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野球少年は夢を見る…MLB篇

Major League Series 2022

対決!野茂vs.イチロー(5日・シアトル)

2005-06-08 20:05:17 | Tampa-Bay Rays
 シアトル・セーフコ・フィールドに乗り込んできた、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。最初に相対するのは勿論、イチロー(シアトル・マリナーズ)。日米通算「200勝」が懸かったマウンド。一方、イチローの方もメジャー通算1000本安打へカウントダウンが始まっている。日本人メジャーリーガー、投手と野手のパイオニアの4年ぶり2度目の対決。そういえば、4年前も野茂は赤いユニフォーム(ボストン・レッドソックス)で背番号「11」を背負って、2001年、ルーキーイヤーのイチローと対していた。まるで12年前(1993年)の初対決の日の近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーヴを再現するかのように……

 注目の初球は、ファストボール(83MPH)、イチローが打って出てファウル。2球目も「拘りの」ファストボール(84MPH)で押して、「1-1」。3球目(86MPH)も続けてファウル。4球目(84MPH)もファウル。3塁側ボール・ガールが見事にキャッチ。5球目(84MPH)をキレイに流し打ったものの、レフト正面で1アウト。スプリッター(フォーク)は1球も投げず。途中、カットボールも挟んでいたかもしれないが、「拘りの」真っ直ぐ勝負でイチローを仕留めた。

 2番ランディー・ウィンには2球目(82MPH)が真ん中高めに甘く入り、三遊間を抜かれる。スプリッターのすっぽ抜けか? 3番「昨シーズンまでの同僚」エイドリアン・ベルトレーには、スプリッターの連投でレフトフライに打ち取り、4番リッチー・セクソンにも「徹底した」スプリッター攻めで、空振り三振に打ち取り、途中、盗塁して、キャッチャーの悪送球で3進したウィンが残塁。

 初回に味方打線が1点を先制して、【2回表】にも3点。シアトルのスターター、ベテラン左腕ジェイミー・モイヤーを攻略して、野茂に援護点をくれている。「4対0」のリード。【3回裏】8番ルーキーのマイク・モースをセカンドフライに打ち取るが、9番ベテランのパット・ボーダーズが2球目のフルスイングの後、3球目を3塁前に絶妙なセーフティーバントを決めて、老練な出塁。

 1番イチローとの2度目の対決は一転、初球スプリット(78MPH)から入り、イチローは驚いた表情をマウンドに向ける。2球目はウェストして、その後、イチローは打席で何故か溜息。ここは打者としては難しい場面、だ。ゲッツーは避けたい。ランナーを何としても進めたい場面だ。イチローでも緊張する。しかし、マウンド上の野茂もイチローの「軽打」を警戒している。3球目(86MPH)もアウトサイドに大きく外れて、「0-3」。4球目も大きく外れて、ストレートの四球(ウォーク)。

 1アウト1,2塁になって、「慌て者の」2番ウィンは初球のスプリッター(77MPH)に手を出して、ピッチャーゴロ。しかし野茂の前で微妙に打球が変化して、野茂は捕れず、ショートが処理するが、1塁は「快足」ウィンが駆け抜けて「セーフ」。1アウト満塁のピンチになり、「元同僚」4番ベルトレーに2球目のスプリッター(79MPH)を狙われ、三遊間を抜かれて、1点を献上。「4対1」。

 しかし、ここから追加点が奪えないのが、シアトルの「不甲斐ないところ」。4番セクソンが「3-2」から2打席連続(空振り)三振。5番ラウル・イバニェスもスプリッター(80MPH)でライトフライに打ち取られ、野茂は口を大きく膨らませ、息を吐き、堂々胸を張りながら、3塁側ダッグアウトへ歩みを進めた。

【5回表】イチローとのこの日、3度目の対決。初球スプリッター(80MPH)でストライク。2球目(85MPH)ファウルで追い込んだ後、3球目のスプリッター(77MPH)をラケット・スウィングで掬い上げられ、センター前にヒットで出塁。2番「この日のキーマンになった」ウィンには2球目にライトへ大飛球を飛ばされるが、ライトのオーブリー・ハフが追いついてグラブに当てながら、フェンスにぶつかった拍子に打球を落とし、1,2塁。

 3番ベルトレーには「2-1」からのスプリッター(84MPh)を打たせて、ピッチャーゴロに打ち取るが、送球を焦った野茂がセカンドへスプリッター(低い球)を投げてしまい、2塁はアウトになったものの、1塁は意外に足も速いベルトレーが駆け抜けて、セーフ。1アウト1,3塁。ここで2打席、チャンスで空振り三振に打ち取られている、4番セクソンが「意地」を見せて、初球(84MPH)を狙い打って、レフト前ヒット! イチローが還って、「4対2」。

 5番イバニェスはライトフライに打ち取ったものの、6番「ストラグル」ブレッド・ブーンに「1-2」と追い込みながら、勝負球のスプリッター(79MPH)が高めにすっぽ抜けて、この失投を見逃さなかったブーン。打球は右中間を深々と抜けて、走者一掃、2者が還って、「4対4」同点に追いつかれる。その瞬間、野茂も思わず「あっ」と口を開き、振り返ったが、打球は無情にも右中間を切り裂いていった。

【6回裏】も続投の野茂。先頭の8番モースにライト線に落ちるヒットで出塁を許し、9番ボーダーズにサクリファイス(犠牲)バントを決められて、1アウト2塁。ここでイチローと4度目の対戦。初球、思い出したかのように、この日最速のファストボール(88MPH)でファウル。2球目も渾身のストレート(87MPH)。球威に押されたイチローはレフトフライ。これで2アウト。

 ホッと一息つきたいところだが、この日「3打数3安打」の2番ウィンに初球のスプリッター(78MPH)を狙われ、ライト線に突き刺すダブル(2塁打)! これで勝ち越しを許して、「4対5」。野茂はこのイニング限りで降板。勝利投手の権利は発生しなかった。タンパベイは【8回表】に同点に追いつくが、【9回裏】に1点を失い、サヨナラ負け。野茂に勝ち負けは付かなかったが、「4対1」タンパベイの勝ちペースだっただけに、スターターの責任を果せなかった「悔い」は残る。

野茂対イチローを見逃す!!(5日・シアトル)

2005-06-06 14:01:06 | Tampa-Bay Rays
 またしても、NHK(BS-1)に謀られてしまった!! 今日の「デヴィルレイズvsマリナーズ戦」、NHKの番組表(Web)では、午前10時10分からの録画放送になっていたのに、直前になって、放送時間を変更したのだろう。午前5時5分からのLive(生中継)になっていた。それを知ったのは、朝、新聞の番組欄を見たとき。テレビを点けても、ゴルフ中継(PGA)をやっていたので、ゴルフ中継が延長にでもなっているのか、と思ったら……しかし、結局、野茂英雄の「200勝」達成は成らず、6回5失点の出来。イチローもヒット1本放ったものの、最近「1日1本」が続いている……パッとしない日本人メジャーリーガーたち。

 そういえば、今日、石井一久(ニューヨーク・メッツ)もKO(6失点)。松井稼頭央もダブルヘッダーの第1試合で、8回裏2アウト満塁のチャンスで代打で登場して、空振り三振。第2試合も2番セカンドでスタメン復帰も、4タコ(ノーヒット)。唯一人、気を吐いているのは、井口資仁(シカゴ・ホワイトソックス)か。この日、5号2ランを含む6打数3安打2打点の活躍で、打率を3割台(3割1厘)に戻した。ニューヨーク・ヤンキースも「3対9」で大敗して、日本人ではないが、先発のケヴィン・ブラウンがまたしても「背信」ピッチングをしたようだ。松井秀喜も4打数1安打1打点。

痛恨! 野茂の「199勝目」達成試合を見逃す!!(26日・セントピータースバーグ)

2005-05-28 14:45:40 | Tampa-Bay Rays
 午前5時からのテレビ中継(NHK-BS1)を、午前8時に起きた私がどうやって見ればいいのか? 迂闊だった。チェックしておけばよかった。そろそろ先発だな、とは思っていたのだが、日頃の忙しさに感けて、チェックを怠っていた。前日のMLB中継で「番宣」をしていたのだろうが、NHKよりもスカパー!派の私は見逃していた。野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)199勝目(今シーズン3勝目)達成! 開幕からずっと追いかけてきたのに、この重要な「199」の視聴を逃すとは……次こそ「力瘤」。「200勝目」は必ず、この目でしかと見て、記事(コラム)を書きたい。

 次回(31日・日本時間1日)もオークランド・アスレティックス戦。敵地(マカフィー・コロシアム)になるが、オークランドは今シーズン「不調」。(昨シーズンの)「最弱」シアトル・マリナーズを突き放して、アメリカン・リーグ西地区の最下位を滑走している。「次で」決まるだろう。ついでに藪恵壹も登板して、野茂の200勝達成に花を添えてもらいたい。それにしても、日米通算200勝。向こう(アメリカ)のメディアは、この記録にどれほどの興味と関心を持っているのだろう? 

野茂、マーリンズは苦手(20日・フロリダ)

2005-05-22 13:24:28 | Tampa-Bay Rays
 フロリダ・マーリンズ、特に、このドルフィンズ(旧プロプレイヤー)スタジアムは「苦手」、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。初回、1番「快足」ホアン・ピエールに「2-2」からの速球(84MPH)をセンターに運ばれ、ノーアウト1塁。2番「昨シーズン途中までLAで同僚」ポール・ロデューカと対戦。「1-2」からの4球目にピエールが走るが、キャッチャー、トビーホールが刺して、1アウト。一息つくが、スプリット(フォーク)が2球続けて外れて、四球。3番「強打の」カルロス・デルガドには一転、強気に真っ直ぐ勝負を挑むが、結局、歩かせ、1アウト1,2塁に。

「若き主砲」4番ミゲル・カブレラ(打率.370)にも、強気に真っ直ぐ勝負で「0-2」に追い込むが、3球目のスプリット(81MPH)を拾われ、レフト前ヒットで1アウト満塁。5番「一昨年までの同僚」ホアン・エンカルナシオンには、2球目のスプリット(84MPH)で泳がせ、浅いレフトフライ。「2アウト満塁」にまで場面設定を変更するが、6番マイク・ローウェルに「2-2」からの勝負球のスプリット(89MPH)が決まらず、ラストボールの速球(88MPH)が高めに浮いたところを叩かれ、レフト前ヒット! 2者が還って、「0対2」フロリダが先制。野茂、早くも立ち上がりに失点。

【2回表】に8番デーモン・ホリンズの2ランで「2対2」同点に追いついたタンパベイ。【2回裏】先頭の8番「快足」ルイス・カステーヨに「1-1」からの高めの真っ直ぐ(82MPH)をセンターに弾き返され、ノーアウト1塁。9番アル・ライターが送って、1アウト2塁。1番ピエールに「3-1」からの5球目の速球(87MPH)を叩かれ、センターに大飛球。センターが追いついて、片手で捕球態勢に入ったが、何故か「落球」! カステーヨは3塁へ。ピエールも2塁へ。信じられないプレー!! センター、ホームランを打ったホリンズ。2ランを帳消しにする高価なエラー、だ。ここで「旧友」2番ロデューカにセンターに犠牲フライを打ち上げられ、「2対3」勝ち越しを許す。不運な失点だ。

【3回表】4番「主砲」オーブリー・ハフのタイムリーで「3対3」再び同点に追いついたタンパベイ。【3回裏】は3者凡退に抑え、立ち直ったかに見えた野茂だが、【4回裏】2アウトながら、1,2塁のピンチを迎え、バッターは2番ロデューカ。スプリットが2球外れて、「0-2」になって、3球目のストレート(86MPH)が真ん中高めに浮いてしまった。これをロデューカに強振され、レフトフェンス直撃のダブル(2塁打)。2者が還って、「3対5」再び勝ち越される。さらに3番デルガドに「1-1」からのスプリット(78MPH)をセンター前に転がされ、ロデューカが還って、「3対6」。

【5回裏】にも先頭の5番エンカルナシオンを「1-2」に追い込みながら、第1打席で打ち取ったスプリットを狙われ、レフト線にダブル(2塁打)。6番ローウェルも「1-2」に追い込むが、今度は勝負球の真っ直ぐが真ん中高めに入り、左中間を破られ、連続ダブル(2塁打)。これで「3対7」。野茂はこの5回限りで降板し、敗戦投手。味方がその後、1点づつ返して、「6対7」まで迫ったが、如何せん、野茂の序盤の失点が大きすぎた。「試合」を作れなかった、野茂……遠い3勝目。

野茂、最初の3点(14日・カンザスシティー)

2005-05-16 19:35:40 | Tampa-Bay Rays
 キャッチャーのトビー・ホールが「野茂は2回以外は凄かった」と言わしめた、その【2回裏】カンザスシティーの攻撃。先頭の4番「元・中日ドラゴンズ」の肩書きが(もはや)古くなった「苦手」マット・ステアーズにライト前ヒットを浴びる。5番(右の)エミル・ブラウンもストレートの四球で歩かせ、6番テレンス・ロングにレフト前に流し打たれ、ノーアウト満塁! 7番(右の)ジョン・バックにも「3-2」にして、地元スタンドは大歓声。結局、フォークに手を出してもらえず、押し出しの四球で1点。

 8番「若い」マーク・ティーエンはファーストゴロに打ち取るが、その間にブラウンが還って、2点目。9番ルーベン・ゴータイには「2-2」からフォークで空振り三振。1番「松井秀喜から新人王(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)を奪った男」(右の)エンジェル・ベロアにもフォークで攻めるが、センター前にグラウンダー(ゴロ)でヒットを浴び、3点目を献上。この3点。初回に味方が1点を先制していたから、「1対3」。この最初(立ち上がり)の「3失点」が悔やまれる。

【3回裏】は(右の)トニー・グラファニーノをショートゴロ。4番「苦手」ステアーズを歩かせるが、5番ブラウンをフォークでサードゴロ併殺。【4回裏】は先頭のロングをセカンドゴロ。7番バックを平凡なセンターフライ。8番「ルーキー」ティーエンをレフトフライ。2イニング連続で3者凡退に打ち取る。

【5回裏】9番ゴータイをセンターフライの後、1番「憎っくき敵」ベロアに右中間を破られ、スタンダップ・ダブル。2番デヴィット・デヘーススには「0-2」から見事な、この日一番のフォークで空振り三振! 3番グラファニーノもイン・ハイの速球で詰まらせて、ファーストフライ。ピンチを感じさせない安定したピッチング。

【6回表】に味方が1点を返し、尚2アウト、1,2塁で、7番「今日も打ってくれた!」クリス・シングルトンの左中間を破るダブル(2塁打)で2者が還って、「4対3」逆転! 「ベテラン」シングルトンは、野茂にとって、「第1次」ロサンジェルス・ドジャース時代のラウル・モンデシー、ボストン・レッドソックス時代のブライアン・ドーバック、か?

【6回裏】4番「苦手」ステアーズにやはり「0-3」からストレートの四球。3塁側ダッグアウトでは、ピッチング・コーチがすかさず、ブルペンにコールしている。そろそろ交代の時機を探っているか? 5番ブラウンにも「3-1」にして、17,151人のスタンドが盛り上がる。結局、フォークを見送られ、四球(ウォーク)。ノーアウト1,2塁。6番ロングはポップ(ショート)フライに討ち取り、その瞬間、思わずキャッチャー・ホールがミットを叩く。

 7番バックにもフォーク攻め。レフトへ大飛球を飛ばされるが、事なきを得る。2アウトになって、ここでルー・ピネラ監督、登場。よもやの「交代」を覚悟したが、何故か一言だけアドヴァイスして、野茂に任せてくれた。その期待に応え、8番のルーキーを「1-2」に追い込むが、勝負球のフォークを捉えられ、ライトにライナー! その瞬間、野茂も「あっ」と振り返るが、ライトがほぼ正面でキャッチして、3アウトチェンジ。

 ダッグアウトに戻った野茂に、ピネラ監督が声をかけ、「交代」の握手。野茂は了承しながらも、悔しそうに目の前のウォーターBOXを軽く叩く。【6回裏】のピッチングに納得が行かなかったのだろう。「苦手」ステアーズに四球(ウォーク)。「天敵」は、野茂のピッチングのスムースさを阻害する最大要因となった。

「4対3」で降板。当然「勝ち投手」の権利を持っていたのだが、【8回裏】の土壇場にリリーフ陣が打たれ、「4対6」。【9回表】に1点を返したものの、「5対6」でゲーム・エンデイング。野茂の「通算199勝」(今シーズン3勝)目が逃げていった。
 次回は古巣デトロイト・タイガース戦(19日)か(?)。この日のようなピッチングをしていれば、勝ち星が付くのは時間の問題。ただ心配なのは、勝ち星が付かない間に調子を崩してしまうことだけ。勝ち星はピッチャーにとって、最良のビタミン剤だろうから……。

野茂の199勝、井口が阻む?(9日・フロリダ)

2005-05-12 21:07:26 | Tampa-Bay Rays
 シカゴ・ホワイトソックスの1番スコット・ポドセドニックをいきなり四球で歩かせて、この日、ライトに入ったクリス・シングルトンが思わず帽子を取って、額の汗を拭い、ライト線寄りに守備位置を変えながら、顔を掻く。「打たせろヨ」とでも言いたげ、だ。2番・井口資仁を迎える。初球(85MPH)がアウトサイドに際どく外れて、2球目。「スピード・スター」ポドセドニックが走って、盗塁成功。3球目(87MPH)が外れて、「2-1」からの4球目。「86MPH」を巧く流し打たれて、シングルトンの予測通り、打球はライト線へ。ポドセドニックが還って、早くも「1対0」。

 3番カール・エヴェレットにも「3-1」にして、4球目(88MPH)5球目(89MPH)ファウル。力の勝負を挑んで、最後はフォーク(81MPH)で完全に詰まらせたが、これがショート前の内野安打になって、1,3塁。4番ポール・コナーコには初球フォーク(81MPH)でストライク。2球目、汗を滴らせながら、キャッチャーのサインに首を振り、投じた球はフォーク(80MPH)。これで空振りを取って、「0-2」と追い込んだが、3球目に力勝負「89MPH」で行って、これをセンターに弾き返され、犠牲フライになって、「2対0」。

【3回表】9番ホアン・ウリベに「1-2」と追い込みながら、フォーク(81MPH)をフルスイングされ、痛烈に三遊間を抜かれる。1番「スピード・スター」ポドセドニックには、初球にセーフティーバントを決められ、ノーアウト1,2塁。ここで2番・井口にサクリファイス(犠牲バント)を決められ、1アウト2,3塁のピンチ到来。それにしても、ダッグアウトに戻ってからの井口を迎えるナインのハイタッチの数が凄い。まるでホームランを打ったバッターを迎えているような光景、だ。これもメジャー流。

 3番エヴェレットに初球のフォーク(78MPH)で空振り。エヴェレットはヘルメットをコツンと叩き、自らを戒めて、2球目のフォーク(79MPH)は見送り成功。しかし、3球続けたフォーク(79MPH)には反応して、チェックスウィング。判定は「ストライク」。打席を外して、エヴェレットはうんざりした顔で、首を振っている。4球目もフォークの連投(80MPH)でファウル。何とかバットに当てたエヴェレット。打席を外し、やはり首を振り、今度はバットでヘルメットをコツンと叩いて、打席に戻る。5球目は「89MPH」のファストボール。真ん中低めに決まって、完全に意表を突かれた、エヴェレット、見逃し三振!

 その瞬間、思わず、1塁側の敵のダッグアウトに歩を進めようとした、エヴェレット。しかし、思い直して、その自らの(ちょっと)恥ずかしい行為を糊塗する為に、球審の判定に文句を言うポーズを取るエヴェレット。本当は野茂のピッチングに脱帽した、のだろう。兜を脱いで、直ぐダッグアウトに帰るつもりが、方向を間違えた。強面(こわもて)だが、なかなか御茶目な(?)エヴェレット。一流のバッターとピッチャーの見応えのある対決、だった。

 依然として、大粒の汗を滴らせながら、マウンド上の野茂。4番コナーコにも初球フォーク(80MPH)で入り、2球目(84MPH)も外れ、「0-2」。3球目は「新球」カットボール(84MPH)で「1-2」。4球目(80MPH)で「1-3」。5球目(85MPH)でファウルを打たせ、「2-3」。ラストボール=6球目は渾身のファストボール(90MPH)! しかし、これがアウトサイドに大きく外れて、野茂はその瞬間、大きな声を出して、悔しがる。2アウト満塁になるが、5番アーロン・ロワンドを3球勝負で空振り三振に仕留め、ピンチ脱出。

【4回裏】にシングルトンのタイムリーで1点を返したデヴィルレイズ。【5回表】を3者凡退に抑え、【6回表】のマウンドに上がった野茂。4番のコナーコに1球(84MPH)を投じて、2球目。振りかぶって、いつものように左足を振り上げたものの、そのまま着地。よくあるバランスを崩しただけ、かと思ったのだが、左の太腿の裏を押さえている。ピリッときたか? 痙攣? 野茂はマウンド上で寝っ転がって、トレーナーから治療を受けたが、状態は変わらず、そのまま降板。「1対2」のスプリット・スコアの場面だったのだが……

 この後、味方が【6回裏】に、デーモン・ホリンズのトリプル(3塁打)で同点に追いつき、さらにシングルトンのタイムリーで勝ち越し。【7回裏】にも加点して、「4対2」。デヴィルレイズの逆転勝利。「快進撃」ホワイトソックスの連勝を「8」で止めた。野茂の「199勝」を阻んだのは、左の太腿だった。せっかく、いいピッチングをしていて、降板した後に、味方が逆転してくれたのだが……「次」は14日(日本時間・15日)カンザスシティー・ロイヤルズ戦。症状は軽く、予定通りに先発する。

野茂の199勝、松井が阻む(4日・フロリダ)

2005-05-07 22:07:19 | Tampa-Bay Rays
 珍しく初回を3者凡退で切り抜けた、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。【2回表】先頭の4番・松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース)に初球フォーク(77mph)で空振り。2球目(79mph)ボールの後、3球目のフォーク(79mph)を打たせて、サードフライ。ブーイングで迎えられた、5番「週間MVP」アレックス・ロドリゲスには、初球(78mph)を叩かれ、打球はレフトスタンドへ舞う! 先制のホームラン(第10号)を許す。その裏、味方が2点を返して、「2対1」。

【3回表】にも、先頭の8番ティノ・マルティネスを歩かせ、9番「若い」ロビンソン・カノにも、1,2塁間を破られる。カノはこれがメジャーリーグ初ヒット。野茂が献上した。野茂が初ヒットを献上したメジャーリーガーは「大物」になる、という説があるが(?)、カノはどうか? ノーアウト1,2塁。1番デレック・ジーターはショートゴロに打ち取るが、セカンドの1塁への送球が逸れて、1アウト1,3塁。ここで「野茂に強い」(対通算打率.345)の2番トニー・ウォーマックが、三遊間を抜いて、2点目が入る。「2対2」の同点。

【4回表】こそ3者凡退に封じたものの、問題の【5回表】。ここまで「8対2」味方打線の爆発で大量リード。このイニングさえ抑えられれば、勝利投手の権利を得られるのだが……8番マルティネスを抑えたものの、9番カノにまたしても、1,2塁間を抜かれ、1アウトから出塁を許す。ウォーマック・タイプのカノは、野茂の新たな「苦手」になるか? 1番ジーターを歩かせて、1,2塁。2番「苦手」ウォーマックは見逃し三振に斬るが、3番「天敵」ゲーリー・シェフィールドにレフト線を破られ、「8対3」。なお2,3塁で、バッターは4番・松井を迎える。

 初球はフォークでストライク。2球目は速球(83mph)で2ストライク。「0-2」と追い込み、地元観客の声援を受けるが、3球目は力んで、ワンバウンド(84mph)。4球目は制球しようと心掛けたフォーク(84mph)、その落ち際を松井に拾われ、センター前に落ちるヒット!! これが2点タイムリーになり、「8対5」。一気に2点差に詰められ、5番A-RODにもライト前ヒットを浴びて、ここで「御大」ルー・ピネラ監督、登場。野茂、無念の降板……。

 松井には巧く打たれた。A-RODにも、野茂なりの速球(81mph)で詰まらせたのだが、力で持って行かれた。野茂が苦手なタイプ=左の小兵タイプのウォーマックと「若い」カノにチャンスを広げられたのも痛かった。今日の野茂はコントロールは良かったのだが、その代わり球速が著しく欠けていた。そこを突かれた。遠い199勝目……野茂にとっては目の前の(今シーズン)3勝目だろうが……。

野茂、ボルティモアに沈む(29日・ボルティモア)

2005-05-02 21:48:22 | Tampa-Bay Rays
 オリオール・パーク独特のレンガのフェンス目がけて、初球(84MPH)ストライク。低めに決まる。バッターは「好調」1番ブライアン・ロバーツ。2球目も同じ球(84MPH)これをレフトに流し打たれて、ノーアウト、ランナー1塁。2番メルヴィン・モーラにも、バントで内野安打を決められ、ノーアウト1,2塁。3番ミゲル・テハダの初球にダブルスチールを決められ、ノーアウト2,3塁。ここで、テハダに一発を食らう。「3-1」から4球目のフォーク(78MPH)の落ち際を叩かれた。野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)、初回に痛恨の3失点。

 続く4番サミー・ソーサには、初球(86MPH)ストライク。2球目のフォーク(77MPH)でファウル。これはテハダへの4球目とほぼ同じ球だ。これをホームランにするテハダと、ファウルにしか出来ないソーサと、新旧の主砲の現在の格差が透けて見える。3球目(88MPH)4球目(78MPH)ボール、5球目(87MPH)ファウル。そして最後、6球目(87MPH)で空振り奪取(三振)!! 今のソーサは野茂にとって、打ち取りやすいバッターに墜している。

 5番ラファエル・パルメイロにも、同じくファストボールと、フォークのコンヴィネーションで攻めるが、「3-2」から6球目のファストボール(86MPH)を流し打たれ、ダブル(2塁打)。野茂の「旧敵」の一人、6番ハヴィー・ロペスから「1-2」から意表を突く(?)ど真ん中高めのファストボール(89MPH)で見逃し三振に取り、7番の「若い」ジェイ・ギボンズも「2-2」からアウトサイド低めにこの日の最速「91MPH」をズバッと決め、見逃し三振。呆然と見送る若いギボンズ。野茂、貫禄のピッチングで、3失点を喫した初回のマウンドを降りた。

 しかし【4回裏】その「若い」ギボンズに「2-1」から真ん中に入ったフォーク(74MPH)を掬われ、打球はライトスタンドへ! 【2回裏】【3回裏】は打たせて取るピッチングで、好投を続けていただけに悔やまれるが、これはバッターに巧く打たれた。【6回裏】にも「旧敵」ロペスに今度はファストボール(83MPH)を狙われ、レフトスタンドに放り込まれた。

「旧敵」。ロペスが「王者」アトランタ・ブレーヴス時代に、野茂はロサンジェルス・ドジャースの青いユニフォームをまとって、「王者」の「正捕手」ロペスに立ち向かっていた。あの日、あのとき、ロペスの左中間への痛烈なライナーは、レフト(当時)ブレッド・バトラーのグラブに収まり、ゲームセット!! 野茂が完封した試合だった(1996年4月8日・ドジャースタジアム)。あの日、あのときの野茂の球威はロペスの打棒を上回り、レフトフライに封じたが、あれから10年の歳月が流れ、ロペスの打球はレフトスタンドに吸い込まれていった。

 この日、6イニングス3/1を投げて、被ホームラン3本で5失点。今シーズン3勝目はならなかった。(日米通算)199勝が逃げていった。時の流れに抗うように、マウンドに立ち続ける野茂。その勲章としての「200勝」まで、あと「2勝」。それは遠い……野茂が戦っているのは「歳月」の重みそのものか? 「次」は再び「帝国」ニューヨーク・ヤンキースと相対する。

野茂、王者に連敗! (24日・フロリダ)

2005-04-29 13:56:26 | Tampa-Bay Rays
 ホーム=トロピカーナ・フィールドに2度目の登板、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。相手は古巣であり、初戦で打ち込まれた「世界一」ボストン・レッドソックス。雪辱を期すマウンド、だ。1番ジョニー・デーモンに3球目のスプリット(フォーク)を狙われ、センター前ヒット。早くもノーアウトで走者を許す。1塁ベース上でニンマリ、デーモン。長い髪をかき上げる。

 2番トロント・ニクソンの4球目にデーモンが走り、キャッチャーの送球が逸れて、デーモンは3塁へ。ニクソンを歩かせて、ノーアウト、1,3塁。初回からピンチを招く。地元トロピカーナ・フィールドの観客からブーイング。マウンド上で顔の汗を拭う野茂。続く3番マニー・ラミレスに初球(86MPH)を叩かれ、レフトへ大飛球。これが犠牲フライになって、あっさり「王者」が先制する。

 4番デヴィット・オルティーズには、ピッチャー強襲打を浴びるが、ショートのフリオ・ルーゴの好守で1塁封殺。しかし5番「クラッチヒッター」ケヴィン・ミラーに今度はサード強襲!! レフト線に転がるダブル(2塁打)を打たれ、2失点。トロピカーナ・フィールドの観客から大歓声。ボストン・ファンが大挙詰め掛けているようだ。「世界一」ともなれば、人気も「全国区」になるようだ。

【2回表】「天敵」(対野茂の通算打率.350)7番エドガー・レンテリアに初球(79MPH)2球目(85MPH)で「0-2」と追い込んだものの、3球目(84MPH)ファウル、4球目(77MPH)ボール、5球目、勝負に行ったフォーク(76MPH)をカットされ、6球目(77MPH)も見送られ、仕方なく7球目に投げ込んだ速球(ファストボール)(83MPH)をライト前に持っていかれ、ノーアウトで1塁。やはり「天敵」。野茂に攻略する術なし。

 8番「元シアトル・マリナーズ~サンディエゴ・パドレス」ラモン・ヴァスケスはセンターフライに打ち取るが、9番マーク・ベルホーンの2球目にレンテリアが走って、盗塁成功。ベルホーンはピッチャーゴロに仕留めて、2アウトに漕ぎ着けるが、1番デーモンに初球(87MPH)を叩かれ、ライト線に転がるダブル(2塁打)。1点入って、「0対3」。

 味方打線が2点を返し、「2対3」と詰め寄ったものの、【6回表】にも、1アウト後「天敵」に「3-1」からレフト前ヒットを浴びて、8番ヴァスケスに右中間を破られ、「2対4」。野茂はこの回限りで降板して、試合は結局「3対11」ボストンの大勝。6イニングス4失点なら、まずまずのピッチングだが、序盤早々の失点は痛かった。味方が1点差に追いついての失点も痛かった。

 これで「2勝2敗」(防御率6.41)。先発(スターター)の一角、左腕マーク・ヘンドリクソンがDL(故障者リスト)から戻ってくるが、29日(日本時間・30日)の野茂の先発予定は変わらず。相手は、ボルチモア・オリオールズ。サミー・ソーサと対決、だ。

 それにしても、地元トロピカーナ・フィールドなのに、ボストンファンの声援が圧倒的。途中からキレた地元ファンが、歓声にブーイングで対抗して、観客同士が戦っていた。それに煽られたのか、【7回】の攻防で両チームが二度に渡る乱闘。新たな遺恨の発生か……野茂も「次は」マウンドで戦う。
BALLPLAYERS.jp

野茂、ヤンキーを封じる!(19日・ニューヨーク)

2005-04-21 22:11:02 | Tampa-Bay Rays
 野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)、ヤンキースタジアムのマウンドに立つ。1番デレック・ジーターへの初球ファストボール(135㎞)が高めに浮く。2球目(138㎞)空振り。球は速くないが、微妙にタイミングをズラしている。3球目、意表を突くカーヴ(118㎞)でストライク「1-2」。ここまで巧く攻めたが、4球目のファストボールを叩かれ、レフト前ヒット!! 当たっているジーター。野茂は攻略できなかった。昨日(18日)19点を取ったヤンキース打線。今日(19日)も野茂に襲い掛かるのか?

 2番に入っているバーニー・ウィリアムス。その初球にジーターが盗塁を試みるが、OUT。キャッチャー、トビー・ホールが野茂をアシストしてくれた。因みにその間のボールは「ストライク」。球速は「140㎞」を計測していた。野茂の「140㎞」を見るのは久しぶりのような気がするが……2球目、3球目(138㎞)はボールの後、4球目はインハイを突いて、仰け反らせて、「3-1」。この球は「142㎞」を計測。今日の野茂は球が走っている。5球目(138㎞)を打たせて、ファウル。「3-2」フルカウントからのラストボールは、フォークではなく、ストレート(138㎞)。これで詰まらせて、ショートフライ。ここまで1球も「宝刀」(フォーク)を抜いていない。

 3番「天敵」(対戦打率.519)ゲーリー・シェフィールドには、初球カーヴ(118㎞)で入って、目先を変えたが、2球目(138㎞)を狙われて、レフトへ大飛球! いい角度で上がったが、失速して、レフトフライ。球威で押し返したか? 野茂、一瞬、ヒヤリとさせられたが、口を大きく膨らませて、息を吐き出し、3塁側ダッグアウトへ。

【2回裏】は先頭、4番・松井秀喜を迎える。初球(137㎞)が高めに浮いて、2球目(138㎞)も同様。3球目、キャッチャーがミットを低く構えて「低目」を要求してきたが、「137㎞」がやや真ん中に入って、これを松井が打ち返したが、セカンドゴロ。球威が勝っているのか? 依然としてフォーク(スプリット)は、1球も投げない。

 5番・アレックス・ロドリゲスへの初球(138㎞)空振り。2球目(134㎞)初めてフォークを投げたか? これをファウル。3球目(126㎞)今度こそ正真正銘のフォーク(スプリット)で見送り三振! 昨日(18日)大爆発したA・ロッド相手に「宝刀」を抜いて、斬って棄てた。唖然とするA・ロッド。口元を歪めながら、1塁側ダッグアウトへ。

 6番ジェイソン・ジアンビにも、フォーク(124㎞)で入って、ストライク。2球目(124㎞)もフォーク。これをジアンビに持って行かれた。ライトスタンドへ飛び込む3号ホームラン! やはり、フォークを多投するとロクなことにならない。このイニング、一転して、フォークを多投してきたが、その戦略が破綻した。「0対1」ヤンキースに先制を許す。

【3回裏】昨日グランドスラム(満塁弾)を放った8番・ティノ・マルティネス。「ティノ・コール」が渦巻く中、初球(137㎞)ボール。2球目(137㎞)も高めに浮くが、3球目(137㎞)にストライク。4球目、高目の速球(138㎞)で詰まらせて、サードフライ。ロー・ボールヒッターには、最高の攻めだ。

 9番トニー・ウオーマックにも、初球(137㎞)でストライク。2球目(138㎞)も高めを打たせて、ファウル。3球目のフォーク(126㎞)はワンバウンドになるが、4球目もフォーク(124㎞)を続けて、ピッチャーゴロに打ち取る。

 初回に「やられた」ジーターには、初球フォーク(135㎞)で入って、2球目(138㎞)をファウル。3球目(137㎞)はフォークが「ボール」。4球目は渾身のストレート「142㎞」でファウル。球審からの返球を頷いて受け、キャッチャーのサインにも頷く。冷静な野茂。1失点は喫したものの、自分のペースに持ち込めている。5球目も「140㎞」セカンドゴロに打ち取ったが、飛んだコースが良く、送球が1塁に達する間に、ジーターがベースを駆け抜けて、内野安打。2アウトから出塁を許すが、2番バーニーを速球(140㎞)で捻じ伏せて、ライトフライ。

【4回表】に味方が、ヤンキースの先発(スターター)ランディー・ジョンソンから、2ランホームランを放って、逆転「2対1」。打ったのは、元阪神タイガース、エドアード・ペレス、だ。【4回裏】も「天敵」シェフィールドにライトへ大飛球を飛ばされるが、ライトのオーブリー・ハフが背走してキャッチ。そして、4番・松井とのこの日2度目の対決……

 初球(138㎞)ボール、2球目(122㎞)ストライク。3球目(135㎞)初球と同じ球で「ボール」。4球目(138㎞)でストライク。この打席は一転、フォークを多投している。「2-2」からの5球目もフォーク(127㎞)、これはワンバウンドになって、6球目も既にキャッチャーがミットを上にして構えている。フォーク(127㎞)が来たが、松井がこれを選んで、四球。慎重になったバッテリー。もっとも(キャッチャーの)サインを出しているのは、ダッグアウトのようだが。

 A・ロッドは初球(142㎞)を打ち上げて、ファウル。せっかく昨日、当たりを取り戻したのに、今日、野茂に崩されると、元も子もない、A・ロッド。2球目も「142㎞」が来て、際どく「ボール」。3球目(135㎞)のフォークで空振り。翻弄されるA・ロッド。ヤンキースタジアムの巨大な溜息(45,802人)……観客も昨日の「爆発」(6打数5安打6打点2本塁打)でA・ロッドの「復活」を確信したのだが、これでは……4球目のフォーク(135㎞)は不発(ワンバウンド)。5球目の速球(143㎞)は高めに浮いて、「3-2」フルカウント。6球目のラストボールは「142㎞」これを打ち上げさせて、ライトフライ。野茂の「勝ち」。再び泥沼に陥るか、A・ロッド? 

 前打席でホームランを喫した、ジアンビには初球、この日の最速「145㎞」が出たが、ボール。2球目(127㎞)も外れるが、3球目(140㎞)、4球目(143㎞)でストライク。いい打者になればなるほど、球速が増す、この日の野茂。「2-2」からの勝負球も「143㎞」これがアウトサイド低目ギリギリに決まって、ジアンビ見逃し「三振」! 素晴らしい!!……今日一番の球だった。

【5回裏】は先頭のホルへ・ポサーダを歩かせるが、8番ティノに3球目(142㎞)を弾かれ、ピッチャー強襲を浴びるが、1塁ランナーがエンドランで走っていて、ベースカヴァーに入ったショートに打球が飛んで、ゲッツー完成。野茂は「幸運」。「不運」なヤンキース。しかし、それにしても、ティノへの2球目には、この日の正真正銘の最速「148㎞」が出ていた。信じられない……ここ数年の野茂には考えられなかったこと、だ。野茂の「復活」を確信する、この日のピッチング。

 しかし、ウォーマックにセンター前ヒットを浴び、しぶといヤンキース。1番ジーターも野茂の渾身の143㎞を弾き返し、右中間を抜ける……否、抜けない。ライト・ハフが回り込んで捕ったが、3塁ベースコーチャー、ルイス・ソーホーは、ウォーマックの「快足」を信じて、手をグルグル回している。しかし、本塁寸前でタッチアウト。2アウトだからセオリーだが、右中間は抜けていなかった。焦りを感じ始めたか、ヤンキース……?

【6回裏】野茂、最後のマウンドへ。先頭のバーニーは初球(135㎞)を打ってくれて、ファーストゴロ。3番の「天敵」シェフィールドには、ストレートで歩かせ、4番・松井とのこの日3度目の対決は……初球(140㎞)を打って、三遊間を抜いて、レフト前ヒット!! 1アウト、1,2塁のピンチを招くが、5番「ポイント」のA・ロッドを「143㎞」でセンターフライに打ち取る。この日はA・ロッドを抑えこんだことが、「勝因」になった。ヤンキースタジアムの観客からは失望の溜息と共にブーイングも飛ぶ。

 ここでホームランを打たれているジアンビを迎えたところで、ルー・ピネラ監督、登場。野茂は口を大きく膨らませて不満そう。第2打席は抑えただけに、「自信」があったのだろう。キャッチャーのホールも敵意の視線すら送っている。同道した来た仲間の絆……しかし、頷いて降板。この日のピッチングに納得もしているのだろう。ヤンキースの専属放送局【YES】のコメンテーターからも「グッド・ジョブ!」

 この後、2番手の左腕トレヴァー・ミラーが、ジアンビを空振り三振に打ち取って、ダッグアウトの野茂は「俺でも取れた」の顔。それでも出迎えにグータッチで向かって、帰ってきたキャッチャーのホールから激励を受ける。ホールはいいヤツだ。6番目(?)の移籍球団でも、キャッチャーに恵まれたみたいだ。キャッチャー「運」があるのかもしれない。

 試合は【7回表】にペレスの2打席連続ホームランが出て、「3対1」。【8回表】にも加点して、ランディー・ジョンソンをKO。「6対2」でデヴィルレイズの勝利。野茂に「2勝目」が付いた。これで日米通算「198勝」。もう何の「不安」もない。野茂は「復活」した。この日の球速・球威が総てを物語っている。試合後のインタヴューで「プレイオフにも出たい」と意欲を語る野茂。昨シーズン、地区優勝しながら、ロースターから外れ、プレイオフで投げられなかった、直近の悔しさが、野茂の心の中で渦巻いているのだろう。もう一度、あの舞台に立ったとき、それが真の「復活」か。