妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

〈08夏、三浦半島夏探し〉城ヶ島

2008-07-19 14:49:11 | ○08夏、三浦半島夏探し
【城ヶ島】

ノリで城ヶ島まで来てしまった。
「ここはどこ?」
とりあえず暑い。
船長に別れを告げて港を歩いてみる。
突き刺さる直射日光に足がすくむ。
日陰を探そうにもさしあたって日陰は見当たらない。
時折いる太公望たちを横目にテクテク、さあどこへ行こう。
港は終わり民家の連並に入っていった。
遠く聞こえるセミの声と甲子園のラジオ中継。
こんな音を日本のあちこちで聞いた。
こんな光を日本のあちこちで浴びた。
職場の暑さとはまた違う、なんだか夏が楽しみになる暑さだ。

とはいえろくに地図も持っていないため、どこからどこへ行こうかかなり迷ったものだ。
海だから岬があるはずだとは思うがいささかノープランにも度が過ぎたかな、そんなことを思い小さく溜め息をついていると
「帽子もかぶんないで歩いてると倒れちゃうよ」
と自転車おばちゃん。
「岬までって遠いですか?」
「岬まで行こうとしてるの、歩きだと遠いよ」
――じゃあいっか、今度また車で来れば。
気分と天気次第の旅程変更(旅程なんてハナっからないが)も、お一人様の醍醐味ってもんよね。

城ヶ島大橋の根本からまたバスに乗り込んで、また三崎口駅を目指す。
バスの最後部、窓際。
一段高いこの席から見る景色が好きだ。
町中の風景はどことなく田舎染みていて、かつて見てきた数々の車窓を思い出させる。
ガラスに額を押し付けると篭ったような暑さが頭に伝わってきた。
耳元には夏の歌、またウトウトしている。
こんなバスの景色を見ながら泣いていたのは去年だったろうか、それとももっと前だったろうか。
たくさんの人がマーブリングみたく混じって頭に浮かび、名前を思い出そうとしたら消えていく。
その人が発した小さな呟きだけを残して消えていく。
――こうやって歳をとっていくのかな。
年月の過ぎる速さに目がくらんだ。


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