得ているか? 2球目(74MPH)ボール。3球目、初球と同じ球(88MPH)で空振り。「1-2」と追い込んで、最後も同じ球(86MPH)でチェックスウィング、見逃し三振で2アウト。やはり「弱点」を熟知していたようだ。

 8番トビー・ホールにも、初球スライダー(86MPH)で空振り。2球目も同じ球(84MPH)でファウル。3球目も同じ球(85MPH)を続けた! チェックスウィング、キャッチャーはファーストの方向を指差している。藪はそんなものには構わず、スタスタとマウンドを降りている。余裕! ファースト方向に目をやリ、アウトを確認して、ダッグアウトへ。そして、帽子のひさしに手をやる。カッコいい!! 3者三振で、この最後のイニングも3分程度で切り抜けた。

 一方、野茂は【6回表】で降板。1安打、4奪三振、2四球。その1安打は、【3回表】コッツエーに喫したホームラン。【2回裏】の味方の大量援護で少し気が緩んだか、真ん中に入ったフォーク(74MPH)をライトスタンドに豪快に放り込まれたが、その一発のみ。今シーズン初先発で初勝利を挙げた。その初登板で実現した日本人対決、野茂「対」藪。

 藪は同じ36歳。野茂を常に意識してきて、野茂に刺激されて、メジャーリーグへの夢を膨らませてきたのだろう。そして同じ舞台に立った。中継ぎ(セットアッパー)が最終目標ではないだろう。いずれは先発(スターター)の座を勝ち取るべきだ。先発で野茂「対」藪を見たい。あるいは藪「対」松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース)、藪「対」イチロー(シアトル・マリナーズ)……夢は拡がる。夢の舞台……メジャーリーグ。

対決!野茂「対」藪(9日・フロリダ)【前篇】

2005-04-16 12:03:17 | Tampa-Bay Rays
 グリーンが意外に良く似合う、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。トロピカーナ・フィールドのマウンドに立つ。背番号は出戻りの「11」番。復活を期すマウンド、だ。初球は勿論、ファストボール(84MPH)。「ボール」の判定。キャッチャーがアウトサイドに構え、逆球でインサイド低め、いいコースに決まったが、逆球が心証を悪くしたか? 2球目(84MPH)はボールがお辞儀して、「2-0」。3球目(84MPH)も高めに浮いて、いきなり「3-0」。4球目(83MPH)に真ん中でストライクを取るが、5球目(84MPH)がインサイド低めに狙いすぎて、オークランドの1番マーク・コッツエイが1塁に歩く。「不安」が過ぎる……

 2番ジェイソンン・ケンドールへの初球(84MPH)は「ストライク」。2球目はフォーク(78MPH)で誘って、「1-1」。3球目(86MPH)でファウル。4球目、この日最速(89MPH)で、インサイド低目を突くが、際どく「2-2」。5球目(88MPH)を叩かれるが、ライトライナー。アウトサイドに低く来たから、野手の正面で済んだ。3番「主砲」エリック・チャヴェスには、初球(88MPH)ストライク。2球目(88MPH)はワンバウンド。3球目(88MPH)はインサイドに近すぎて、4球目(88MPH)はアウトサイドにお辞儀。5球目(89MPH)を突いて、大ファウル。「3-2」フルカウント。6球目(79MPH)の勝負球フォークをファウルされて、7球目(88MPH)はアウトサイドに外れて、1,2塁。

 4番エルビエル・デュラーゾの初球(89MPH)もアウトサイドに外れるが、2球目(88MPH)でインサイドを突いて、ファウル。野茂との対戦成績、7打数1安打、1三振。デトロイト・タイガース、あるいはボストン・レッドソックス時代か。その頃は未だ文字通りのグリーンボーイ、だったデュラーゾ。しかし苦手意識は変わらず、か……3球目(89MPH)のインサイドで詰まらせて、セカンドフライ。

 5番スコット・ハッテバーグには初球(88MPH)ストライク。2球目のフォーク(79MPH)はアウトサイド低めに落ちたが、「ボール」。3球目のフォーク(79MPH)は真ん中に落ちて、これを掬い上げられたが、センターフライで万事休す。2番ケンドールを除く、4人の左バッターへの強気のインサイド勝負が目に付いた。野茂らしさは健在。貫禄で初回のピンチを脱出した。

 一方、オークランドのスターター、バリー・ジトは「不調」。【2回裏】6番ジョシュ・フェリップスの3ランを皮切りに、3番オーブリー・ハフにも3ランを浴びて、一挙7点を失い、3塁側のブルペンでは、早くも藪恵壹がウオームアップ。実現するか? 野茂「対」藪の日本人対決。ジトは【4回裏】にも1点を失ったところで、降板。ついに藪がマウンドに上がる。夢のメジャーリーグ初登板は、1アウト満塁で、バッター4番フリオ・ルーゴ。

 初球は勿論、ファストボール(92MPH)、アウトサイド低めに絶妙なロケーションで、ストライク先取。2球目のカットボール(90MPH)を打たせて、ファウル。これもアウトサイド低目。早くも「0-2」に追い込んで、3球勝負でフォーク(85MPH)はワンバウンド。4球目のファストボール(94MPH)でファウル。150㎞だ。凄い!! バッターは振り遅れている。圧倒的な藪。5球目の勝負球はフォーク(84MPH)を選んだが、これを巧く打たれて、レフト前ヒット。2者が還って、「1対10」。先発(スターター)のジトに10失点目を付けた。

 5番ホルへ・カントゥーには、初球スライダー(75MPH)でストライク。2球目はインサイドのシュート(90MPH)で空振らせ、「0-2」。3球目、今度こそ3球勝負でフォーク(86MPH)を振らせ、三振。2アウトを取るが、6番フェリップスに2球目のシュート(90MPH)が甘く入って、レフト線を破られ、もう一人生還、「1対11」。これは「甘い球」だった。2人目はホームで封殺して、3アウト。藪、右手を挙げて、キャッチャーの肩を叩いて、3塁側ダッグアウトへ。グリーンのユニフォームは似合っているか? 修羅場のマウンドはこうして、終わった。