「結局サヨリは大使さんに崇谷家の陰謀の相談しそびれちゃったね」
「拳銃も返しそびれた」
「出さないで! 街中で!」
サヨリはあゆの中学時代のセーラー服を借りて着ている。本来海軍服なのでよく似合っている。
スカートのポケットに手を入れるとあゆの母がダッシュで近寄り拳銃を抜かないよう肘を握り動きを封じる。
おっ、やるなという表情を見せるサヨリ。
「ホルスター買うなら昭和通りにミリタリーショップがあったな。昔はヨドバシとかカメラ量販店にもエアガンコーナーがあったが所詮、悪い子のおもちゃか」
あゆの父が遠い目をする。
「カメラ量販店ってもう死語よ、今は家電量販店。」
あゆが突っ込む。
単位制三部制の都立秋葉原高校前。
時刻は午前11時。
「みなさん、あゆちゃんの担任の先生と連絡がつきましたそこのコーヒーショップのテラス席に居るそうです」
少し離れていた弁護士の先生が携帯電話を手に寄ってくる。
「おいおい、高校の中じゃないのか?」
あゆの父が高校が入っている高層ビルを仰ぎながら嘆く。
「お店の中ですらないわね」
あゆもプンスカ怒りだす。
「嵩谷家の人達もいらっしゃるんでしょ? 人目があった方がいいじゃない」
あゆの母が現状を追認する。
「いいことサヨリちゃん、あなたにとってそれは日用品でも日本では特別な物なの。何があっても使わないでね。出すのもだめよ。あと素手でも荒っぽい事はだめよ」
「イエス・マム」
男性の上官に対してはイエス・サーであるが女性にならマムである。
「サヨリが戦闘モードだ、目が怖いよ」
あゆはそっと父に告げる。
「大丈夫だよ、乱暴な子じゃないのはあゆが一番よくわかっているんだろう」
「さっき大使館で生敬礼初めて近くで見たけどちょっと怖かった」
「何だよ“生”敬礼ってw格好良かったじゃないか」
「秋月さん行きますよ」
弁護士の声で気が付けば秋月父娘以外は皆コーヒーショップに向かって行った。
(やれやれ昼からの開店に間に合うかな?)
コーヒーショップのテラス席にはあゆの正担任の男の先生と服担任の女の先生、それに崇谷崇の母と祖父の四人が着いていて空いている席は無かった。
秋月一同の姿を認めると副担任と祖父が隣の荷物が置いてあったテーブルに移った。
秋月側はあゆの父と弁護士が着席するがそばにはもう空いているテーブルは無かった。
「あっちが空いていますよ」
崇の祖父が嫌味ったらしく遠くの席を指差し自分達の荷物を空いている椅子二つに置く。副担任はおろおろしているだけである。
「若者は立っています」
あゆは父の後ろに見下ろすように立つ。小柄なので威圧感はない。
サヨリはあゆの母に手を引かれ遠くの席に行き掛けたが思い直し崇の母の後ろに立つ。小柄だが妙な存在感がある。
「何あなた? 失礼ね」
「おかまいなく」
「何の用? あなた関係ないでしょ」
「見学」
「ちょっと先生! なんですかこれ?」
取り合わないサヨリに早くもヒートアップする崇の母。
「君は秋月あゆ君の妹? その制服は地元の中学のだよね?」
「親戚」
正担任の質問にもそっけなく答えるサヨリ。語尾が若干上がって疑問形風味である。
(やれやれ盛り上がってきたな)
困惑するあゆの父、泣きそうな顔でコーヒーを買ってきて秋月側に配るあゆの母。
「拳銃も返しそびれた」
「出さないで! 街中で!」
サヨリはあゆの中学時代のセーラー服を借りて着ている。本来海軍服なのでよく似合っている。
スカートのポケットに手を入れるとあゆの母がダッシュで近寄り拳銃を抜かないよう肘を握り動きを封じる。
おっ、やるなという表情を見せるサヨリ。
「ホルスター買うなら昭和通りにミリタリーショップがあったな。昔はヨドバシとかカメラ量販店にもエアガンコーナーがあったが所詮、悪い子のおもちゃか」
あゆの父が遠い目をする。
「カメラ量販店ってもう死語よ、今は家電量販店。」
あゆが突っ込む。
単位制三部制の都立秋葉原高校前。
時刻は午前11時。
「みなさん、あゆちゃんの担任の先生と連絡がつきましたそこのコーヒーショップのテラス席に居るそうです」
少し離れていた弁護士の先生が携帯電話を手に寄ってくる。
「おいおい、高校の中じゃないのか?」
あゆの父が高校が入っている高層ビルを仰ぎながら嘆く。
「お店の中ですらないわね」
あゆもプンスカ怒りだす。
「嵩谷家の人達もいらっしゃるんでしょ? 人目があった方がいいじゃない」
あゆの母が現状を追認する。
「いいことサヨリちゃん、あなたにとってそれは日用品でも日本では特別な物なの。何があっても使わないでね。出すのもだめよ。あと素手でも荒っぽい事はだめよ」
「イエス・マム」
男性の上官に対してはイエス・サーであるが女性にならマムである。
「サヨリが戦闘モードだ、目が怖いよ」
あゆはそっと父に告げる。
「大丈夫だよ、乱暴な子じゃないのはあゆが一番よくわかっているんだろう」
「さっき大使館で生敬礼初めて近くで見たけどちょっと怖かった」
「何だよ“生”敬礼ってw格好良かったじゃないか」
「秋月さん行きますよ」
弁護士の声で気が付けば秋月父娘以外は皆コーヒーショップに向かって行った。
(やれやれ昼からの開店に間に合うかな?)
コーヒーショップのテラス席にはあゆの正担任の男の先生と服担任の女の先生、それに崇谷崇の母と祖父の四人が着いていて空いている席は無かった。
秋月一同の姿を認めると副担任と祖父が隣の荷物が置いてあったテーブルに移った。
秋月側はあゆの父と弁護士が着席するがそばにはもう空いているテーブルは無かった。
「あっちが空いていますよ」
崇の祖父が嫌味ったらしく遠くの席を指差し自分達の荷物を空いている椅子二つに置く。副担任はおろおろしているだけである。
「若者は立っています」
あゆは父の後ろに見下ろすように立つ。小柄なので威圧感はない。
サヨリはあゆの母に手を引かれ遠くの席に行き掛けたが思い直し崇の母の後ろに立つ。小柄だが妙な存在感がある。
「何あなた? 失礼ね」
「おかまいなく」
「何の用? あなた関係ないでしょ」
「見学」
「ちょっと先生! なんですかこれ?」
取り合わないサヨリに早くもヒートアップする崇の母。
「君は秋月あゆ君の妹? その制服は地元の中学のだよね?」
「親戚」
正担任の質問にもそっけなく答えるサヨリ。語尾が若干上がって疑問形風味である。
(やれやれ盛り上がってきたな)
困惑するあゆの父、泣きそうな顔でコーヒーを買ってきて秋月側に配るあゆの母。